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2012/06/01


PCでのカラー原稿の塗り方を載せたので、昔のアナログのカラーの描き方も、思いつく限りで書いてみます。


厚紙に水彩紙を貼ったボード(画材店にあります)に、直接下描きをします。
HBか、Bの濃さのシャープペンシルを使っていました。

確かクレセントボードの細目を使用。キャンソンを使うこともありました。
大きさは、ふつうのトビラサイズではB4(257 × 364ミリ)。見開きだと倍の大きさのB3サイズでした。
見開きでも大きめのものや、付録のポスターなどは、さらに大きめのB2に描いていました。

トレースダウンという方法で、下描きをすることもありました。
これは、ほかの紙に下描きをし、それをトレーシングペーパーに写したあと、トレーシングペーパーの裏にBくらいの濃さの鉛筆を塗り、ボードにその紙を置いて、カーボン紙のように、Hくらいの硬い鉛筆で下のボードに絵を写す方法です。


耐水性のカラーインクでペン入れをします。
そのまま使用したり、水で薄めて、濃さを調節することもあります。
ヌーベルデザインインキ、またはホルベインドローインクを使用。色はセピアかグレイ。


乾いた後、消しゴムをかけます。
消しゴムは、当時はトンボのmonoを使っていました。


色塗りはドクターマーチンのカラーインクで。
筆洗いは、色移りのしないガラス製の空き瓶をふたつ使っていました。
どちらも色が濁らないよう、頻繁に水をとりかえます。


インクを混ぜたりするパレットは、ペーパーパレットを使用。
これも、肌と髪用と、ほかの色用と、ふたつ使います。

最初のうちはひとつだけで、塗り終えた色はふき取って使っていたのですが、あるとき、重ねた単(ひとえ)の塗り残しに気が付いたものの、その色はふき取ってしまっていて、最初から色を作ることになりました。
しかし同じ色に、なかなかならず、時間も手間もかかることから、色は完成するまでとっておくことに。
そんなわけでの、パレットふたつ使いです。


筆は面相筆(めんそうふで)と、彩色用の筆を、複数本使います。

はじめに水だけつけた筆で下塗りをし、乾く前に薄い色から乗せていきます。
乾ききる前に、濃くしたいところに色を重ねていきます。
(カラーインクのこうした扱い方の基礎は、愛田真夕美さんのアシスタントをしていた頃に、愛田さんから教えていただきました)
画面の水分が多いときに薄い色を乗せると、ふんわりとぼけます。
濃い色を乗せると、水彩でぼかしたときのように、にじんだ感じにぼけます。
使用している紙の種類によっても、塗りが変わってきます。

画面の水分量を見ながら、そこは調節し、きっぱりと色を乗せたいときは、完全に乾かしてから色を加えます。
完全に乾かすときはドライヤーを使います。

以上の行程を繰り返して、全体を見ながら色を加えていきます。

いちばん重ね塗りの多い箇所は、顔と髪の毛でした。
最低でも5回以上は重ねていたと思います。
これはデジタルでもかわりません。


カラーインクを塗り終わり、あとは効果として、カラーのサインペンや、色鉛筆、パステルなどで仕上げ、最終的にホワイトで、修正や、ハイライトなどを入れて完成です。
ホワイトはドクターマーチンでした。

上の描き方が大半でしたが、水彩用の紙のキャンソンやアルシュなどを、ベニヤのパネルに水張りして彩色することもありました。
また、小さいカットなどは水張りせずに描いたり、色のついたデザイン紙に描いたりしています。
和紙を切って貼ったり、スタンプを使ったり、カラートーンを使ったりと、あまり画材にはこだわらず、いろいろ使っていました。


以下が、当時使っていた画材の写真です。


■カラーインク。
左が線画用の耐水性インク。右が塗り用のドクターマーチン。




■色塗り用の筆。
1、3番目の筆は彩色用、2、4、5番目の筆は、面相筆といいます。
上の3本が広い範囲を塗る筆。その下がホワイト用。一番下がこまかいところを塗る筆です。
このほかに、もっと広い範囲を塗るための、幅の広い筆もあります。




■よく仕上げのときに使っていたパステル「FABER CASTELL」です。
手にパステルが付かないよう、自分で紙を巻いています。
そのまま描いたり、カッターでこまかく削って、それを画面に置いてから、ティッシュペーパーや指などで、ぼかして使います。




■同じく、仕上げのときに効果に使っていた色鉛筆。ウン十年前に買ったもので、今も現役です。
トビラ絵の説明にも書きましたが、色鉛筆はこのほか、ふつうの色鉛筆も使っていました。





by 山内直実 [原稿のはなし] [コメント(0)|トラックバック(0)]



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