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2020.08.04
連載 : 「三好弥」には昭和が残っていた~“実用洋食”一門の系譜をたどる~
都内各地に存在する「三好弥」という屋号の洋食店、またはとんかつ店をご存知ですか?大抵の場合、そのたたずまいは「昭和の風情」といった感じの店。どこかの町の三好弥で一度は食事をしたことがある、という方も少なくないのではないでしょうか。それぞれの店にはどのような関連性があり、どんな歴史をたどってきたのか?その疑問を解くために、三好弥の系譜をたどります。

大正に生まれた洋食店一門
1970年代に連載され、アニメ化、舞台化もされた人気漫画である大和和紀さんの「はいからさんが通る」には、大正期の小石川区柳町が主な舞台のひとつとして描かれている。現在の文京区小石川である。
主人公の花村紅緒が通う女学校は、かつてこの地に校舎を構えていた跡見学園がモデルである。柳町という響きのいい町名はいま残ってはいないが、跡見学園の跡地に建つ柳町小学校に、わずかにその名を残している。

はいからさんが通る」と同時代の大正8年(1919年)、柳町に一軒の洋食店が開業した。当時、洋食と言えばまさに「はいから」で贅沢なものだったが、その店は「實用(実用)洋食」を謳い、比較的安価で庶民にも手が届く洋食店を目指した。大正から昭和にかけて付近には複数の女学校が建ち、また白山通りを挟んだ東側には三業地があった。多くの女性も行き交う、華やいだ町であったに違いない。
店主は愛知県高浜町(現・高浜市)から上京し、神田の洋食店で修業をした長谷川好彌氏。故郷の三河と自身の名前を合わせ、店名を「三好彌」とした。好彌はのちに三河から兄弟や縁者を呼び、弟子として修業をさせた。私が知り得た限りでは7人がのれん分けを許され、新たな「三好彌」を開店させたという。

戦後には弟子の店からのれん分けされて一門が増え、「三好彌会」も結成された。創業時は純粋な西洋料理店だったそうだが、のちにとんかつなどのフライもの、オムライスやカレー、丼もの、ラーメンや餃子も扱うようになり、メニューにはずらりと「昭和のご馳走」が並んだ。
「一門130店」を目指したが、のれん分けを許されるには10年の修業が必須という厳しい条件があり、また一門からの離脱や廃業もあって目標には届かなかったようだ。それでも昭和40~50年代には都内を中心に約90店が存在したと言われている。まさにファミレスの先駆けともいえる。

平成初期には都内を中心に60店近くあった三好弥(現在は「弥」と表記)も、いまは都内に26店、三河安城市に1店、所沢に出前だけを行なう店が1店となった。柳町の創業店もいまはない。
私が住む町に隣接する葛飾四ツ木にも、かつて三好弥があった。前を通るたびにその店構えが気になっていたが、入りそびれるうちに2、3年前に廃業されてしまった。昨年の夏、近所で昼ご飯を食べようと定食屋さんを探しているとき、近所にも同じ屋号の店があることを知った。その日から私の三好弥めぐりが始まった。

酒飲みの町・立石の定食屋
「せんべろの町」と呼ばれ、遠方や他県からも酒飲みたちが訪れる葛飾区立石。京成押上線の高架工事で飲み屋街の一部は取り壊されたが、それでも数多くの飲み屋や飲食店が、京成立石駅を挟んだ南北わずか200メートル四方に存在する。駅北側の飲み屋街が途切れたあたりから京成青砥駅方面に5分ほど歩いた場所に「立石・三好弥」はある。

本日のおすすめメニュー
店に入ると、この年代の女性としてはすらりと背が高いおかみさんがニコリと出迎えてくださった。メニューにはハンバーグ、ヒレカツやエビフライなどの揚げ物、丼もの、ラーメンと決して目新しくはないが、食欲をそそるご馳走がずらり。頻繁に通っても飽きそうにない。手書きのメニューには日替わりの酒の肴も揃っている。
注文したハンバーグ定食が、鉄板に乗せられて届く。下にはキャベツともやし炒めが敷かれ、目玉焼きが添えられている。洋食店でいただく料理に目玉焼きがついていると、それだけでごちそう感が一段上がったようで嬉しくなる。定食には冷奴もついて850円、単品なら600円。これだけでビール2本は飲めそうだ。

定食
長谷川好彌氏の孫弟子にあたる江戸川橋・三好弥、神谷清一氏の元で修業をされた店主の碓井徹さんは、昭和56年(1981年)3月にのれん分けを許され独立。昭和47年に結婚した妻・広子さんは、神谷清一氏の末娘である。
馴れ初めはまるで恋愛ドラマのようだ。映像制作の仕事をしていた徹さんは、渋谷の喫茶店で働いていた広子さんとは顔見知りだった。その後、都内のいくつかの場所で偶然に顔を合わすことが続き、「運命を感じた」。
娘との結婚を許すために出された条件は、「料理人になること」だった。セブンイレブンは昭和49年5月、「ほか弁」は昭和51年6月、ともに1号店が開店、世の中にはまだコンビニもほか弁もなく、洋食店には昼夜を問わず客が溢れていた時代。父親は娘に苦労をさせないようにと考えたのかもしれない。徹さんは映像制作の夢を諦めた。

店主夫妻
「修業はとても厳しかった」と話す。理由も聞かされないまま、先輩から何度も何度もダメ出しをされ続けたオムライス。ある日、それを食べた客が「美味しかったよ」と言ってくれたときは店の裏で嗚咽した。「ほろっと涙がひとつ出て、そのあとは止まらなくなりました」。
何の所縁もなかった立石に来た当初、都会育ちの広子さんは「なんて田舎なんだろう」と感じたそうだ。「なのに飲み屋と酒屋がやたら多い変な街だなって」と笑う。ときにはケンカもしながら夫婦で守り続けた店。常連さんたちの食卓として、すっかりこの町に馴染んだ。
ひとしきり話を聞き終えたとき、徹さんは広子さんを見やりながら、「よくやってくれたと尊敬してます。私ね、今でも惚れてるんですよ」と、やや照れながら言った。

店舗情報
店舗情報
立石・三好弥
【住所】東京都葛飾区立石6‐21‐10 【電話番号】03‐3696‐9321 【営業時間】11:00~14:00、17:00~22:00 【定休日】日曜 【アクセス】京成本線青砥駅」より6分
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文・写真:藤原亮司

藤原 亮司
藤原 亮司 (ジャーナリスト/ジャパンプレス所属)
1967年生まれ。大阪府出身。1998年から継続してパレスチナ問題の取材を続けている。他に、シリア内戦、コソボレバノンアフガニスタンイラク、ヨルダン、トルコ、ウクライナなどにおいて、紛争や難民問題を取材。国内では在日コリアン東日本大震災原発被害を取材。著者に「ガザの空の下 それでも明日は来るし人は生きる」、共著に「戦争取材と自己責任」(ともにdZERO刊)。「下町の酒都」葛飾区立石に20年以上暮らし、海外取材に出ていないときは日々酒を飲む暮らし。この人の記事をもっと見る
#ハンバーグ
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「三好弥」には昭和が残っていた~“実用洋食”一門の系譜をたどる~
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「三好弥」には昭和が残っていた~“実用洋食”一門の系譜をたどる~
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2020.08.18
連載 : 「三好弥」には昭和が残っていた~“実用洋食”一門の系譜をたどる~
観光地として人気の街・浅草にも「三好弥」はあります。都内に点在する三好弥の中でも初期にのれん分けを許された店です。戦争を乗り越えて、長い間この街を見守ってきた店はどのような物語があるのでしょうか。

1945年(昭和20年)3月9日。夜間にマリアナ諸島を飛び立ったアメリカ陸軍B‐29爆撃機の大編隊は、2400キロ離れた東京を目指した。やがて東京上空に到達した279機は、日付けが変わった10日0時7分に最初の焼夷弾を投下。編隊は深川、本所、浅草、日本橋へと次々に襲いかかり、木造家屋がひしめく下町に絨毯爆撃を行なう。住宅密集地に点在する町工場や家内工業所も軍需産業の一端を担う、との米軍司令部の判断により、一般市民の生命は顧みられることはなかった。
攻撃範囲はさらに周辺にも拡大し、火災旋風も各地で発生。人々は逃げ場を失ったまま業火に焼かれた。その夜に投下された焼夷弾は38万1300発、1665トン。焼失家屋26万717戸、罹災者は100万人、約10万人が命を落とした。1日あたりの死者数は広島の原爆被害を超え、今も世界史上最悪の空爆である。強い季節風による延焼効果を狙って行われたこの焦土作戦東京大空襲」を、米軍では「ミーティングハウス2号作戦」と呼ぶ。

まだ太平洋戦争の開戦前、1935年(昭和10年)の春に撮られた古い写真が残っている。「實用(実用)洋食」と大書きされた看板がかかる木造店舗にはいくつもの花輪が並び、その前には店主である佐々木光四郎氏ら6人が写っている。

古い写真
1900年(明治33年)に三河から上京し、神田の洋食店で修業を積んだ長谷川好彌氏が小石川柳町で創業した洋食店「三好弥」からのれん分けを許された、「千束・三好弥」開店時の写真である。
浅草寺の北側に当たるこのあたりは当時、東京一の規模を誇った花柳界が存在し、さらに千束方面に進めば新吉原もある華やいだ繁華街だった。庶民にはまだ高価なものであった洋食だが、「實用」を謳う三好弥は手頃な値段でご馳走が食べられると、人気店になった。

初代店主の光四郎氏は三好弥一門の中では珍しく、三河出身ではない。故郷の宇都宮から上京して働くうちに伝手ができ、長谷川好彌氏のもとでの修行に入ったという。そして、三河からたびたび店に遊びに来ていた好弥氏の妹と恋仲になった。ふたりは所帯を持ち、二男一女の子をもうけた。
ところが、戦争が一家の運命を一転させる。東京大空襲で浅草一帯は炎に包まれ、家も店も焼失したという。
「どこで、どんなふうに亡くなったかも分からなくて」
今年80歳になる2代目店主、光一郎さんは話す。当時4歳だった彼は、母親についての記憶もほとんどない。その日、偶然に子どもたちの疎開先を訪れていた光四郎さんとともに戦禍を逃れた。しかし、浅草に残っていた母親と末の弟は不幸にも命を落とした。夫が不在の夜に襲った大空襲の中、母親が幼い子どもを抱えてどんな思いをされたのかは想像を絶する。
「だから、昔の写真は何も残っていないんですよ」。開業時の写真も、「たまたま親戚が持っていたものを譲ってもらったんです」。
戦後、光四郎さんは店を再建し、2人の子どもを育て上げた。

二代目店主の佐々木光一郎さん(右)と三代目店主の浩さん(左)。
二代目店主の佐々木光一郎さん(右)と三代目店主の浩さん(左)。
「本当は店を継ぎたくはなかったんですが……」、と光一郎さんは笑う。「商船学校に行きたかったんですよ」。しかし、父親の頼みを断ることはできず夢を捨てた。「親父が好きでしたから」。
カツレツ、ポークソテー、ハンバーグ、カレー、オムレツ……。19歳から父親のもとで仕込まれ、長谷川好彌直伝の洋食を覚えた。
「でもね、やはり継いでよかったですよ。店をやっているからこそ人との結びつきができて。この地域により溶け込めたと思います」
花街関係者だけでなく、浅草の地場産業である皮革関係の職人や社長たちからもひいきにされ、店は賑わった。地域との関りはより深まり、浅草・三社祭では町会の祭事部長を務めるほどに、光一郎さんはこの町に馴染んだ。

時代や町の移り変わりとともに、メニューも洋食中心のものから、よりとんかつや揚げ物をメインにした。店名も「とんかつ 三好弥」と変えた。
「なにしろ、(和食の)とんかつではなく、洋食店の頃はカツレツでしたから、ソースも違うんです」。そう話してくれたのは、今年51歳になる三代目の浩さんだ。他店で修業を積んだのちに店を継いだ。光一郎さんとともに工夫を重ね、ソースもよりとんかつに合うものに変えた。
「これが創業以来続いているメニューです」。そう言って浩さんに出していただいたのは「合皿」と名付けられた、ハンバーグ、肉フライ、エビフライが盛られたミックスフライ。付け合わせにはポテトサラダとロースハムが添えられている。肉フライとはヒレ肉の天ぷらで、他の三好弥でも見かけることがある一門伝統の料理だ。
初代の頃はおそらく洋皿に盛られていたであろうこのご馳走を、来店した父親はつまみにしつつビールを飲み、子どもたちは歓喜しながらご飯とともに食べる昭和の洋食店の家族の情景が、私自身の記憶と重なり頭に浮かぶ。

とんかつ
改良を重ねたソースにはお好みで胡麻を加えられる。胡麻の香りがより一層とんかつの旨味を引き立て、食欲をそそる。
合皿
店のメニューは年月と共に変化してきたが、唯一創業以来変わらないメニューである「合皿」。まさに昭和の味が息づいている一皿だ。
いま光一郎さんは、厨房を息子に任せて主に接客をされている。
店を継ごうと思ったきっかけを問うと、「親父に頼まれたことはなかったけど、なんとなく自分が継ぐものだとずっと思ってましたから」。そう応える息子を、光一郎さんは何も言わずに穏やかに眺めている。
「自然な成り行きですかね。(三好弥が)私たちの生業ですから」。迷いのない口調で浩さんは話す。創業から85年、長谷川好彌が直接のれん分けをさせた店としては現存する唯一となった千束・三好弥。三代にわたる父と息子の語らずとも内に秘めた思い、互いへの想いがこの店の味と看板を守り続けた。
「店をやっていて嬉しいことは、今も“三好弥一門”をたどって見知らぬお客さんが来てくださることですね。祖父はどんな思いをもって料理を作っていたんだろうかとも考えます。もし聞けるなら、その思いを聞いてみたいですね」と、浩さんは笑った。

店舗情報
店舗情報
千束・三好弥
【住所】台東区浅草3‐17‐5 【電話番号】03‐3874‐2250 【営業時間】11:30~14:00 17:00~21:00 (水・日・祝は20:00) 【定休日】不定休 【アクセス】つくばEXP「浅草駅」より6分
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文・写真:藤原亮司

藤原 亮司
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