. |
ネコ型社員の時代―自己実現幻想を超えて―
ネコ型社員度テスト
- 偉くなるより仕事の腕を磨きたい
- 仕事では持続力より瞬発力が大切だと思う
- 仕事より遊びが好きなのは普通のことだ
- 集団で同じ行動をするのは苦手である
- やたらと「会社のために」と言う人は何だか信頼できない
- 仕事を楽しめ、と言われても困る
- 「自分を大切にする」ことはいいことだと思う
- いまの若者は夢がない、と言う大人は変だと思う
- 自己実現とか考えすぎてもしょうがない
- 会社の上司には内弁慶が多いと思う
9個以上 立派なネコ型社員です。迷わずネコ型ライフを送ってください。
6〜8個 潜在型ネコ型社員です。おそらく本当はネコ型なのですが、職場のいろいろな事情でそうもいかないのではないでしょうか。
3〜5個 混血ネコ型社員です。一部ネコ型の要素があるようですが、今後ネコ型が開花するかは不確定です。
0〜2個 非ネコ型社員です。というより、真っ当な普通の社員であろうとするために、身の回りに増えているネコ型に苛立っている可能性があります。しかし、「ネコ型」の意味もよく分からないうちに、そうやって言われても困ってしまう。そう思われた方も多いだろう。
それでは、簡単に説明しておこう。ネコ型社員とは、昭和の日本企業で典型的と思われていた「勤勉イメージ」とは遠く、かといって自己実現に邁進するビジネスマンとも異なる、どこかつかみ所のない社員。集団主義よりも自分中心に動き、決して能力がないわけではないのに、上昇志向の緩い社員。つまり動物でたとえればネコ型としか言いようのない社員のことで、大体次のような特徴がある。
ネコ型社員の特徴
- 滅私奉公より、自分を大切にする
- アクセクするのは嫌だが、やる時はやる
- 自分のできることは徹底的に腕を磨く
- 隙あらば遊ぶつもりで暮らしている
- 大目標よりも毎日の幸せを大切にする
さて、何となくイメージが湧いてきただろうか。私の観察では、このような社員は今の若手を中心にジワジワ増加していると思う。また、今までの働き方に疑問を持ったため中年でもネコ型に転じ始めている傾向がある。
この厳しい経済環境下で、ネコ型がどうこうというのはいささか突飛に思えるかもしれない。しかし、厳しい時こそタフでしたたかな働き方が求められる。近年増殖を続けているように見えるネコ型社員であるが、今こそチカラを発揮する時だし、企業の方にも活用する度量が求められると思うのだ。
ネコ型社員は今の職場の習慣にさまざまな違和感を持っている。一方で、ネコ型の増加を感じている非ネコ型社員は、ネコ型との付き合い方に苦慮している。
だが、ネコ型社員が目立ってきたのは、それなりの理由がある。そしてその流れは今後も変わらない。つまり、職場におけるネコ型社員が力を発揮できるようにしないと、ビジネスは回っていかないと思う。
そこで本書で論じることは次のような内容になる。
まず、ネコ型社員が増えている背景について考える。そして、既にネコ型発想になっている方や潜在的ネコ型の人には、自信を持っていただきたい。こうしたネコ型志向の人には「ネコからの学び方」を考えていただければと思う。ある意味「ネコに学ぶ仕事術」のようなことである。
一方、自分はネコ型ではない、という方はネコ型理解の一助としてこの本を読んでいただきたい。気がついたら若いやつを中心に、ネコだらけで困っている方もいるだろう。そういう方にも参考になるように、「偽ネコ社員」の見分け方についても書いてある。
いまの働き方に疑問を持っている、職場の雰囲気がどうも良くない、社員どうしの感覚にさまざまなズレを感じている……こうしたモヤモヤの根っこを知り、これからのことを見つめていく。
そのために、まずは「ネコ型」をキーワードにして、これからの働き方をともに考えていきたいと思う。