2001年8月




 先日、小説の登場人物にインタヴューする夢を見た。

「ええと、ユキさんはこの人のことをなんて呼んでますか?」

 などと細かいことを質問してる夢。目が覚めたあと、われながら、いやになった。寝てるときくらい、もうちょっと楽しい夢が見たい。


 山田風太郎氏逝去。わたしは特に初期のオフビートなミステリや明治小説が好きでした。ご冥福をお祈り申し上げます。


「RED SHADOW 赤影」関連の記事を読んでいて、麻生久美子って誰? という疑問をいだいたので、「リング0〜バースデイ」(鶴田法男監督、2000)を観てみることに。麻生久美子がどういう人かは多少わかりました。

 だが、シリーズもの(しかも番外編)なので、鶴田監督の力量はいまひとつ推し量りきれなかった。残念。

 追記。よくよく考えたら、「回路」(黒沢清監督、2001)にも出演してたね、この子。いや、全然興味ないもんで、ファンの方には申しわけない。


 amazon.frに注文したブツが届いたので、「届いた。ありがと」というインチキフランス語のメールを送ったら、返事が来た。

 このときわかったのは、フランス人はアクサン付きのフランス語でメールを送ってくるということ。

 あたりまえじゃないか、と思われるかもしれないが、amazon.frの自動confirmation mail(じゃなかった、e-mail de confirmation。発音は“エ=メユ・ド・コンフィルマシオン”かしら)は、アクサン抜きの(間違った)フランス語だった。たぶん、世界的な互換性を配慮した措置だろう。

 しかし、フランス人は当然、アクサン付きのフランス語で書いてくる。結果、2バイトコード言語圏のわたしのもとには、文字化けしまくったメールが届くというわけ。

 このままではわけがわからないので、メールをいったんテキスト保存し、YooEditで開いて、欧文フォントに切り換えた。

 しかし、わたしのMac環境と文字コードセットが異なるらしく、これでもまだわけがわからない。アクサン付きアルファベットが明らかに違う文字に変換されている。

 しかたがないので、メールのテキストファイルをHTML化し、IEで開き、文字コードセットをWestern(Latin1)に変更して、ようやく原文がわかった次第。まあ、ここまで苦労しても、何が書いてあるかはおぼろげにしかわからないんですが

 それにしても、フランス人(あるいはドイツ人、スペイン人、ロシア人)のメル友をお持ちの方は、こういう問題をいったいどう処理してらっしゃるんでしょう。パソコンの言語環境を簡単に切り換えられるように設定して、HTMLメールでやりとりしてるのかな。

 笑ったのは、メールの書き出しが「Chere Madame, cher Monsieur」となっていたこと。たぶん、名前だけでは、わたしが男か女かわからなかったんだろうと思う。


 まともな(そば粉70%の)生そばを買ってきた。少々割高にはなるが、そば湯が飲めるのがありがたい。


 8月5日、ジャイアンツがベイスターズに2連敗しても、日テレの報道はさばさばしたものだった。「巨人軍逆転優勝の秘策!」とか、そういうのまったくなし。あきらめちゃったのかしら。

 まあ、ちょっと連勝したら、またぞろ「ミラクル」とか言い出すだろうから、たまには静かなのもいいけど。


 岡崎乾二郎『ルネサンス 経験の条件』筑摩書房)を読む。

 たぶん今年読んだいちばんおもしろい本になると思う。特にマサッチオ「ブランカッチ礼拝堂壁画」の分析は圧巻。わたしはイタリアに行って、ブルネレスキの建築を見てみたくなりました。


 以前「にんげんドキュメント」(NHK総合)で、「RED SHADOW 赤影」に出演している東映の大部屋俳優(名前失念。切られ役として有名な人だそうです)が取り上げられていた。

 そのとき、「RED SHADOW 赤影」の撮影裏話も紹介されていたのだが、なんでも中野裕之監督と殺陣師のあいだで少々軋轢が生じたらしい。どうしたかというと、中野監督が「主人公は悪人を斬らない」という方針を立てたため。

「だって、人を殺すことは悪いことでしょう? ヒーローがそんなことしちゃいけない」

 と、テンガロンハットをかぶった中野監督はあっけらかんと語っていた。ラストの大立ち回りを考えていた殺陣師はいらつき、みごとに斬り殺されることを望んでいた切られ役の俳優さんはがっかり。でも、結局は監督の方針どおりになったそうな。

 テレビで流れはじめた「RED SHADOW 赤影」のスポットを見ていて、ふと思い出したので、ご報告しておきます。まあ、中野監督に頼んだ東映が悪いと思いますよ、わたしは。


 テレビで「シトラストッピングアガー」というデザートが紹介されて、

「皆さん、アガーってご存じですか? アガーというのは海草からつくったゼリーのことで、植物性だからとっても体にいいんですよ」

 と女性アナウンサーが説明した。

 怪訝に思って、英和辞書で“agar”を引いてみたら、「寒天」と書いてありました。シトラストッピングアガーねえ。まあ、「夏みかんの寒天乗せ」じゃ売れないか。


 今週のピーコの名言(「2時ドキッ!」8/8放送)。

「若く見えるというのは、26歳の人が22歳に見えること。26歳が18歳みたいな格好をするのは、若く見えるのではなく、頭が悪く見えると言います」


 最近、ストレスがたまってしかたないので、KISSのベスト盤を衝動買いし、〈Detroit Rock City〉や〈Rock N'Roll All Nite〉を大音量でかけて、うさ晴らしする。いやー、KISS最高。頭のいい人がつくった頭の悪い音楽ですね。


 アーノルド・シュワルツェネッガーの新作主演映画の邦題は「コラテラル・ダメージ」

 紹介するとき、必ず「“collateral damage”とは“副次的被害”という意味で」と前置きがつくが、それなら「副次的被害」という邦題にすればいいと思うが。もうちょっとヒットしそうな邦題がいいなら、「愛と青春の副次的被害」でどうですか。


【私家版シュヴァンクマイエル映画祭・第1日】

 すごーくめんどくさい作業が終わり、また暇になったので、ヤン・シュヴァンクマイエルのDVD4枚を衝動買いし、1日1枚ずつ観ている。アート系アニメーションには疎いので(非アート系アニメにも疎いけど)、どういう人かはよく知らないし、作品を観るのも初めて。

 最初は「短編集」。1965〜1992年の7作と、シュヴァンクマイエルを扱ったドキュメンタリーを収録。短編はどれもコントのノリでおもしろい。「フード」の第二話がいちばん好きかな。

 ドキュメンタリー「プラハからのものがたり」は、シュヴァンクマイエル本人が観られるのは興味深いが、牛乳瓶の底みたいな眼鏡をかけた評論家氏が実にくだらないコメントをしゃべるのが退屈。「シュールレアリスムは西欧では商業主義に堕したが、チェコではその効力を失ってなくて」などと解説しておられるので、途中で観るのやめました。


【私家版シュヴァンクマイエル映画祭・第2日】

 つづいて「アリス」(1988)を観る。ストーリーはほぼ『不思議の国のアリス』を踏襲しているが、独特の感覚が加味されていて、なかなかおもしろい。白兎が懐中時計を取り出すたびにおがくずを払う繰り返しのギャグや、芋虫を靴下で表現したセンスに特に感心。“不思議の国”が廃墟のアパートである点もすてきだと思いました。