銭湯が無くなるのは、ユニットバス技術の進化か?


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漫画貧乏


漫画業界には「連載貧乏」という恐ろしい言葉があります。

初めての週刊連載。
張り切って描いたはいいけど、人気が出ず半年で打ち切り。
残ったのは借金だけ。
こんな状況を指す言葉です。


僕が「海猿」を連載し始めた頃、原稿料は1枚1万円でした。
週刊連載で1話20ページですから、月産80枚=80万円の収入です。

そこからまず、8万円が源泉税として引かれまして残り72万円。

スタッフを3人雇っていましたので、人件費が1ヶ月47万円で、残り25万円。

仕事中のスタッフの食費が約10万円で、残り15万円。

画材代、資料代が約10万円で、残り5万円。

仕事場の家賃が7万円で、残りマイナス2万円。

さらに、光熱費や諸経費が5万円で、残りマイナス7万円。

その他に、自分自身の生活費がかかりますし、スタッフにもたまには焼き肉でも食べさせてやりたい、などとなると、どう少なく見積もっても、毎月20万円の赤字になります。

家賃7万のアパートとなると、東京で一人暮らしの方は想像がつくと思いますが、せいぜい6畳台所付きです。
1日20時間労働が当たり前で、昼も夜もなく仕事をしていれば、当然、近隣の住人から苦情が出ます。

漫画貧乏 03


ここ数日、楽しい感じの日記が続いてしまいましたので、今日は再び生々しい日記を書きます。

前回までの「漫画貧乏」の日記では、新人漫画家は原稿料では生活できないというお話をしてきました。

今日は、「では、漫画家生活12年目の現在はどうか?」というお話をします。

僕は今、年間450ページ程の原稿を描いていて、原稿料にすると、約1600万円をいただいています。


それにプラスして、「新ブラックジャックによろしく」の場合、僕の企画と言うことで、1話につき15万円の企画料をいただいています。

一方、支出はと言いますと、スタッフを6人雇っていますので、人件費は保健料などを含めて年間約1800万円かかります。
原稿料と企画料を合わせて、大体プラスマイナスゼロという所でしょうか?

もちろん、画材費や取材費など、他にもランニングコストがかかるので、それらを含めると赤字ですし、僕の生活費はここから出ません。

「もっといっぱい描け」とか、「描くのが遅いからだ」とか、「雇ってるスタッフの数が多過ぎる」とか、いろいろ言われることもありますし、見直さなきゃいけない点も多々あるとは思いますが、僕はこの1800万円というお金を、自分とスタッフが人間らしい暮らしをするために、最低限必要な経費だと思っています。
1800万円を6人で割ると、年収は1人300万円、20代のサラリーマンの平均よりちょっと低いくらいです。

漫画家のスタッフは、漫画業界にとって大切な資源です。
彼らがいなければ、漫画という産業は成立しません。

**今までのあらすじ。

漫画家は原稿料では生活して行けません。
かと言って、印税生活というのは、それほど楽しい物ではないようです。
漫画家というのは、職業の名前ではないのでしょうか?
ギャンブルの名称の一つなのでしょうか?
しかも、100人に1人勝てるかどうかのギャンブルでしかないのでしょうか?


さて、今日も生々日記です。
今までのあらすじ。

漫画家は原稿料では生活して行けません。
かと言って、印税生活というのは、それほど楽しい物ではないようです。
漫画家というのは、職業の名前ではないのでしょうか?
ギャンブルの名称の一つなのでしょうか?
しかも、100人に1人勝てるかどうかのギャンブルでしかないのでしょうか?


さて、今日も生々日記です。

数字の苦手な方は、大体1冊150円で本ができるという所だけ頭に入れておいてください。

本というのは、刷り部数によって原価が大きく変わってきます。
上記のデータは、5万部刷った場合の数字です。

では、仮に10万部すった場合の原価を計算してみましょう。
版下代、凸版代、写植代、原稿料は10万部すった場合でも変わりませんし、人件費もそう大きくは変わりません。
それをふまえて、原価を計算すると、10万部単行本を作った場合に必要な原価は、12,490,016円です。
原価は1冊あたり125円になりました。




まとめると、このような数字になります。

刷り部数5万部  原価150円

刷り部数10万部 原価125円

計算してみると、初版が5万部の単行本と、初版が10万部の単行本では、約430万円の利益の差がでます。

10万部刷った方が430万円儲かる訳です。
では、この430万円は誰の懐に収まるでしょうか?





答えは、全額、出版社の利益となります。





漫画家には1円も還元されません。
僕の単行本は「ブラックジャックによろしく」で言うと、1冊100万部近く売れていますから、出版社は5万部売れる単行本を作るよりも、1冊につき5000万円程、余分に儲かっています。

それでも、僕には1円も還元されません。
全13巻ですから、6億円以上儲かっているはずですが、1円ももらえません