「 グラマン閣下ともあろうお方が、
地方の長で満足する気などカケラもないのでしょう?。
屈強な東方軍を持っておられるというのに」
「 ふふふ …… 儂を焚きつけるためにここに呼んだか。
やれやれ、消えかかっていた野望の火種が燃え上がってきたわい」
墓地に響く鐘の音
ヒューズの墓前に置かれた白い花束
遠くに埋葬される葬送の列を見やるロイ
そこに現れた老婦人が声をかける
「お葬式ですのね」
「ん?…はあ。その様ですが」
「嫌なモノよね。この年になると何時自分がああなるのかばかり考えてしまう」
「何をおっしゃいますか、ご婦人。見た所まだお若い」
と突然投げキッスする老婦人に目が点になるロイ
「…グラマン中将閣下!?」
「ホホホホホ!待ち合わせはヒューズ准将のお墓の前でしたわよね」
堪え切れず口を押さえるロイ
「最終手段を使ったと言う事はただ事ではないと思ってね」
持参した花を供えるグラマン
「 念には念を入れ変装してきたのよね」
「 い、やぁ〜〜、流石変人と名高いグラマン閣下!。予想外の変装です。」
「 変人?。
褒め言葉として受け取っておきましょう。
で、何の用?。」
一転鋭い目を向けるグラマン
「成程…セントラル上層部はすべて黒か。しかし情報と引き換えに失ったモノ多過ぎ!信用できる部下を引き離されちゃったら元も子も無いでしょ?」
「は。返す言葉もありません」
「はあ〜。レイヴンまでもか…少し昔、わしがセントラルにいた頃にね、レイヴンに聞かれたよ。完全なる不死の軍団に興味はないか?とな」
にっこりと手を差し伸べるレイブンの姿が浮かぶ
(不死の軍団?ホムンクルスの事か?)
ホムンクルスの姿が浮かぶロイ
「不死などくだらんと一蹴してやった。そしたらその後直ぐ、儂、東方司令部に飛ばされちゃった」ニヤリとするグラマン
「左遷ですか?」
「お陰でごたごたと煩い東部問題の尻拭いをし続ける羽目になったよ」
「ごたごとと言えば、ディオールの暴動を覚えておいでですか?レト教の似非教師の陰謀が鋼の錬金術師によって暴かれた事件です」
「ああ、覚えとるよ」
「ディオールは大混乱に陥りましたが初期の段階で東方軍が迅速に行動して暴動を押さえる事が出来ました」
「が、ゼントラル軍が出張ってきて、東方軍はお払い箱にされた。だったっけな?」
「ええ。ディオールの治安が急激に悪化したのはセントラル軍が入ってきてからです」
「セントラルの奴らは何か企んでるよねえ。あ〜!やだやだ!儂の引退まで平穏無事でいてくれんもんかのう」
「またまたご冗談を!グラマン閣下ともあろうお方が地方の長で満足する等欠片も無いのでしょう?イシュバールを経験した屈強の兵を有する、東方軍を持っておられると言うのに」
「フフフフ、フハハハ…極秘連絡用メモを使うのは儂に鳴きつく時だと思っていたが儂を焚きつけるためにここによんだか。やれやれ。セントラルが面白い事になってきたお陰で消えかかっていた野望の火種がまた燃え上がってきたわい!」
「本気を出すと化粧が崩れますよ?ご婦人」
「あらいけない!オホホホホホホ」
ロイも笑い「この後お暇ですか?よろしければ何処かでお茶でも」
「まあごめんなさいねえ。御誘いは嬉しいけど…ん?」