ハリー・スティーヴン・キーラーという人を発見する。
キーラーは1890年生まれ(クリスティと同い年)のアメリカのミステリ作家で、主に1930年代に作品を発表していた。その後、すっかり忘れ去られていたが、1960年代にフランシス・ネヴィンズJr.(クイーンの評論で有名な人)が再発見してから、一部の好事家の注目を集めるようになった。
なぜか? キーラーの作品があまりにもひどくて、変だったからだ。ミステリ界のエド・ウッドである。
主にこういう話を書いていたらしい。
*芝生の真ん中で男の絞殺死体が発見されるが、周囲に足跡がない。警察は、小型ヘリコプターに乗って被害者を襲う「空飛ぶ絞殺魔」のしわざではないかと考える。
(もちろん、警察の推理は間違っている。じつは被害者は発作が起きると絞殺そっくりの症状を起こして死ぬ病気だったのだ!)*スチームバスに入っていた女性が死んでいるので、開けてみると、胴体がない。頭とつま先だけスチームバスの箱に突っ込んであったのである。
*棺のなかから全裸の死体が発見される。上半身は中国人、下半身は黒人で、切断部分をガムでつないである。
でもって、研究者のWilliam Poundstoneさんによると、キーラーの作品の特徴は次のとおり、
(1) 文章がへた。ひたすらプロットを進めるだけで、描写とか人物造形なんかしない。
(2) やたらに長い。35万語の長編があって、出版社は3分冊にした。
(3) 登場人物の名前が変。SF作家の名前がScientifico Greenlimb(緑足科学?)だったりする。
(4) プロットに偶然を多用するため、話が読者の予想をはるかに超えた展開を見せる。
(5) 精神異常、オカルティシズム、フリークスがよく出てくる。
(6) 新聞の切り抜きサービスを愛用していて、現実の変な事件を小説に盛り込む。どこかで読んだことのあるような、ないような……。そのうち、国書刊行会か原書房で翻訳されるかもしれないね。
昨日は最低のミステリ作家を探訪したので、今日は最低のSF作家を探訪してみることにした。
ロバート・ライオネル・ファンソープという人。ちなみに、わたしはいままで聞いたことありません。
50年代にBadger Booksというペイパーバックで量産したSF作家で、3年間に89冊書いたらしい。158ページの長編SFを12日周期で脱稿していたというから、たいしたものだ。別名を駆使して、アンソロジーをまるごと1冊書いたこともあるらしい。これは大森望さんや中村融さんに聞いたほうが正確だが、かつての英米のペイパーバックは、規格がきちんと決まっていた。本というのは、大きな紙に印刷したものを裁断して製本するから、たとえば158ページだと、紙のむだが出なくて、コストパフォーマンスがいいわけだ。したがって、ペイパーバック・ライターはきっちり158ページの小説を書かなければならない。
そこでファーソープはどうしたか? 158ページ近くなって、話が終わりそうにないと、いきなりデウス・エクス・マキナを出して、強引に終わらせてしまう。逆にページ数が足りないようだと、全然関係ないことを挿入して、枚数を稼ぐ。なんでも、宇宙の危機のさなかにヒーローがえんえんと歯を磨くという作品があるそうな。典型的なペイパーバック・ライターですなあ。作品そのものは本当に最低だろう。Down in the Badger Hole(badgerとは確かアナグマのこと)という自伝があるらしいが、これがいちばんおもしろいんじゃないかな。ロジャー・コーマンの自伝みたいなもので。
SFの編集者として有名なデイヴィッド・G・ハートウェルさんのHPに行くと、可愛いお子さんの写真や、奥さんのキャスリーン・クレイマーのファッション変遷史や、ハートウェルさんのネクタイ・コレクションを見ることができる。
Chris Poundさんがつくった「でたらめ単語&人名生成ソフト」のページを見学する。
いろいろな国風のナンセンスな単語や人名をランダムにつくり出すというものだが、スクリプト自体はPerlで書いてあるそうなので、わたしのMacintosh環境では使えない。
そこで、サンプルにあった、日本風の人名(男女ある)を見てみたのだが、そのなかに、こんなのがあった。Suikyos Shikyu
「至急・水鏡子」さて、コンピュータにランダムに日本風の人名を生成させて、「水鏡子」がアウトプットされる確率は、どのくらいなんだろうかね。
わたしもいろいろなスケベ系ウェブサイトを見たが、ここがいちばんすごいと思うので、ご紹介する。いやー、こんなすごいエロ画像が見られるサイトは、世界に類を見ないだろう。必見。
リンクもぜひぜひお試しあれ。眼球と海綿体が充血すること必至の超エロエロサイトのオンパレード。わたしはiBratorが欲しい。うちのiMacと同じグリーンのやつがいい。
ニッチな欲望、ここに極まれり。alt.sex.fetish.robotsは、ロボット・フェチのためのサイト。アンドロイドとか、催眠術にかかった女性とか、石像とか、そーゆーものとセックスしたい男性のための情報が満載だが、そんな人、世界にどのくらいいるんだろうか。
でもって、ここで見つけたのが、xxxspacegirls.com。これは世界初のSFファンのためのアダルト有料サイトだそうで、金ぴかのコスプレして光線銃を持った女性がロボットに犯されたり、エイリアンの緑色のザーメンを顔射されている映像が見られるらしい。
日本でも特撮AVなるものがあるそうだが、世界にもあるんだね。Find A Graveは、有名人のお墓の検索ページ。『作家の墓を訪ねよう』といったたぐいの本のオンライン版と考えればいいだろう。画像もあるので、インターネット上で墓参ができる。
ミステリ作家では、アガサ・クリスティ、レイモンド・チャンドラーといった超有名どころしか収録されていない。エラリー・クイーンさえない。
それなのに、なぜかコードウェイナー・スミスの墓が見られたりする。これはポール・ラインバーガー氏が政府の要人だったから。政府関係者はかなり網羅されているようだ。ジョン・ケージのように墓がない人でも、「火葬後、海に散骨」といったぐあいに死後の履歴がわかるのは、ありがたい。(<なんの役に立つのか?)
こんなものがあったのか、と思ったのは、岸野雄一公認ファンサイト。岸野雄一(aka寿博士)が誰かわからない人には、まったく興味ないでしょうが、わたしは感動しました。
ちなみに、岸野雄一は元・京浜兄弟社、現マニュアル・オブ・エラーズの人です。(<ますますわかんないか)ポップ・グループのファンサイトを発見。動くポップ・グループを初めて見た。
ついでに、日本の人がやってるポップ・グループのファンサイトも見つけた。"We
Are Time"に〈狂気の時〉という邦題をつけたやつは死刑にすべきだな。インターネットで墓参り。ピーター・セラーズの墓。
ディジティ・ミニミのサイトは一見の価値あり。なんと、本文の1字1字をグラフィックファイルで貼り込んである! ウェブサイトのPDF化というか、バラ打ちの写植を手貼りする感覚というか。デザインに気を使っているといえば、聞こえはいいが、ほとんどビョーキだよな。当然、コピー&ペーストもできないし。
このサイトに行くと、蓮実重臣の近況もわかる。世界でいちばんかっこいい元ピアニスト、デイヴィッド・チュードアのページ。
チュードアはかつて天才ピアニストと呼ばれた人で、ジョン・ケージの〈4分33秒〉を初演したことで有名。『回想のジョン・ケージ』という本で読んだ話だが、チュードアは、テレビを大音量でかけ、ウォッカをがぶ飲みしながら、ブーレーズ〈第3ピアノソナタ〉を練習したそうな。現代音楽のヴィルトゥオーゾとして名声を確立したが、あっさりピアニストを廃業して、電子音楽作家になった。以後、自分で電子回路を組み、わけのわからないノイズをつくり出すことに生涯情熱を注いだ。かっこいいよなー。
B'zの稲葉浩志とアート・ガーファンクルの共通点は何か?
答え——大学時代、数学科だった。
こういう豆知識が得られるのが、Famous Nonmathematician Page。数学科出身の有名人の一覧。キャロル・キングまで数学科だったとは(1年で中退したらしいが)。世界でいちばんポップな数学者、ジョン・ホートン・コンウェイのファンページ。
コンウェイは「ライフゲームの作者」と紹介するのが、いちばんてっとり早いだろう。プリンストン大学の教授で、専門は確か、群論と結び目理論。とにかく、いろいろやってる人で、娯楽数学の分野でも多大な貢献をしている。
ジョン・スラデック死す。内容がいまいちだったので、いままで紹介を差し控えていたが、スラデックのファンページをご紹介する。もっと充実したファンサイトがあってしかるべき作家だと思う。R.I.P.
M・ジョン・ハリスンのご近影。マイク真木みたいな顔してる。ついでに、彼の飼い猫。
なんか、最近、ゲイブリエル・キング名義(奥さんと共作)で猫が主人公の小説を書いて、生まれて初めて売れたらしい。よかった、よかった。
ニッチな音楽ファンのためのデータベース、IRCAMメディアテーク。
IRCAMは1975年、フランスはポンピドー・センター内に設けられた音響音楽研究所。フランス語なので「イルカム」と読む。わたしが知っていた頃は、ピエール・ブーレーズが所長をやっていたが、いまもそうなのかどうかは知らない。
このメディアテーク(マルチメディア・ライブラリ)は、かなり充実していて、現代音楽関係者の基礎情報が得られる。わたしはここでリゲティが3月28日トランシルヴァニア生まれであることを知った。だから顔がクラウス・キンスキーそっくりなのかしらん。
唯一の問題は、フランス語で書いてあること。マジでフランス語勉強しようかなー。新戸雅章さんのホームページ。内容はニコラ・テスラ一色。
もう15年以上お会いしていないが、お元気そうで何よりです。
岐阜県のバーベキューほづみでは、「美濃牛」が食べられるそうな。そんな言葉が実在したとは。今度行ってみようかな。証拠のメニュー。
DJ AD ROCKは1024×768の画面でホームページをつくるのを即刻やめるように。重くてしょうがねーぞ。
渡辺啓一くんはたぶん知ってると思うが、ラーメン公式ホームページ。(何が「公式」なのか?)
世界のインスタントラーメン好きが集うページらしいが、レシピが笑う。たとえば「メキシコ風チリチーズラーメン」というのは、
(1) インスタントラーメンを粉末スープなしでゆでて、お湯を切り、ボウルに上げる。
(2) チリソースを混ぜ、チーズをまぶす。
(3) 電子レンジで加熱する。
(4) タバスコをかけて、できあがり。どう考えても、これはラーメンじゃないぞ。
ほかにも「チキンラーメンにシェリー酒を入れる」といった異次元のレシピが満載。勇気ある人は試してください。
余談だが、粉末スープは英語で「flavor packet」というらしい。CALYX:The
Canterbury Websiteは、名前のとおり、カンタベリー・サウンドの専門サイト。フランスにあるらしい。このサイトの何が偉いかというと、Soft Machine〈Dada Was Here〉の歌詞が掲載されているところ。わたしは昔、歌詞対訳だけを目当てに《Volume
Two》の日本版を買って、〈Dada Was Here〉が「Instrumental」と表記されていたことに激怒したことがある。ロバート・ワイアットがスペイン語で歌ってる曲のどこがインストゥルメンタルなんだ。スペイン語がわからないのなら、正直にそう書けよ。
リンクも充実しているので、けっこう探索が進みそうだ。Calyxで見つけたスチュアート/ガスキンの公式サイト。
わたしはデイヴ・スチュアートのファンである。ユーリズミクスの片割れではなく、元ハットフィールド&ザ・ノースのほうです。
音楽も嫌いじゃないが、わたしはむしろ、彼の文章のファンだ。昔、〈キーボード・マガジン〉でコードワーク講座を連載していたときは、毎号欠かさず読んでいた。ここでデイヴは、コードワークを教えるなんてことは度外視して、「凶悪な和音コンテスト」を開催したりしていた。
あと、ナショナル・ヘルスの妙ちきりんな変拍子の曲の譜面を載せて、
「われわれはこの曲を3回ライヴで演奏したが、3回とも失敗した」
と書いてあったときは、死ぬほど笑った。この文才を生かして、最近はどうやら文筆業がメインになったらしく、デイヴは「ミュージシャンのための譜面講座」みたいな本を数冊出版している(邦訳もある)。そこでも、
「スラッシュメタルのギグで、9thコードを耳にすることはめったにない」
などと記して、あいかわらず笑わせてくれる。究極の本格ミステリファン、マーヴィン・ミンスキーのページ。
好きな人物リストの筆頭にジョン・ケージの名があがっていたので、ちょっとびっくりした。あと、ヴァーナー・ヴィンジ『マイクロチップの魔術師』解説原文も読むことができます。
月森聖巳さんのホームページ(2002年2月現在閉鎖中)。
ちなみに、殊能センセーはプータローをやめるために小説家になったそうです。
ミスカトニック大学のホームページ。本当に入学できるらしい。
これはたぶん有名なんだろうと思うけど、自家製爆弾づくりのホームページを発見。アスピリンからピクリン酸をつくるといった、じつに貴重な情報が得られる。
こういうの、本当にやるバカがたまにいるので、リンクはしません。どうせすぐに潰れるだろうし。