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野獣死すべし(1980年) (コメント数:201)
1 @kira 2013-02-08 22:00:00 [携帯]

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2 @kira 2013-02-20 21:30:07 [携帯]


320 x 455 『野獣死すべし』1980
 
スタッフ
■製作 角川春樹
■原作 大藪春彦
■脚本 丸山昇一
■監督 村川透
■プロデューサー 黒澤満 紫垣達郎
■撮影 仙元誠三
■音楽 たかしまあきひこ
■演奏 岡野等と荒川バンド
■照明 渡辺三雄
■録音 福島信雅
■美術 今村力
■編集 田中修
■助監督 小池要之助
■製作担当者 青木勝彦 山本勉
■スチール 関谷嘉明
■テクニカル・アドバイザー トビー門口
■フラメンコ指導 小松原庸子
音楽監督 鈴木清司
■音楽プロデューサー 高桑忠男(東映音楽出版)
■音響効果 坂井三郎(東洋音響効果グループ)
■録音スタジオ にっかつスタジオセンター
■サントラ盤 コロンビア・レコード
■現像 東映化学
■製作協力 東映セントラルフィルム 東映芸能ビデオ 東映俳優センター
■製作 角川春樹事務所 東映
■配給 東映
■協力 オンキョー
 
キャスト
■伊達邦彦 松田優作
■真田徹夫 鹿賀丈史
■華田令子 小林麻美
■原雪絵(真田の恋人) 根岸季衣
■エリカ 岡本麗
■柏木秀行 室田日出男
■乃木(東大の同窓生) 風間杜夫
■結城(東大の同窓生) 
岩城滉一
■東条(東大の同窓生) 阿藤海(現 阿藤快)
■小林 泉谷しげる
■峰原(カジノの元締め) 安岡力也(現 力也)
■黒岩 山西道広
■警官 角川春樹
■岡田(警視庁捜査一課 警部補) 青木義朗
■遠藤(銃の密売人) 佐藤慶
■永友(宝石店・銀座ジュエル店員) 草薙幸二郎
■沙羅(雪絵の店のホステス) 前野曜子
■奥津 トビー門口
■立花 井上博一
■石島 吉岡ひとみ
■梅津 江角英
■白井 関川慎二
■平井 加藤大
■銀行ガードマン 清水宏
 
3 @kira 2013-02-20 21:34:11 [携帯]


320 x 455 チラシ
4 @kira 2013-02-20 21:35:16 [携帯]


360 x 454 ウラ
5 @kira 2013-02-20 21:45:25 [携帯]


380 x 383 『伊達邦彦‐魂の彷徨‐』
 
この作品の主人公伊達邦彦には肉体がない。
肉体が死んでいるのだ。
病んだ魂が肉体にこびりついている。つまり幽霊である。
伊達邦彦の呪縛された魂の解放プロセスを描いたのがこの映画なのだ。
 
優作は語る『伊達邦彦の肉体を棄てたかったんだよ』
 
松田優作は脚本家丸山昇一に『原作通りにはやらん』と語り、『何を仕出かすか分からない危ない男が街に潜んでいる話をやりたい』と話した。
 
企画から数カ月したあるパーティー松田優作は丸山に
 
『伊達邦彦を捕まえたよ。ちょっと見てくれ』
 
と言った。
 
優作は何もせず、瞳の輝きだけが落ちて行き、首をゆっくりと回し振り向いた。
これがあの『野獣死すべし』の出発点である。
 
松田優作は自分のイメージから発展した安易な企画に満足しなかった。
優作がやりたかったのは本物の野獣だったのではないか。
我々は獣を暴力の権化として恐怖する!
しかしそれは獣が生きる為には当然の行為なのだ。
 
肉体を失った獣が決して癒される事はない。
そして獣は癒やしを求め次の獲物を獲る為に新たな行動を始める!
6 @kira 2013-02-20 22:25:15 [携帯]


500 x 699 パンフレット①
7 @kira 2013-02-20 22:26:51 [携帯]


500 x 718 パンフレット②
8 @kira 2013-02-20 22:28:32 [携帯]


500 x 701 パンフレット③
9 @kira 2013-02-20 22:30:58 [携帯]


500 x 697 パンフレット④
10 @kira 2013-02-20 22:32:34 [携帯]


500 x 703 パンフレット⑤
11 @kira 2013-02-20 22:34:01 [携帯]


500 x 712 パンフレット⑥
12 @kira 2013-02-20 22:35:41 [携帯]


500 x 702 パンフレット⑦
13 @kira 2013-02-20 22:37:36 [携帯]


500 x 705 パンフレット⑧
14 @kira 2013-02-20 22:38:40 [携帯]


500 x 706 パンフレット⑨
15 @kira 2013-02-20 22:39:57 [携帯]


500 x 702 パンフレット⑩
16 @kira 2013-02-20 22:41:04 [携帯]


500 x 702 パンフレット⑪
17 @kira 2013-02-20 22:42:10 [携帯]


500 x 707 パンフレット⑫
18 @kira 2013-02-20 22:44:07 [携帯]


500 x 711 パンフレット⑬
19 @kira 2013-02-20 22:46:03 [携帯]


500 x 747 パンフレット⑭
20 @kira 2013-02-20 22:47:31 [携帯]


500 x 704 パンフレット⑮
21 @kira 2013-02-20 22:48:32 [携帯]


500 x 700 パンフレット⑯
22 @kira 2013-02-20 22:50:09 [携帯]


500 x 701 パンフレット⑰
23 @kira 2013-02-20 22:52:02 [携帯]


500 x 711 パンフレット⑱
24 @kira 2013-02-20 22:53:13 [携帯]


500 x 699 パンフレット⑲
25 @kira 2013-02-20 22:54:11 [携帯]


500 x 704 パンフレット⑳
26 @kira 2013-02-20 22:55:54 [携帯]


500 x 707 パンフレット21
27 @kira 2013-02-20 22:57:06 [携帯]


500 x 704 パンフレット22
28 @kira 2013-02-20 22:58:12 [携帯]


500 x 711 パンフレット23
29 @kira 2013-02-22 16:40:27 [携帯]


450 x 600 『伊達邦彦‐魂の彷徨‐』
 
この作品の主人公伊達邦彦には肉体がない。
肉体が死んでいるのだ。
病んだ魂が肉体にこびりついている。つまり幽霊である。
伊達邦彦の呪縛された魂の解放プロセスを描いたのがこの映画なのだ。
 
優作は語る『伊達邦彦の肉体を棄てたかったんだよ』
 
松田優作は脚本家丸山昇一に『原作通りにはやらん』と語り、『何を仕出かすか分からない危ない男が街に潜んでいる話をやりたい』と話した。
 
企画から数カ月したあるパーティー松田優作は丸山に
 
『伊達邦彦を捕まえたよ。ちょっと見てくれ』
 
と言った。
 
優作は何もせず、瞳の輝きだけが落ちて行き、首をゆっくりと回し振り向いた。
これがあの『野獣死すべし』の出発点である。
 
松田優作は自分のイメージから発展した安易な企画に満足しなかった。
優作がやりたかったのは本物の野獣だったのではないか。
我々は獣を暴力の権化として恐怖する!
しかしそれは獣が生きる為には当然の行為なのだ。
 
肉体を失った獣が決して癒される事はない。
そして獣は癒やしを求め次の獲物を獲る為に新たな行動を始める!
30 @kira 2013-02-22 17:01:21 [携帯]


334 x 500 『野獣死すべし』製作発表記者会見
1980年7月
東宝撮影所
 
松田優作の演技メソッド』
 
俳優[松田優作]は『野獣死すべし』で何をしようとしたのか。
 
それは1973年に遡る。
優作はバーボンを携えてある男の家を訪ねる。
 
その男の名は原田芳雄
優作が憧れていた俳優である。
 
面識はなかった。唯、憧れの俳優に会いたかった。
太陽にほえろ!』への出演が決まった事を報告して同じ世界の住人となる事を伝えたかった。
 
優作が通された部屋で原田は映画のスタッフと麻雀をしていた。
優作は部屋の片隅に正座すると麻雀を打つ原田を眺めていた。
 
原田も優作も挨拶を交わしたっきり特に会話を交わす訳でもなくただ雑然と時間だけが流れた。
 
麻雀を打つ原田は時折、スタッフや脚本家と次回作の話を冗談混じりに話し、原田はそれに対し自分のアイディアを出した。
それは優作にとって新鮮な衝撃だった!
映画とはそれぞれがそれぞれの仕事をしているだけだと思っていたからだ。
優作は益々、原田に心酔していった。
 
昼に優作が訪問してどれだけの時間が経ったろう。
すでに外は暗くなっていた。
優作は一礼すると帰っていった。
 
ふと優作の居た隅に目を遣ると封を切ったバーボンの空き瓶が残されていた。
中は空だった。
優作が一人で全部飲んでしまっていたのだ。
 
そんな優作の事を原田は直感的に
 
『彼奴とは一生の付き合いになるな』
 
と確信した。
 
原田邸を出た優作は
 
『いいなあ。いつか俺もあの人みたいに自分の作りたい映画を作れるようになりたいなあ』
 
と感じながら家へと帰っていった。
31 @kira 2013-02-22 17:28:03 [携帯]


342 x 500 『野獣死すべし』製作発表記者会見
1980年7月
東宝撮影所
 
その『己の映画』を作る為の『共犯者』が監督村川透や撮影監督仙元誠一や脚本家丸山昇一だった。
 
憧れの人の真似をする様に最初は原田芳雄がしているからという理由だったのだろう。
 
デビュー当時から現場では演技は言うに及ばず、脚本 演出にまで自分の意見を出した。
しかしそれが聞き入れられる事は稀だった。
毎週放送されるドラマでは全てが流れ作業。
優作の意見を聞き入れていては作品が完成しない。
 
『そんな作り方でいいものなんか出来る筈がない』
 
優作は安易な現場に失望し役を降りた。
現場への不信感が募った。
 
しかし別の人生を演じられる映画の魅力に取り憑かれてからはそれが徐々に自分の血と肉になりのめり込んでいった。
 
そのきっかけが1977年の『大都会PARTⅡ』だった!
TVドラマだったがスタッフは映画出身者だった。
優作はこの仕事に乗り気ではなかったが寛容な現場で優作の意見も取り入れ遊ばせてくれた。
優作にとって思いがけない収穫だったのが監督・村川透との出会いだった。
村川監督とはフィーリングが合い、撮影を楽しむようになった。
優作は次第にかつて埋もれさせていた夢を意識するようになる。
【アクション俳優として代表作となる映画を撮る】
村川監督となら、それが可能だと実感した。
優作が初めて信頼出来る【共犯者】と出会った瞬間だった。
『大都会PARTⅡ』は優作が仕事に絶望せず、【共犯者】と出会う事によって、映画というステージに向かうステップとなった作品だった。
32 @kira 2013-02-22 17:33:45 [携帯]


352 x 500 『野獣死すべし』製作発表記者会見
1980年7月
東宝撮影所
松田優作は、『野獣死すべし』で俳優として大きく変貌を遂げた。
まず外見が、『これがあの松田優作か』といわしめるほどに変わっている。
それが、優作のトレードマークだったパーマを辞めた事にあるのは明白である。
では何故、優作はあの独特のヘアスタイルを辞めたのか?
役作り。
そうではない。
それは、松田優作に関わる二人の女が関係している。
1979年、優作は一年振りの連続ドラマ『探偵物語』に出演する。
その第1話にゲスト出演したのが、熊谷美由紀だった。
二人は仕事を通していつしか、恋愛関係に発展していった。
当時、優作は松田美智子さんと結婚しており、一人娘もいた。
事実上の不倫関係であった。
優作と美由紀の関係が深まって行くに従い、美智子夫人との関係は悪化していった。
あの優作のパーマは、実は美智子夫人が施していたのだ。
美由紀との愛が深まるに伴い、美智子夫人と疎遠になっていった優作はパーマをかけてもらう事を頼めなくなった。
当然、ヘアスタイルを変えざるを得なくなってしまった。
こういう自身が招いた環境の変化が優作のプライベートと演技の変容を余儀なくした事は間違いないだろう。
優作にとって、演技も家庭も同じライン上にあったのだ。
そして、優作は『野獣死すべし』撮影終了と共に美智子夫人のもとを去り、熊谷美由紀と同居するのだった。
松田優作自身が変わって見えるのは、二人の女の影響ではないだろうか。
33 @kira 2013-02-22 17:35:17 [携帯]


334 x 500 『野獣死すべし』製作発表記者会見
1980年7月
東宝撮影所
34 @kira 2013-02-22 18:51:08 [携帯]


338 x 500 日比谷公会堂でのクラシックコンサートロケ
 
1980年8月1日
 
8月1日、東京・日比谷公会堂で『野獣死すべし』クラシックコンサートの撮影が行われた。
エキストラは全員素人で1300人が会場に集結。
『優作作品に無料でご協力下さい』と新聞、雑誌で公募。
5000通の応募があった。
1300人を選出した。
謝礼は文庫本(210円)と試写状2枚(40円)のみ。
撮影は正午から6時まで拘束されたが、交通費は自腹、弁当なしでも、不満は出なかったという。
優作を見るために1300が集まったのだから、いかに優作人気が高かったかが窺える。
通常ならばこれだけのエキストラを集めるだけで当時の日当で650万かかるが謝礼の32万5000円で20分の1で済んだのだから経費削減に製作の角川春樹東映サイドはニンマリ。
これに味をしめた角川春樹はその後、『汚れた英雄』のレースシーンの撮影のエキストラを会場に当時人気絶頂期だった薬師丸ひろ子を呼んで集めた。
受験勉強のため、休業中の薬師丸みたさにファンが殺到したのは言うまでもない。
角川映画の公開時期に合わせて出演俳優のスキャンダルが新聞、テレビを賑わせるなど、角川の商魂の逞しさには舌を巻いたものだが、本人の麻薬不法所持による逮捕というスキャンダルで角川映画も失速していった事は笑えないジョークである。
35 @kira 2013-02-22 18:53:05 [携帯]


333 x 500 日比谷公会堂でのクラシックコンサートロケ
 
1980年8月1日
36 @kira 2013-02-22 18:54:06 [携帯]


234 x 497 新聞記事
37 @kira 2013-02-22 20:59:09 [携帯]


360 x 480 『野獣死すべし』にかける意気込みを語る松田優作村川透監督
 
当時『水曜ロードショー』の解説をしていた水野晴郎氏がインタビューしたモノ。
レッドも見ましたが語られた内容は覚えてません。
YouTubeに動画がアップされていましたが今は削除された様です。
動画ではBGMの為、ボソボソ話す優作の声は聞き取れませんでした。
恐らくは『現代の野獣死すべし、自分達の解釈した野獣死すべしをやりたい』という旨を語っていたんでしょう。
 
※因みにBGMとは劇中、逃亡した伊達が乗った列車内で逃げる柏木を伊達が撃つシーンで掛かっていた『TOKYOマシーン』という曲でした。
レッドは長年『水曜ロードショー』のテーマだと思い込んでいましたので動画を見て意外でしたね。
 
優作が掛けている眼鏡は減量の影響で視力が落ちた為に作ったモノです。
映画でも使っています。
そして伊達邦彦の不気味な感じを出す為、白塗りメークで芝居していました。
 
隣は監督の村川透氏。
38 @kira 2013-02-22 21:19:32 [携帯]


368 x 550 『野獣死すべし』DVD&Blue-Ray画像比較
 
優作の角川映画出演作品のBlue-Ray(以後B)が発売されたので既出のDVD(以後D)との比較をしましょう
 
まずは伊達邦彦初登場シーン!
『D』では全体的に青過ぎる。
そして解像度が甘いので画質は悪い。
このシーンは俯瞰撮影で伊達と青木の動きを捉えているので肝心の動きが鮮明に見えないと映像的興奮が味わえない。
39 @kira 2013-02-22 21:21:22 [携帯]


368 x 550 一方『B』では画質の青の基調が抑えられ自然な発色です。
解像度が格段に上がったので雨粒に反射する光のひとつひとつが確認出来ますね。
このシーンは伊達邦彦の初登場であると共に初めての殺人シーンでもある重要な場面です。
是非とも高解像度の映像で観たいシーンです。
40 @kira 2013-02-22 21:24:28 [携帯]


368 x 550 続いて『銀行襲撃』シーン
 
『D』は人物も銀行内も少しぼやけた印象 を受けますね。
緊迫したシーンも迫力に欠けます。
41 @kira 2013-02-22 21:25:54 [携帯]


368 x 550 次は『列車内』での伊達邦彦の表情
 
『D』では画面が暗く全体的に青みが強い。
顔のパーツもノッペリした印象。
42 @kira 2013-02-22 21:28:52 [携帯]


368 x 550 これが『B』では人物も画面全体も非常に鮮明になり人物ひとりひとりの動きも鮮明でセットの奥行きも広く感じられます。
 
今村力氏渾身のセットが鮮やかに蘇えって来ます!
43 @kira 2013-02-22 21:30:41 [携帯]


368 x 550 次は『列車内』での伊達邦彦の表情
 
『D』では画面が暗く全体的に青みが強い。
顔のパーツもノッペリした印象。
44 @kira 2013-02-22 21:32:27 [携帯]


368 x 550 『B』では画面全体の青に不自然さがなくなり肌の色合いもよりフィルムに近いモノとなっている。
瞳の濡れた感じもより鮮明になり、伊達の狂気が際立っています。
 
こうまで違ってくると最早別物と思われるくらいです。
実際『D』は画質を加工していたので映画とは別物というのは正しいかも知れませんね。
ただし『B』も別物である事には変わりありませんから、これから出てくるであろう次世代メディアがどんどん本物に迫って行くのだろうと思います。
 
『そう…これで終わりって酒だ!』
45 @kira 2013-02-22 21:38:41 [携帯]


290 x 516 ■マンションの一室でラジオから自分が犯した殺人事件のニュースを聴くシーン。
編集では犯行当日のようだが実は数日後の設定だ。
丸山昇一の最初の脚本では犯行前に伊達は小さな安アパートに住んでいてクラシックを聴いていると隣の住人から壁を叩かれるのだ。
ハードボイルド映画の主人公がクラシックを聴いているのは非常に斬新だった。
カジノから強奪した金でマンションを購入した訳である。犯行後のマンションのシーンでは引っ越して来た伊達が本棚の整理をしている。脚本段階では運送屋のスタッフが完全に防音された部屋を見て『ピストルでも撃つんじゃないか』と不信がる描写があった。
恐らく優作自身がこういった生活感を嫌い脚本段階で削除したのだろう。
優作が目指したのは金の為に殺人を犯す男ではなく殺人の為の犯罪である。
こういった部分が『蘇える金狼』の朝倉哲也との決定的な相違点だ。伊達に較べれば金が目的の朝倉は極めて健全で我々に近い価値観を持っている。
これがどれほど恐ろしい事かというと30年経過した現在は伊達の後継者が続々と誕生しているのである。
これは優作が30年後を予見したのではない。
優作が夢想した世界に現実が近づいているのだ!
■午前6時に既に起きてコーヒーを飲んでいるからかなり早起きだ。不眠症とも考えられるが昼寝しているシーンがあるのでそれはないだろう。
46 @kira 2013-02-22 21:50:51 [携帯]


480 x 800 『松田優作失踪事件』
 
ドラマ『探偵物語』終了から『野獣死すべし』撮影開始までの数週間ほど松田優作が姿を消した。
詳細はよくわからないが松田優作の生涯の中でも非常にヘビーな時期であった。
探偵物語』で共演した女優・熊谷美由紀と不倫関係にあった。
妻には友人から優作と美由紀がデートしている現場を目撃したという報告で知らされた。
優作は『妹みたいなもんだ』と言い訳したが実際は違った。
自己のジレンマと『野獣死すべし』の伊達邦彦像構築の苦悩から優作は姿を消す。
 
では優作は一体どこへ行ったのか。
 
優作はある宗教家の門を叩いていた。
最早、自分ではどうする事も出来ない悩みの回答を宗教に求めたのだった。
優作が宗教なんて冗談みたいだ。
『悟り』なんて言葉とは真逆のいちばん遠い場所にいるのが優作という人間なのに。
これが冗談のような本当の話である。
 
優作の葬儀の映像を見た事があるだろうか。
美由紀が子供達と並んで喪主の挨拶をしている場面だ。
実はこの場面の美由紀の後ろにいる人の中にその人物がいたというのだ。
その人物の名は『今井』という。
優作はその人物のおかげで救われたらしい。
優作は以後、亡くなるまでの間、朝一番に沸かした水で墨を擦って写経をした。
優作は生活する為に最低限の食事だけを採り、サウナ等で減量を行った。
クランクイン当時には体重が8キロ減って62キロだった。
自身の伊達邦彦像に近づける為に上下の奥歯4本を抜歯した。これにより頬をすっきりさせる事に成功した。
そして、身長を低くする為に脚の骨を10センチ切断する事まで考えていたという。
優作は医学書を調べて成功事例を発見。切るか否かを真剣に悩んでいたが、歩けなくなる為に断念した。ここまで行くと最早、狂気の沙汰と言えよう。
47 @kira 2013-02-22 22:01:34 [携帯]


510 x 752 『野獣死すべし』とは何か
 
野獣死すべし』は松田優作の存在なくして完成されなかった作品である。
この作品は公開当時の批評では『破綻した失敗作』と評された。
では何故、角川春樹が『蘇える金狼』のヒットに気をよくして第二弾として企画しただけの映画が現在も語られているのか。
 
松田優作はまず丸山昇一が書いた脚本で角川から了承を得た。
ここから優作とスタッフの犯行がスタートする。
この脚本は完成した映画とは全然違っている。
話は設定やキャラクターの変更以外は実は原作のストーリーに似ている。
しかし後半に行くに従い、脚本と映画は別物になっている。
これは優作が脚本を改変したからである。
普通の俳優はこんな事はやらない。
貰った台本のセリフを喋ってれば出演料が貰えるのだ。
まして脚本家でもない優作が手直ししたって脚本料は出ないし、クレジットもされない。
こんな事をさせたのは松田優作の抱える業である。怨念である。
映画とは大抵が映画会社が企画したモノを映画職人がそのまま映画化して配給されるだけで終わりだ。
しかしこの『野獣死すべし』はその企画を映画会社から奪い取り、変質させて自らの血と肉を流し込んだ墓標なのだ。
或いは、己の生を確認する為に闇に発せられた慟哭だ。
 
この作品は松田優作が自身でも持て余す業をメジャー作品の中に投入した壮大なる実験作だ。
だから当時の技術的な問題や思想的な事も含めて破綻している。
優作は纏める方向性も模索しながらも敢えて破綻させたのだ。
それは恰も伊達邦彦の亡霊がそうさせたかのようだ。そして破綻こそ、この作品に相応しい。
 
『この作品が理解出来ない』だとか『酷い映画だ』という意見はどうでも良い。理解出来る者だけが理解すれば良い。日本映画史に名を残すとか映画賞を穫るだとか観客に感動をなどという事とは別の次元にこの作品は存在する。
ある種、神がかった作品と言えよう。
 
野獣死すべし』には当時の優作の仕事でもプライベートでももがき苦しんだ疵痕が残っている。
 
野獣死すべし』は過去に二作。原作に忠実に映画化されている。
それでも松田優作出演作が我々の心を捉えているのはその疵痕に惹かれてしまうからである。
それはまた我々も破綻しているからではないだろうか。
48 @kira 2013-02-23 10:30:03 [携帯]


480 x 640 『野獣死すべし大藪春彦
角川文庫版
映画『野獣死すべし』が公開された1980年にカバーをリニューアル。
カバー写真が『蘇える金狼』の松田優作に替えられた。
角川としてはこういうイメージで行きたかったのだろう。
49 @kira 2013-02-23 10:43:00 [携帯]


422 x 600 『野獣死すべし大藪春彦
角川文庫版
年始にリニューアルされたカバーを映画の公開に合わせて再びリニューアル。
映画ポスター等で使用されたビジュアルを採用。
これは『蘇える金狼』製作の際に松田優作グアム島に渡って射撃訓練した時の写真を加工したモノ。
最初のは映画製作発表直後だから納得出来るが、今回も『蘇える金狼』のビジュアルを使用するというのは理解出来ない。
公開直前ならポスター写真も撮影されているだろうし、ビジュアルイメージも固まっているはずだろう。
松田優作の大胆なイメージチェンジで戦略に迷いが出ていたのかも知れない。
50 @kira 2013-02-23 10:52:35 [携帯]


426 x 600 『野獣死すべし大藪春彦
角川文庫版
82年の『汚れた英雄』公開に合わせて開催された『汚れた英雄フェア』に伴ってカバーがリニューアルされた。
今回やっと『野獣死すべし』のポスター写真に近いビジュアルイメージが使用された。
このはバージョン違いが多数存在する。
いずれも薄暗いライティングで松田優作がはっきり写っていない。
松田優作が抱いている女性は映画でヒロインを演じた小林麻美
伊達邦彦のサインが意味不明。
51 @kira 2013-02-23 10:58:13 [携帯]


500 x 375 シナリオ『野獣死すべし
 
シーン1
■[歓楽街]
午後の遅い時刻―。 板前たちが店の前で猥談に興じ、太ったホステスが美容院からセット途中の頭をのぞかせ、生気ない餓鬼どもがもっそり走り回る。
緩慢で白茶けた光景を裂くように、その男は悠然と現われた。
すれ違う地廻りのヤクザたちが、男に軽く会釈する。
追い始める視点・・・・・・。
その男は、警視庁に入ってゆく。
追ってきた視点が、停まる。
立哨する警官が男に敬礼する。
男は警視庁捜査一課岡田警部補である。
 
シーン2
■[賭場の中]
その男たちは、ポーカーやルーレットに興じる紳士淑女をさりげない視線で監視している。
黒岩、峰原、奥津。用心棒だ。
低い照明。もうもうたる紫煙。紙屑のように行き交う札ビラ。
3人を追いつづける視点・・・・・・。
 
シーン3
■[雑居ビルの前]
虚飾の剥げおちた早朝の歓楽街。
ビルから、賭場にいた紳士淑女が吐き出され、外車やハイヤーで散ってゆく。
ビルの上階を振り仰ぐ視点・・・・・・。
 
シーン4
■[アスレチック・ジム]
器具を使い、隆々たる筋肉を鍛えている岡田。
隣りで刑事の柏木が鍛錬しているが、こちらはつきあい程度で乗り気でない。
柏木『どうスか、ビールでも。健康になりすぎると、仕事にならんですよ』
岡田、苦笑して、サウナ室へ向かう。
追う、視点・・・・・・。
岡田、フッと顔半分振り向いてみる。背後に何かを感じていた。
立ち去る、視点・・・・・・。
 
シーン5
■[賭場の中]
ポーカーに興じる、手。
負けて手持ちの札を投げ、出口に向かう。
その視点は黒岩、峰原、奥津の拳措を追っている。
黒岩が、フッと顔半分振り向いた。背後に何かを感じたのだ。
立ち去る視点・・・・・・。
 
シーン6
■[アパート]
1Kの部屋には洋書や哲学、心理学、詩集などの分厚い書物、それにオーディオや英文タイプライターが所狭しと並ぶ。
オーディオから流れるクラシック音楽
隣室から壁を叩く音がして『静かに!』と声がした。
部屋の主が、むっくり起き上がる。
伊達邦彦。隣室への壁を見て・・・・・・オーディオのボリュームを絞る。
52 @kira 2013-02-23 11:01:51 [携帯]


480 x 800 シーン7
■[住宅街(深夜)]
ドシャ降り。
停車したタクシーから岡田が降り、狭い路地に入ってゆく。
いくつかの路地を曲がりながら、何度も背後を警戒する。
背後には、篠つく雨。
空地を横切る時、クルッと振り向いた。
目の前に、―伊達がいる。ズブ濡れの顔を伏せたまま。
岡田『・・・・・・やはりいたのか。透明人間かと思ったよ』
伊達の眼が岡田を射る。カーッと吊りあがる。
岡田『(ギクッとするが)私にパクられたことでもあるのかい』
伊達、短い鉄の棒を岡田に打ちおろす。
サッと岡田が避けて、伊達にカウンターを見舞う。さらに殴る。
ひるまず伊達が襲いかかるところを岡田が組みついて、膝で伊達の腹を突き上げる。
ガクッと崩折れる伊達。片手で岡田を抱いたまま仰向けに倒れる。
押し倒す格好の岡田。その顔が眼を剥いて硬直した。
重なって倒れたままの2人。
叩きつける雨。
伊達、岡田を押し返す。岡田の腹にめりこんだナイフ。
岡田が倒れ掛かった瞬間、伊達のフラッシュナイフが下から突き上げたのだ。
絶命した岡田の拳銃を奪う、伊達。
53 @kira 2013-02-23 11:05:33 [携帯]


560 x 420 シーン8
■[賭場]
賭場のテラ銭を数えている黒岩、峰原、奥津。
バタン!とドアが開いて、伊達が躍りこんでくる。
至近の黒岩を撃つ。射殺。
峰原に走り寄り、撃つ。射殺。
その間に奥津が引き抜いた拳銃で撃ってくる。伊達も奥津を撃つ。2人の銃弾は当らない。お互い5メートルの間隔でも、逆上していれば当るはずがない。
僅かに伊達が冷静になった。奥津の次の銃弾を避け、一歩踏み込み、撃つ。
ふっ飛ぶ、奥津。
伊達、絶命した3人から各々の銃をもぎとり、ポケットにおさめ、テラ銭(3千万円くらい)を、レインコートの裏に縫いつけた袋に押しこむ。
54 @kira 2013-02-23 11:09:47 [携帯]


480 x 800 シーン9
■[一本の長い道]
雨上がり―。 朝の霞の中から、まるでスローモーションのように伊達が現われる。
濡れたようなその眼は陶然としている。
前方の超高層ビル群から、一条、朝陽がもれる。そして、大都会の陽の出。
―野獣がシルエットになった。
 
メイン・タイトル。
 
シーン10
■[ハレイションする太陽]
神々しい輝きを喪った形ばかりの太陽から、キャメラは空撮で大都会を俯瞰し、
徐々に、4車線の環状道路に面した高層マンションへと近づく。 車の喧噪―。
スタッフ・タイトルが流れる。
55 @kira 2013-02-23 11:16:09 [携帯]


480 x 320 シーン11
■[マンションの一室]
入居前の約20畳ほどの細長いリビング。
内装屋の立花と神崎による防音工事。
立花がベランダ脇の窓に3重の防音ガラス、神埼がドアに録音室用防音扉を取り付けている。
立花『こんだけ音をブッちぎって、この部屋何に使うんだろうな』
運び込まれている、夥しい書物の山。
神崎『学者みたいだぜ。よっぽど神経質なんだろ』
立花『ピストル撃っても聞こえねェな、これじゃ』
その時、“失礼します”と声がして電気店の作業着をつけた男が2人、畳大ほどもあるスピーカーを運び込んでくる。
神崎と立花、“なるほど”と顔を見合わせる。
夜。細長い部屋の端と端に巨大なスピーカーが設置され、真ン中にプレーヤー、デッキ、多量のレコード、
その隙間を埋めるように本棚をインテリアしてゆく伊達。
窓際にマホガニーの机、英文ライター。壁に絵が一枚。無用の飾りは一切ない。
洗面室に、バスタオル、石けん、歯ブラシなど生活必需品をセットしてゆく伊達。
小物の1つ1つまで、神経質な一面がにじみでている。
防音マットの上で。
伊達がさまざまなスイッチを1ヵ所に集めた、集中コントロールボックスを手作りしている。
細かい部品と配線コードを、これも手作りの設計図と照合しながら的確に組込んでゆく。
黙々と熱中する。完成したボックスを机の脇に取り付ける。
窓の外に広がる、街の灯の海―。
伊達、ボックスのスイッチを1つ押す。
スルスルとブラインドがおりてくる。
次のスイッチ。
調光装置が働いて、照明が徐々におちてくる。
次のスイッチ。
プレーヤーが始動して、レコード針が静かに盤におりてゆく。
巨大なスピーカー。―いきなり耳をつんざくばかりの交響楽が溢れ出る。
画面にスッと入ってくる伊達。
腰をためて、腕を伸ばす。その手に拳銃。
56 @kira 2013-02-23 11:23:25 [携帯]


352 x 640 キャスト・タイトルが流れる。
奪った拳銃の羅列(レイアウト)。(コルト45、コルトパイソン、など)
きれいに分解された拳銃もある。
スピーカーは交響楽の繊細な楽章に変わる。
座り込んだ伊達の脇に空気清浄機がある。
ひと呼吸ひと呼吸、生命のエキスを呑みこむようにゆっくり息をする。
やがて指をあてて瞼を閉じる。
ピアノの調べがテンポアップする。
伊達の指が自然に躍り始め、膝を叩く。
伊達の指が英文タイプを機関銃のように打ちまくる。
打ち終わる。タイプした用紙と日本語の原稿を紙封筒に入れる。
ボックスのスイッチを押して、ブラインドを開ける。
次いでラジオのスイッチ。
大都会の朝―。倦み疲れた、どんよりした朝である。
保温ポットのコーヒーをカップに注ぎ、ベランダに出る。
タイトルが終わる。
流れているラジオの音。
時報が鳴る。
アナウンス『お早うございます。』
伊達『…(呟く)お早う。』
アナウンス『午前6時のニュースです。1週間前、警視庁捜査一課の岡田警部補を殺害し、奪った拳銃で秘密賭博場の暴力団員3名を射殺し逃走中の犯人は、警察官延べ一万人を動員しての旅館、ホテルなど約一万ヶ所に及ぶ検索・検問にもかかわらず、依然として手がかりがつかめておりません。犯人は暴力団員からも数丁の拳銃を強奪しており、2次、3次犯罪を起こすことも強く懸念されるため、捜査当局は週明けの今日から、さらに…』
57 @kira 2013-02-23 11:27:22 [携帯]


480 x 800 シーン12
■出版社(神田あたり)
午後の活気ある編集部局。
その一隅で、編集者の乃木が伊達が持参した英タイプの原稿を見ている。
乃木『オーケイ、オーケイ。相変わらずの名訳だよ。締め切りも正確だしね。支払い、経理のほうで出てるから。』
伊達『…いつも、どうも。』
乃木、別の日本語の原稿を差し出す。
乃木『これ、旅行会社のアメリカ向けガイドブックだけど、5日くらいでできるかな。』
伊達、受け取ってパラパラとめくる。頷く。
日本語原稿の表紙―
 《日本の旅行シリーズ〈東京〉世界で最も安全な都市》
乃木の声が被る。
乃木『ところでさ、伊達ちゃん…』
58 @kira 2013-02-23 11:34:45 [携帯]


600 x 400 シーン13
■[日本橋界隈]
伊達がひっそりと歩いてくる。
乃木の声『・・・・・・近い内ゼミん時のメンバー集めて一杯やるんだ。こういうの伊達ちゃん嫌いだろうけど、俺たちも来年三十路だしさ。たまにはどう、出てみない?』
ルネサンス風建築の日本銀行、格式を誇る三越本店、そして三井銀行の脇を通る。
日本橋》のオウレートのある高架下を伊達がくる。
橋の際の、派出所にさりげなく視線を泳がせる。少し歩くと東急デパート。
四ッ角の先が高島屋。この辺りは地下鉄出入り口、銀行の本・支店、証券会社など金融関連会社が密集している。
 
■シーン14
[丸善]
3Fの洋書売場で注文していた洋書数冊を受け取る伊達。
2Fのタイプライターコーナーで、除去液やタイプ用紙を買いこむ伊達。
 
シーン15
■[前の通り]
少壮の学究派にみえる伊達、丸善を出てすぐ前の道路を横断する。
高島屋。その脇の道を行くと、首都高速
すぐ近くに入口ランプもある。そして、
《東洋銀行日本橋支店》
 
シーン16
■[東洋銀行・日本橋支店]
L字形のカウンター。店員は20名余。
伊達、普通預金の入金票とキャッシュカード申込票に記入して(氏名は偽名)、5万円を印鑑と共に差し出す。
女の係員『いらっしゃいませ。口座をお開きになるんですね』
伊達、頷いて、係員の胸の名札を確かめる。“石島”と読める。
石島『キャッシュカードは1枚でよろしいんですね』
伊達『・・・・・・ええ』
石島『承知しました。暫くお待ち下さいませ』
伊達、さりげなく店内を見回す。
奥の天井の2ヶ所にVTRキャメラ。隅にはスリガラスや観葉植物で遮られた電話ボックスがある。
2つの出入り口には、銀行では珍しいガードマン(私服)がそれぞれ1名ずつ立哨している。
午後3時。2人のガードマンが、それぞれのシャッター・ボタンを押す。
下りてゆく、シャッター。
59 @kira 2013-02-23 14:29:21 [携帯]


480 x 800 シーン17
■[同・通用門近くの廊下]
店頭で立哨していた2人のガードマンがくる。
そして地下から3人のガードマン(制服)が登って来て、“お疲れさん”の言葉を交わし、警備員詰所に入る。
 
シーン18
■[同・警備員詰所]
入ってきた5人のガードマンが、一斉に立ち停まった。
伊達がひっそりと坐っている。
伊達『勝手にお邪魔してすみません』
チーフ格の高橋が歩み寄る。
高橋『お宅、なに?』
伊達『私、雇って貰えませんかね。失業中なんですよ』
高橋『ウチの会社に?』
伊達『ええ。明日でも本社の方へ伺いますが住所とか応募の方法、知りたいんです』
他のガードマン達は、呆れた顔で日報に記入したり、本社に業務報告する。
高橋『それは構わないけど、なんでウチの会社を?』
伊達『銀行にガードマンを派遣できる警備会社なんてそうザラにないでしょ。その信用に魅力を感じるんです』
高橋『(まんざらでもない)ま、それなりにシンドイけどね。危険なことも多いし』
伊達『なお、ケッコーですよ』
高橋『ほう。というと?』
伊達『・・・・・・私、人を殺したいんですよ』
高橋『え?』
ガードマン達が、伊達を見る。
伊達『この日本で人を殺そうと思ったら警察官になるか犯罪者になるしかありません。犯罪者はワリに合わないし、警察官には今さらなれません。それでガードマンになれば、万一賊に襲われた時、正当防衛で人を殺せる確率が高くなります。特に銀行の警備なら、今日明日でもそのチャンスがあるでしょ。・・・・・・たまりませんよ』
ニコリともせず喋れば気味が悪い。
ア然と聞いていたガードマン達。
高橋、出口をゆっくり指差す。
伊達『・・・・・・駄目、ですか』
一礼して出て行く。見送る高橋ら、とんだ闖入者に、顔を見合わせて苦笑う。
 
シーン19
■[道]
丸善で買った品物を抱えてひっそり歩いてくる伊達。
胸ポケットから小型キャメラをとり出し、袋に入れる。
 
シーン20
■[マンション・暗室]
焼付けた印画紙が徐々に像を結ぶ。
東洋銀行日本橋支店の『見取図』や『警備箇所』を示した図面を撮影したもの。
覗きこむ、伊達。
60 @kira 2013-02-23 14:33:18 [携帯]


480 x 800 シーン21
■[コンサート会場]
開演前。
ほぼ満席の客席で、パンフレットを読んでいる華田令子。クセのない美貌にほどよい知性をしのばせる女。
隣りの席が空いている。令子、さりげなく辺りを、見回す。
と―、通路に伊達が現われる。
令子『・・・・・・』
何かを期待して、顔を伏せる。
通路の伊達、チケットを見て、自分の席を確かめる。唯ひとつの空席の隣りに令子。
伊達『・・・・・・』
伊達、歩み寄り、坐る。
令子、初めて気づいたかの如く、会釈する。伊達も会釈した。
開演のチャイムが鳴り、暗くなる。
指揮者が登場する。拍手。
演奏開始。深遠なクラシックの世界。
聴き入る伊達、令子。伊達の指が、膝の上で無意識に躍っている。
見る、令子。
61 @kira 2013-02-23 14:41:33 [携帯]


480 x 800 シーン22
[同・ロビー]
休憩時間。
客席から出て来た伊達、公演予告ポスターに見入る。隣に立つ令子。
令子、言葉をかけようかどうしようか迷っている。
無表情にポスターを見ている伊達。
令子『あの、・・・・・・よくお会いしますわね』
伊達『・・・・・・狭くなったんじゃないですか、東京が』
令子『(微笑)ピアノ、なさるんですか』
伊達『・・・・・・?』
令子、微笑して、指をうつ仕種。
伊達『・・・・・・いえ』
令子『タイプうってらっしゃるんでしょ。英文』
伊達『・・・・・・(頷く)』
令子『私も以前打ってましたから。今は秘書をしてますけど』
伊達『・・・・・・そうですか』
素気ない。
令子『最初におみかけしたのは5月でしたかしら、確か、パレンボイムのパリ管の時』
伊達『・・・・・・かもしれませんね』
令子『あの時は、ーラーの第五がよかったわ』
伊達『マーラーの第五なら、レコードだけどカラヤンのがよかった』
令子『(嬉しく)私も聴きました。よかったわ』
伊達『フィナーレのフーガが特に良かったでしょ』
令子『ええ』
伊達『ひと晩に3回も聴き直したんですよ。雨が降ってましてね。いいレコードに会う日は、いつも雨が降っている』
開演の予告チャイムが流れる、客席へ戻る人々。
令子『いつも、おひとりなんですね』
伊達『静かですからね、ひとりの方が』
ロビーは2人だけになった。
伊達『じゃ』
と、去りかける。
令子『あの、2部はご覧になりませんの』
伊達『・・・・・・何ていうんですか、演奏会に来るっていうのは演奏が終ったあとの静寂、あの瞬間を味わうために来るんじゃないですか。どんな美しい音も、沈黙には結局勝てない、どんなに眩しい光でも、一瞬の闇には勝てないようにね』
令子『今日は演奏が終った途端に拍手する人がかなりいますものね』
伊達『そういう方たちとはつきあえない。・・・・・・あなたは別ですが』
ホッとして微笑する、令子。
伊達、客席へのドアを開けてやる。
吸いこまれる令子。
伊達、ひっそりと出口へ歩いてゆく。
見送る、令子。
62 @kira 2013-02-23 14:48:19 [携帯]


352 x 640 シーン23
■[夜の街]
六本木あたりのネオン街裏通り。
ハーフや外人の高級娼婦が佇んでいる。
伊達がひっそりと歩いてくる。
ハーフの女(エリカ)が微笑む。
 
シーン24
■[ホテル]
仰臥した伊達に、エリカが騎乗し、ゆるやかに交わっている。 無表情に天井を見ている伊達。ギリギリまで無駄なエネルギーは費わない。
エリカ、次第に腰を激しく使い、大袈裟に喘ぎ始める。
伊達『・・・・・・芝居はしなくていい』
エリカ、苦笑して髪をかきあげる。
エリカ『・・・・・・なんか、ロダンか、何かの彫刻としてるみたいね』
伊達、いきなり上体を起こし、エリカを抱え上げ、腰でつきあげる。
思わず昇りつめて、叫ぶエリカ。OFFで、伊達の口ずさむ詩が流れる。
 
シーン25
■[マンション]
窓外にひろがる、白昼の東京・・・・・・。
詩が流れる。
 
日は断崖の上に登り 憂ひは陸橋の下を低く歩めり
無限に遠き空の彼方
続ける鉄路の柵の背後に
一つの寂しき影は漂ふ
ああ汝、漂泊者
過去より来りて未来を過ぎ
久遠の郷愁を追ひ行くもの
いかなれば蹌爾として
時計の如くに憂ひ歩むぞ
石もて蛇を殺すごとく
一つの輪廻を断絶して
意志なき寂廖を踏み切れかし
 
―以下、略―
萩原朔太郎「漂泊者の歌」)
窓辺のチェアに凭れて眠っている伊達。
膝には、分厚い本が開かれたまま。
机の上に、銀行の見取図などを隠し撮りした写真や、いくつかのメモがあり、窓からの微風にそよいでいる。
 
シーン26
■[銀座ジュエル]
詩はまだ流れている。低く―。
受話器をとる、店員の永友。
永友『はい。銀座ジュエルでございます』
伊達の声『お宅、出張セールスもしてますね』
永友『承っております』
伊達の声『ダイヤのリングが欲しいんですがいくつか見せてもらえませんか。百万クラスのがいい』
永友『承知しました』
伊達の声『明日、金曜の午後2時50分、東洋銀行日本橋支店で会いましょう。気に入ればその場でキャッシュを引き出しますから』
永友『畏まりました。私、永友が参ります』
伊達の声『目印に、そう、サングラスでもしてきて下さい』
63 @kira 2013-02-23 14:53:29 [携帯]


480 x 800 シーン27
[東洋銀行・日本橋支店]
壁時計「2時55分」。
アタッシュケースをかかえた男が落着きなく見回している。
サングラスの永友である。
伊達が入ってきて、奥の現金引出機に向かう。
キャッシュカードを挿入して待つ間、ロビーの永友とカウンターの受付係・石島を確認する。
伊達、引出した現金とカードを収め、隣の電話ボックスに入る。
スリガラスや観葉植物に隠れ、店内からは死角になっている。
ダイヤルを回す、伊達。
声『毎度ありがとうございます。東洋銀行日本橋支店でございます』
伊達『預金カウンターの石島さんを』
カウンターの石島、受話器を取る。
石島『お待たせしました。ご預金係の石島でございます』
伊達の声『今から言うことをよく聞くんだ。あんたの前の席にサングラスの男がいるだろう。その男は胸ポケットにアメリカ製のピストル2丁、アタッシュケースにはダイナマイトを5本詰めている』
蒼ざめる石島。永友はソワソワと落着きなく見回している。
伊達の声『騒がなければ何もしない。いいかね』
石島『・・・・・・はい』
伊達の声『我々は、金がほしい。あんたの手もとに今いくらある』
石島『2百万ちょっとです』
電話ボックス。
伊達『それでいい。あの男をカウンターに呼び出して、さりげなく渡しなさい。こう言うんだ。銀座ジュエルの永友さま、お電話です。いいね』
受話器を置いて、外に出る。
カウンター内の行員たちがサイドから見渡せる位置である。
石島『銀座ジュエルの永友さま、お電話です』
永友、ハッと立ってカウンターに向かう。
その時、石島が後方を振り返った。
石島『部長!伝票のチェックお願いします!』
直後、行員全員が微妙な変化を見せた。
石島の後方にいる男子行員(梅津)が机の下で非常通報ボタンを踏む。
見る、伊達。腕時計のストップウォッチを押す。
さらに奥の天井を仰ぐ。2ヵ所の防犯カメラが首を振り始めた。
2人のガードマンと案内係の男子行員が、永友に近寄り、ワッと組みつく。
仰天して、抵抗し、わめく永友。
店の奥からもガードマンが駆けつける。
永友は、助っ人の客などからも惨々とっちめられる。
伊達は、騒ぎを尻目に悠然と出て行く。
64 @kira 2013-02-23 14:58:21 [携帯]


330 x 183 シーン28
[同・外]
出てきた伊達、前の通りと近くの高速道入口ランプの交通量を観察する。
金曜の3時、一番混雑する時間である。
その渋滞をぬって、パトカーが駆けつけた。なんと4台も!
伊達、腕時計のストップウォッチを押して、歩き去る。
 
シーン29
[近くの地下鉄入口(江戸橋駅)]
を下りてゆく。
地下1階からのエスカレーターからさらに下りると右手に都営地下鉄江戸橋駅改札、左手が東西線日本橋駅改札、その脇を抜けて暫く行くと、銀座線日本橋改札がある。
3つの地下鉄路線駅が集合した地下ホールなのである。
 
シーン30
[マンション]
机の上に、ロードマップや首都交通路線図、それに盗み撮りした銀行の図面写真などを並べ犯行計画を練り、メモしている伊達。
伊達、思い出したようにラジオのスイッチを入れる。
アナウンス『・・・・・・今日の午後、日本橋支店での商談に呼び出されたもので、もちろん銀座ジュエルの永友さんは、ピストルもダイナマイトも所持していませんでした。このため警察では、永友さん個人、あるいは東洋銀行に怨みをもつもののいやがらせとみて、捜査を続けております。なお東洋銀行日本橋支店では、近くの2つのデパートをはじめ、多くの大型店舗と取引があり、騒ぎの時は、各店の売上金約4億円が銀行に運び込まれた直後だけに、緊迫するひとこまもありました。では次のニュース・・・・・・』
スイッチを切る、伊達。
自ら立案した犯行計画書に『¥400、000、000』と書込み、思案する。
モウ ヒトリ ホシイ コツコツと指を机に打つ。タイプを打つ時の、指のクセである。
その指が英文タイプライターに這い上がり、無意識にカタカタと打込む。
《I WANT ONE MORE BODY・・・・・・MAYBE》
字幕スーパー
“もう一人いる”
65 @kira 2013-02-23 15:02:32 [携帯]


480 x 800 シーン32
[日比谷公園]
平日の閑散とした午後。
無為の時を過ごす男が、ベンチごとにひとり、またひとり・・・・・・。
野外小音堂のアーチの下で、伊達がひっそりと見ていた。
 
シーン31
[場外馬券売場]
うたかたの夢を求めて犇めく人々。
血走った眼の男、奇妙にはしゃぎ回る男、最後の金をスッて、うずくまっている男(小林)・・・・・・。
建物の影にたたずんでいた伊達、出口に歩き出す。
表の雑踏で、柏木刑事とスレ違うが、距離が離れているため、双方気づかない。
だが柏木は、フッと立停まった。
何かを周囲に感じて見回すが、何も心当るものはない。
 
シーン33
[銃砲店(別の日)]
ガラスケースの銃器に見入っている若者が数人。
そのひとりひとりを、客を装った伊達が目の端でとらえている。紙袋を持っている。
と、―ガラスケースに被さるように見ていた男が、不意に銃を持ち、壁の鏡に向かって構える。小林。
小林『・・・・・・(ひとりごと)気にすんなよ。な。気にすんなよ。・・・・・・俺が何を言ったんだ・・・・・・え?ふざけんな、オカマ野郎!』
小林、銃を置いてプイと出て行く。
尾ける、伊達。
 
シーン34
[喫茶店]
薄暗い。アンチークな店。
客席に小林が坐る。
離れた客席に坐る伊達。
小林の客席に、仲間らしい男が坐った。
2人、特に会話を交わすこともない。その内、男が小林の股間に手を差し入れる。
2人の腰回りをコートで覆う。
―アテが外れた伊達、立上がる。
 
シーン35
[雑踏]
伊達が歩いてくる。
電話ボックスの中で、ダイヤルを回している男。柏木刑事。人混みの中でひときわ背の高い男に目を停める。
肩を落とし気味にひっそりと歩く伊達。
柏木『・・・・・・』
受話機を置き、出て行く。
が、すぐに戻って、返却口の10円玉を抜きとる。
伊達が歩く。尾ける柏木。
66 @kira 2013-02-23 15:08:07 [携帯]


480 x 800 シーン36
[レコード店]
クラシックレコードを選んでいる伊達。
入口脇で、柏木がさりげなく見張っている。
伊達、タイプを打つ時の指のクセで、次々にジャケットをめくっている。
その指の脇で、細いしなやかな指が同じように躍る。
?と見上げる、伊達。
令子がいる。ニッコリ微笑した。
令子『コンサート以外でお会いできるとは思いませんでしたわ』
伊達『毎日がコンサートみたいなものですよ』
令子『無粋な観客が多すぎますけど』
伊達、フッと笑った。壁の鏡で柏木をとらえて・・・・・・。とっくに気づいているのだ。
伊達『会社、この近くですか』
令子『いえ、日本橋です』
伊達『・・・・・・』
令子『外資系の会社でUSワックスっていうんですけど、社長がこのレコード聴きたいっていうものですから』
と、購入したレコード(クラシック)を見せる。
伊達『社長と趣味があうなんて素晴らしいじゃないですか』
令子『でも60すぎのおじいちゃんですから』
伊達『・・・・・・ゴッド』
令子『あなたは?』
伊達、壁の鏡で柏木をとらえて、
伊達『・・・・・・それがねェ、なかなか見当たらないんですよ、葬送行進曲』
令子『まァ』と笑う。
伊達、ベートーヴェンのレコードを1枚取り出す。
令子『雨が降るといいですね、今夜』
伊達『・・・・・・(苦笑)』
視聴室のランプが、『空室』に変わった。
伊達『じゃ』
と視聴室に向かう。
令子『あの、今度の日比谷のコンサートいらっしゃいますか』
伊達『・・・・・・多分』
令子、嬉しく微笑する。
出て行く令子を、胡散臭く見送る柏木。
振り向いて、?となる。
視聴室の入口に立った伊達が、真正面から見すえている。
柏木、仕方なく視聴室へ向かう。
67 @kira 2013-02-23 15:41:32 [携帯]


480 x 800 シーン37
[同・視聴室]
柏木を迎え入れて、伊達がドアを閉める。
外部の音が遮断される。
柏木『どうもこの、昔っから尾行ちゅうのがヘタクソでね、あんたのやることに干渉するつもりはなかったんだが・・・・・・。今さら言ってもしょうがないな』
レコードをセットする伊達。
柏木、思い出したように腰ポケットから警察手帳を差出す。
柏木『キマリじゃ、ここ(内ポケット)に収めとくんだが、こっから取出してサッと見せるってのはどうもね。黄門さんの印籠じゃあるまいし、それに昔、池袋の賭場に踏み込んだ時、慌てちまって定期券差しだしたことがあるんだ。それ以来、手帳出す時は、落着けない』
伊達、チェアに深々と坐る。
伊達『・・・・・・で?』
柏木『聴くんだったら、かけていいよ』
伊達『お宅もかけませんか』
とチェアをすすめる。
伊達、プレーヤーを始動させる。ピアノコンチェルトが流れる。
柏木『(坐って)・・・・・・こんなこと言っちまうとミもフタもないが。2週間前、ウチの警部補が刺し殺され、拳銃を奪われた。ひどい雨の夜でね。それから4時間後、その拳銃で3人のゴキブリが殺された。犯人は全く見当がつかない。ただ、犯行の前後にそれらしい男を見たという情報はある。身長1メートル80以上、ガッチリした肩を落としてまるで死人のようにひっそりと歩くのが印象に残ったそうだ』
柏木、一語一語区切るように話しながら、伊達の反応をうかがう。
全く無表情の伊達。音楽に聴き入る。
柏木『もっとも、この情報は捜査会議で一蹴されてね。150人の専従捜査員でこだわっているのは、俺ひとりだ。―聞いてないようだな』
伊達『聴いてますよ。いい演奏だ。・・・・・・で、あなたひとりがどうしてこだわるんですか』
柏木『(気勢をそがれるが)誰もが気にもとめないからさ。逆にみんながワッと飛びつく情報なら俺はアッサリ下りるね。性分なんだから。しょうあんめェ』
伊達『カンは当る方ですか』
柏木『そこが問題でね。・・・・・・』
68 @kira 2013-02-23 15:47:18 [携帯]


480 x 800 柏木『俺は赤木圭一郎と同じトシなんだ。あいつが調布の撮影所でゴーカート乗り回してる時間に、俺は新宿のトリスバーで、昼間っからハイボールくらっててね、1杯100円だったかな。7、8杯飲んでモウローとした時に、何だか知らんが、今日はドエライやつが車ぶつけて死ぬと直感したんだな。そしたら夕方の臨時ニュースだ。ぶったまげた。それから俺の霊感を信用することにしたんだ。ただ刑事になって一度も当ったことがない』
伊達『・・・・・・今回は?』
柏木『あんたが答えを知ってるだろう』
伊達『・・・・・・』
柏木『否定も肯定もしないわけか』
流れるピアノコンチェルト。
柏木『ベートーヴェンかね』
伊達『(頷く)ピアノ協奏曲第五変ホ長調
片頬だけで笑ってジャケットを見せる。
『皇帝』である。低く笑う、柏木。
柏木『・・・・・・で、どうするね、これから』
伊達『これから?・・・・・・予期せぬ質問ですな』
伊達、紙袋を見せる。
伊達『とりあえず神田の出版社に届けますよ。翻訳の仕事をしているんです』
柏木『ほう』
伊達『どうってことのない、ごく普通の市民ですよ』
柏木『そうかね。(ギラッと見て)今夜あたり、寝汗をかくんじゃないか』
伊達『(微笑)帰りにベビーパウダーでも買っていきますか』
と、目を閉じる。
柏木『住所、氏名は?』
伊達、既に柏木など眼中になく、音楽に聴き入る。
柏木『・・・・・・』
 
シーン38
[山手線・車内]
夕刻。満員の客にもまれて、伊達がレコードと紙袋を高く差上げている。
背の高い伊達は、平均的サラリーマンが一様に押し黙り、俯向いているのを見下ろすのが、たまらない。
屠殺場に向かうドブネズミども。近くで見張っている柏木もそのひとりである。
 
シーン39
[神田駅]
ホームには帰りの客が溢れている。
電車から下りた伊達、蒼ざめた顔でかきわけてゆく。
さらに階段の混雑にもまれた時、気分が悪くなった。
うずくまって吐く。柏木が怪訝な顔で覗き込む。
途端に人波に押されて、伊達から離れてゆく。
柏木、慌てて元の所に戻るが、既に伊達の姿はない。
69 @kira 2013-02-23 15:51:34 [携帯]


480 x 800 シーン40
[レストラン]
個室の同窓会会場。里中、結城、平井、東条らが歓談している所へ、乃木が伊達をつれてやってくる。
乃木『いやァ、幹事が遅れて申しわけない。今日は珍しい客をつれてきたよ』
里中『ほゥ、伊達クンじゃないか』
伊達、黙礼して坐る。
結城『通信社、退めたんだって』
伊達『・・・・・・まァ』
結城『インドシナ内戦の時、君が送ってきた写真は圧巻だったけどな』
平井『しかし戦場ばかり駆り出されるんじゃイヤになるわな』
東条『今、何やってるの』
乃木『俺ン所で翻訳手伝ってもらってる』
東条『なんだ、アルバイトか。うちの下請けでも世話しようか。学歴、経歴は申し分ないんだから広報部長ぐらいすぐなれるよ』
伊達『・・・・・・どうも』
素気ない。
里中『君は学生ン時は、図書館と名曲喫茶にいりびたりだったなァ』
乃木『そうそう。半年の内にニチェを全部読みきって、あげくにチャンドラーやハメットまで読みちらかして・・・・・・』
結城『昔から殆ど口をきかなかったが、それは相変らずだな』
乃木『今日は俺がムリに誘ったんだよ』
東条『君は確か射撃部にいたはずだが、今でもテッポー撃ってんの』
伊達『・・・・・・撃ってますよ』
東条『日本じゃウサギとか鳥ぐらいしか撃てんだろう』
伊達『・・・・・・それに似たようなもんです』
料理と酒が並んだ。
客席係の真田徹夫は慣れないのか、給仕マナーがどうにもチグハグである。
全員、怪訝な顔をしながらも、グラスを持ち上げる。
乃木『じゃ。―お互い、来年は三十路だ。20代最後の集まりになるだろう。さらば、青春!』
全員『アデュー・ラドレサ!(さらば、青年)』
70 @kira 2013-02-23 15:57:17 [携帯]


852 x 480 呑み、かつ喰い、賑やかな歓談。
乃木『(平井に)そろそろ外地に行くんじゃないのか』
平井『外務省も人材がダブっててな。なかなかおハチが回ってこん』
結城『東条は今度の外為法違反の騒ぎには関係ないのか』
東条『あれは航空機部門だけだ。俺の鉄鋼部はきれいなものさ』
平井『結城ン所の株はひどいな』
結城『いや、来週になれば持ち直すと思うよ。今日の前引きから久しぶりにジリ高になってる』
東条『いずれにしても中東の情勢如何だな』
結城『まァな。(里中に)大学の紛争はどうなった』
里中『紛争ったって、全闘が結成される前にみんな白けちまってね、俺の研究室にも押しかけると思ったが、平和なもんさ。今どきの学生は何を考えてるのか、さっぱりわからん』
東条『全くだ』
乃木『俺たちもとうとう今どきの若い者て言うようになったか』
他愛なく笑い合う。ひとり、ひっそりと酒を呑んでいる伊達。
ドブネズミどものささやかな宴が苦痛でならない。
(フラッシュ―イメージ)
満員の山手線で、おし黙り俯向いているサラリーマンの群れ。
ガチャン!と音がした。
東条のズボンが泡で濡れ、ビール瓶が床に砕け散っている。
東条『気をつけろよ!』
真田『今のはお客さんの不注意じゃないんですか』
東条『なに!』
真田『まァ、まァ』
と、軽くいなす。
真田『実は俺も来年30なんスよ。つまりお宅らと同い年。大学は出てませんけどね、お互い激動の70年代をシコシコ生きてきたよしみで、仲良くやりましょうや、ね』
伊達、改めて真田を見た。人を喰ったような素振りの中に冷酷な翳がみえる。
東条『(呆れて)この店も質が落ちたな。昔は学卒のちゃんとしたボーイがいたもんだが』
平井『三流の人間がハバをきかす時代だ。我々は黙して語らずさ』
真田『(ムッと)・・・・・・お客さん。言って良いことと、悪い病気がありますよ』
東条が立上がり、真田の襟首をつかむ。
東条『不愉快だな。貴様!店長を呼べ!』
一瞬後、真田の鉄拳が東条の顎をとらえた。
ふっ飛ぶ、東条。テーブルの上が盛大にひっくり返る。
呆然と見守る乃木たち。他の店員たちが駆けつける。
真田『(自分で呆れて)またやっちまったな。・・・・・・マイった』
ブツブツ言いながら、片づける。

―伊達がひっそりと見ていた。
71 @kira 2013-02-23 16:01:51 [携帯]


449 x 797 シーン41
[警察署・前]
釈放された真田、ブラブラ歩き出す。―追う、キャメラ
 
シーン42
[横須賀・ドブ板通り]
わずかな手荷物を持った真田が来て、あるバーの前で立停まる。
2階を見上げ、フッと振り返る。
背後には誰もいない。
真田、バーの裏階段を登ってゆく。
 
シーン43
[バーの屋根裏部屋(夜)]
バカでかいダブルベッドと、三面鏡とタンスと、それだけの部屋。
壁にフラメンコダンサーの写真が1枚。
真田がひとり、酒をあおっている。
フツフツと煮えたぎるものを抑えて、呑みつづける。
階下から、ジュークボックスと酔客たちの喧噪が登ってくる。
真田、ベッドの上のネグリジェをいきなり引き裂く。
 
シーン44
[同・1階のバー]
カウンターといくつかのボックス。狭い。
米兵とホステスの媚態を、ジュークボックスのポップスがあおりたてる。
内階段から下りてきた真田が、カウンターに坐る。途端に振り返った。
隅に、伊達がひっそりと坐って呑んでいる。
どこを見るでもない、その眼差。
真田―。
伊達―。
閉店後。
カウンターに真田がひとり。
ボックスの隅に、伊達がひとり。
その真ン中に、酔いつぶれたホステス(沙羅)がひとり。
沙羅は、転んでは起き、転んでは起きて、赤いエナメルシューズを履こうとするのだが、ままならない。
黒人の愛唱するブルースを延々と唄う。
ロレツは回らないが、地ベタを這うように生きてきた女の魂が最後まで唄わせるのだ。
沙羅はついにシューズを手に持ち、フラつく足で出て行った。
間。静寂。
真田、とまり木をゆっくり回転させて、伊達を見すえる。
伊達は、相変らず焦点の定まらない眼差。
立つ、真田。
真田『・・・・・・用は何だ?』
伊達『・・・・・・』
真田、ボトルを握りしめて、ゆっくり歩み寄る。
真田『どういう魂胆で尾け回す?』
真田の握りしめたボトル。
伊達『・・・・・・ミスターレディになってくれ。そう頼むわけじゃない』
真田、フッと嗤った。
72 @kira 2013-02-23 16:06:00 [携帯]


448 x 798 真田『どこの通信社にいたんだ』
伊達『・・・・・・忘れた』
真田『今はバイトやってるって』
伊達『クビになった』
真田『いつ』
伊達『・・・・・・昔』
真田『昨日でも昔だもんな』
伊達の近くに坐り、見つめる。
伊達、初めて真田を見た。
2人の視線・・・・・・。
真田、一瞬だけおどけて、伊達のグラスにボトルを注ぐ。
黙々と呑んでいる伊達と真田。
真田『・・・・・・女がさ』
伊達『・・・・・・あ?』
真田『女がアメリカ行きたいって言うんだよな。昔フラメンコ踊ってて、今じゃくたびれちまって、日本じゃ通用しねェんだ。で、俺とさ、アメリカの片田舎をジャパニーズフラメンコつってさ、ドサやろうって言うのよ、半年前、突然そう言うわけ』
伊達『お宅がギター弾いて?』
真田『わかりが早ェな』
伊達『指でわかる。いい指だ』
真田、ほんの少しフラメンコギターをつまびく仕種。
真田『但し先立つものが(股間を差して)これしかないんでね。あのレストランに勤めたわけよ。女込みでロスの支店に行かせてくれる条件でな。アッチ行ったらトンズラするつもりだったんだが・・・・・・あのザマだ。ナンボになってもカッとするとワケわかんなくなるんだ』
伊達『・・・・・・』
真田『女はこの店預かってる。毎月赤字だけどな』
伊達『・・・・・・さっき店にいたのか』
真田『いや。・・・・・・バーテンの話だと、ヤンキーの将校とドライブ行ったんだそうだ。この分じゃ徹夜のドライブだ』
伊達、肩をすくめる。
真田『こんなこと初めてだ』
真田、忘れかけていた怒りがこみあげグラスを握りしめる。
伊達『女に情を移すほど間抜けには見えないがね』
真田、いきなりグラスをカウンターの奥に投げる。
ガチャン!と砕け散るガラス類。
73 @kira 2013-02-23 16:10:15 [携帯]

シーン45
[同・外の通り]
夜が白みはじめている。外車が着いて、真田の情婦・雪絵が下りてくる。
雪絵『バーイ』
にこやかに米軍将校に投げキスして、店に入る。
 
シーン46
[バーの中]
入ってきた雪絵、カウンターのミネラルウォーターをラッパ呑みして、大きく肩で息をした。
一転して、生活者の翳がにじむ。2階へヨロヨロと登ってゆく。
隅で、―真田と伊達が音もなく見ていた。
真田、スッと立つ。
真田『始末してくる』
2階へ向かう。
伊達、ゆっくり立上がり、ドアから出て行く。
 
シーン47
[横須賀港]
端っこの岸壁に坐って、朝刊を読んでいる伊達。
《警視庁警部補刺殺 秘密賭博場襲撃の犯人 依然手がかりつかめず 次の犯行防止に必死の大捜査網》
等々の記事。
遠くから、真田がやってくる。
伊達、新聞を1枚ずつ海に放る。
真田が来た。間のもてない素振り。
真田『コーヒーでも呑み行くか』
伊達『・・・・・・どうして始末しなかった』
真田『(ギクッとするが)・・・・・・目を見ちまったんだ。首絞める時』
伊達『じゃないだろ。女が何か言ったんだ』
真田『(苦笑して、頷く)・・・・・・言ったよ。こう言ったんだ。許してダーリン。・・・・・・ダーリン、だぜ』
2人、低い声で笑い合う。
―波間に漂う新聞紙。『大捜査網』の見出しが見え隠れする。真田の声が被る。
真田の声『スカッと決められねェんだ。いつだってそうだ』
海上自衛隊の軍艦の脇を歩く、2人。
20歳前後の青年たちが、憧れの眼で軍艦を見上げている。
真田『(青年たちを見て)あいつら、ついてるよ。日本にも軍隊ができりゃ、真っ先に応召する資格がある。タダで外国行って、ブタ共ブチ殺してそれで恩給がつく。俺とあんたはもう駄目だな。まったく何もない時に、20代を越しちまったよな、俺ら』
その真田をギラッと見る、伊達。
伊達『(ボソッと)世界が狭いんじゃないかね』
真田『・・・・・・?』
74 @kira 2013-02-23 16:14:10 [携帯]


404 x 720 シーン48
■[真昼の特飲街]
表通りから少し路地を入った所に、忘れられたような一画がある。
伊達と真田の所へ、銃器ブローカーの遠藤が来る。
遠藤、職業的なカンで2人を見比べる。
伊達、さりげなく札束の入った封筒を見せる。
封筒を確かめる遠藤。アタッシュケースを差出す。
遠藤『注文通りだ。コルト45のサイレンサー、実包15ケース、コルトパイソンの実包5ケース、M16ライフルと専用サイレンサー、実包10ケース』
アタッシュケースと現金封筒の交換。
遠藤『じゃな』と、去りかける。
伊達『早いんじゃないか』
?と振り向く遠藤。
伊達『サイレンサーによって発射音や貫通度がどれくらい変わるのか、試射する必要がある』
遠藤『そんなことは勝手にやれ。どこの組の者か知らんが、プロだろうが』
嘲笑して、去る。
伊達―。
見守る、真田。
 
シーン49
■[表通り]
大勢の歩行者の中を、遠藤が歩く。
突如、その身体がガクッと停止し、フワーッと舞うように崩折れる。
その近くを伊達が無表情に通り過ぎる。
コートのポケットに手を突っ込んだまま。
昏倒した遠藤の胸から血が噴出している。
道往く人が、遠回りに囲む。その中に、真田。動くに動けない。硬直しているのだ。
その顔、静止したまま・・・・・・。
伊達の声が被る。
伊達の声『2つのデパート、それに大型店舗の午後2時までの売上金は、2時半までに―』
 
シーン50
■[東洋銀行・日本橋支店]
真田が入って来る。
伊達のキャッシュカードで現金を引出す。
さりげなく下見をしているのだ。
伊達の声が近づく。
伊達の声『―地下の金庫室に運ばれる。そこで出納係が手分けして金額をチェックする。合わせて4億はカタイが、万札は約2億だろう。それがこっちの獲り分だ』
真田の声『バラ札なら安心だな』
伊達の声『これを数え終わって束にするまで30分かかる。ここが狙い目だ』
真田の声『やるのは、3時、閉店間際か。いつやる?』
伊達の声『金曜。平日の3時で、車が最も混むのは金曜だ』
75 @kira 2013-02-23 16:17:24 [携帯]


480 x 800 シ-ン51
[銀行を見下ろすビルの屋上]
真田、伊達が詳細にメモした犯行計画書を見ている。
真田『万一非常ベルを押された時、パトがくるまで何分かかる?』
伊達『1分30秒。金曜の同じ時間帯に実際に試してみた』
考え込む、真田。見守る、伊達。
真田『どっちみち、俺は2人殺さなきゃならんわけだ』
伊達『最低2人だ』
真田『ひとりも殺さずにうまくやる方法はないのか』
伊達『掠奪するのに一滴の血も流さないというのは幻想だ。その幻想にふりまわされて今まで何人の馬鹿が失敗したと思う』
真田『要するに俺たちはコンバットに行くわけだ。ゼニのために』
伊達『金で買えないものにロクなものはない』
真田、決心して手を差出す。伊達、握手するかわりに、指で引金を引く仕種。
伊達『早速覚えてもらう。伊豆の山に貸別荘を借りた』
真田『いつ行く?』
伊達『明日。フラメンコの女もつれてこい』
真田『・・・・・・冗談』
伊達『カムフラージュするのにちょうどいい』
76 @kira 2013-02-23 16:23:40 [携帯]


480 x 800 シーン52
[日比谷公会堂・表(夜)]
雨が降っている。
終演後の客が出てきて、戸惑っている。
その中に、伊達、令子。
伊達、黙礼してコートの襟を立てて出て行く。
令子、慌ててバッグから折り畳み傘を出し、追う。
追いつき、伊達に傘をさしのべる。
令子『あの・・・・・・地下鉄まで』
黙って歩く、2人。
横断歩道が赤信号。立停まる、2人。
令子『・・・・・・ここ2・3日、変な人に尾けられてるみたい』
―信号待ちの人混みの中に、柏木がいる。
伊達、気づいてはいるが、無表情。
令子『興信所の探偵かしら』
伊達『・・・・・・』
令子『別につきあってる人もいないのに』
伊達、不意に令子の傘をとり、片手で令子の肩を抱く。
令子『・・・・・・!』
この時を待っていた。息がつまるほど嬉しい。
信号が青で、2人、寄り添って歩き出す。
渡りきったところで、伊達がタクシーを停める。
令子を先に乗せ、伊達も乗り込む。
尾けてきた柏木が、後続のタクシーに乗り込む。
 
シーン53
[走るタクシー・車内]
後部座席で寄り添う、伊達と令子。
伊達、ルームミラーで追ってくるタクシーを見ている。
令子、バッグから1枚の演奏会チケットを差出す。
令子『これ、ウチの社長が行けなくなって、2枚もらったんです。よかったら』
伊達、会釈して無雑作にしまいこむ。
令子、ある期待に顔が上気してくる。
伊達『(運転手に)そこの角で』
四ツ角のアパートの前に停まる。
伊達、運転手に万札をつかませる。
伊達『じゃ、ここで。おやすみ』
サッサと出て行き、アパートに向かう。
令子『・・・・・・(呆気に)』
77 @kira 2013-02-23 16:27:47 [携帯]


480 x 800 シーン54
[アパート前]
令子の乗ったタクシーが発進した直後に、後続のタクシーが停車する。柏木が下りて、アパートに駆け込む。
柏木『―!』
入口の暗い部分に潜むように、伊達が立っていた。
柏木『(苦笑)ホテルにでも連れ込むんじゃないかと思ったよ』
伊達『電車に乗ると、また吐きますんでね』
柏木『俺にマークされて、気分が悪くなったんじゃないのか』
伊達『(答えず)ここの5号室ですが、案内しますか』
柏木『いや、遠慮しとこう』
郵便受けの【5号・伊達邦彦】の表札を確かめて、去る。
 
シーン55
[同・5号室]
伊達が入ってくる。シーン⑥の部屋である。
電話や古いタイプライター等、そのまま残っている。
伊達、電話の留守録音のスイッチを押す。
乃木の声『乃木だけど。どう、忙しい?翻訳2本ほどあるんだけど、都合のいい時に寄ってよ』
灯りをつける。
 
シーン56
[外の通り]
アパートの5号室の灯りが点いた。
柏木、見とどけて、去ってゆく。
78 @kira 2013-02-23 16:34:21 [携帯]


480 x 800 シーン57
[伊豆の山中]
うっ蒼とした樹木。
銃声が2発、3発鳴り響く。一斉に鳥が舞い上がる。
狩猟スタイルの真田と情婦の雪絵。猟銃で撃ちまくるが、全く当らない。
木陰で見守っている伊達。真田に目配せする。
真田『(雪絵に)別荘に帰って、メシでも作ってろ』
雪絵『(ムッとして)賄いに来たわけじゃないよ』
撃ちまくる。かなりエキセントリックな女だ。
雪絵『店のとまり木のアホウ鳥なら、1発でおとせるんだけどね』
とウインクして、山を下りてゆく。
伊達、立ち上がり、さらに奥に向かう。従いてゆく真田。
樹木に囲まれた狭い台地。
真田がサイレンサー付オートマチックを手にし、慣れぬ手つきでカートリッジを差込み、安全装置を外し、5メートルくらい先の標的を狙う。
真田『標的が近すぎるんじゃないか』
伊達、黙って真田をコナす。
撃つ、真田。
45口径の射撃の反動で手元が狂い、銃弾はあらぬ方向へ飛んでゆく。
伊達『手と身体に馴染ませるのが先だ。それから銃のクセを覚えろ』
真田、再び撃つ。
真田の射撃が標的に当るようになった。
隣では、伊達がサイレンサー付ライフルでかなり遠目の標的を撃っている。
撃ち終わる、2人。
 
・・・断崖の上に登り 憂ひは陸橋の下を低く歩めり。
無限に遠き空の彼方 続ける鉄路の柵の背後(うしろ)に 一つの寂しき影は漂う。
ああ汝、漂泊者!
過去より来りて未来を過ぎ
久遠(くおん)の郷愁を追ひ行くもの。
いかなれば蹌爾(そうじ)として
時計の如くに憂ひ歩むぞ。
石もて蛇を殺すごとく
一つの輪廻を断絶して
意志なき寂廖(せきりょう)を踏み切れかし。
ああ
悪魔よりも孤独にして
汝は氷霜の冬に耐えたるかな!
かつて何物をも信ずることなく
汝の信ずるところに憤怒を知れり。
かつて欲情の否定を知らず
汝の欲情する者を弾劾せり。
いかなればまた愁ひ疲れて
優しく抱かれ接吻(きす)する者の家に帰へらん。
かつて何物をも汝は愛せず
何者もまたかつて汝を愛せざるべし
ああ汝、寂寥の人
悲しき落日の坂を登りて
意志なき断崖を漂泊(さまよ)ひ行けど いずこに家郷はあらざるべし。
汝の家郷は有らざるべし!
79 @kira 2013-02-23 16:38:05 [携帯]


480 x 800 伊達『サマになってきたな』
真田『本番になるとどうかな、テキは動く標的だからな。・・・・・・正直チビってるよ』
伊達は、据野にめがけて、ライフルのスコープを向けている。
スコープ―ある貸別荘の前の空地で中年の男たちが揃いのトレーニングウェアで運動している。
中堅管理職の宿泊研修であろうか。
鎖につながれたドブネズミども。ライフルの引金に手をかける、伊達。
伊達『格好の標的がいるじゃないか』
真田『―あ?』
スコープ―トレーニングウェアの中年男たち。
伊達、引金を引く。カチッ。
伊達『女にはその為に来てもらった』
真田『―!』
伊達『今度こそスカッと決めるチャンスじゃないのか』
こともなげに言い、オートマチックの新しいカートリッジを差出す。
苦笑う、真田。蒼ざめている。
真田『―あ?』
80 @kira 2013-02-23 16:44:15 [携帯]


404 x 720 シーン58
[貸別荘(夜)]
一階の、リビングとダイニングを兼ねたフロア。
雪絵が缶詰を使って料理したスープや肉料理。
黙々と喰っている伊達、真田。
雪絵『・・・・・・どうしたの、不景気な顔して』
伊達、食事をやめて、煙草をふかす。
雪絵『やっぱし、マズイ?』
伊達『いや。素晴らしいですよ。・・・・・・最後の晩餐にふさわしい』
真田、パタッと手を停める。
雪絵『(真田に)ちょっと塩がききすぎたかね』
真田『・・・・・・砂糖のききすぎだ』
雪絵『なによ、それ』
伊達『ちょっと留守にするから』
真田をギラッと見て、出て行く。
雪絵『気をきかしたつもりかね』
真田の太股に手を当てる。
真田『・・・・・・』
雪絵『あんた、どうしたの。この前のこと、水に流してくれたんでしょ』
真田に頬をスリ寄せる。
真田『・・・・・・よしな』
雪絵『久しぶりじゃない』
真田『ヤンキーのブタの匂いがする』
と、払いのける。
雪絵『(ムッと)そっちが誘ったんじゃない。・・・・・・(急に激して)そっちが頼むから来てやったんじゃないか!料理も作ってやったんじゃないか!』
と、真田にむしゃぶりつく。
真田。・・・・・・迷っている。
 
シーン59
[墓場]
山の中腹にポツンと忘れられたような狭い墓地。
墓石に、伊達がひっそりと坐っている。カサカサと、葉郡が音をたてる。
風が出てきた。
 
シーン60
[貸別荘]
真田の頭を抱いている雪絵。
雪絵『ねェ、やっぱりメリケン行こうよ。絶対金になるって。ウチら、まだ捨てたもんじゃないって』
真田『・・・・・・』
雪絵、真田を離れ、壁に凭れてフラメンコのステップを踏む。手を打ち鳴らす。
チェアで項垂れて坐ったままの真田。
その手にいつの間にか、オートマチック、無意識にメタリックの感触を腕にこすりつけている。
 
シーン61
[墓場]
伊達が地面を見下ろしている。
墓穴が掘られている。
ポッカリ開いた地面に、ポツリポツリ雨が降り始めた。
81 @kira 2013-02-23 16:47:34 [携帯]

シーン62
[貸別荘]
雪絵が狂ったようにフラメンコを舞う。
真田、ゆっくり顔を上げて雪絵を見る。
突如、フラメンコギターの奏べがセリ上がる。
雪絵の顔にしたたる汗。からみつく黒髪。
妖しく燃えるような眼で真田を誘う。
真田の眼が濁ってゆく。濁ってゆく。
パッとオートマチックを雪絵に向けた。
雪絵『―!』
氷りついた。真田、撃つ。
雪絵の白いワンピースが鮮血に染まり、フワーッと舞う。
鮮血を見て興奮した真田、さらに撃つ、撃つ。
フラメンコギターがパタッと停止して―。
82 @kira 2013-02-23 16:54:07 [携帯]


480 x 800 シーン63
[いきなりガッと起き上がる真田(貸別荘の2階の寝室)]
悪夢が醒めきらず、ボンヤリしている真田。
寝汗が噴出している。
隣のベッドは白いシーツが見えるだけ。
声『夢じゃない』
真田、ギクッと見回す。
隅の闇の中に、伊達が坐っている。
伊達『女は確かに死んだ。やがて土になる。それだけだ』
外は雨。遠く稲光りがする。
伊達『いま、なぜ脅えているかわかるか。人ひとり殺したからじゃない。殺すことに快感を覚えた自分に戸惑ってるだけだ。俺も最初はそうだった』
伊達、真田に歩み寄りながら悪魔のように囁きつづける。
伊達『お前の寝顔は輝いていた。心から充足していた。生まれて初めて一番のご馳走にありついた顔だ』
項垂れたままの真田。
雷鳴、稲光りが激しくなる。
伊達『誰も皆、牙をもって生まれる。1つ齢をとる。2つ齢をとる。よってたかって牙をもぎ、結局ドブネズミになりさがる、おしきせの快楽だけで満足するドブネズミ。そうじゃないだろ、真田。あの女を殺った瞬間に気づいただろ。本当のご馳走が何か気づいたはずだ』
真田、小刻みに震える。
伊達『快楽はむさぼりつくすまで奪うものだ。そのためにドブネズミがどれほど死のうと知ったことじゃない・・・・・・野獣に帰れ、真田』
真田、ゆっくり顔を上げる。異様な輝きだ。
そして物の怪にとりつかれたような伊達の顔。
2頭の野獣―。
その時、すさまじい雷鳴と共に閃光が画面を覆いつくす。
純白の画面。すべての音が一瞬にしてF・O。
83 @kira 2013-02-23 17:00:36 [携帯]


480 x 800 シーン64
[ドッと音が溢れ・都市が拡がる]
錯綜するハイウェイの車の列。
ターミナルの雑踏。金曜日―。
 
シーン65
[東洋銀行・日本橋支店・裏口]
現金輸送車が到着し、ガードマンの厳重な警戒のもと、ジェラルミンケースが運び込まれる。
 
シーン66
[同・表]
近くの路肩にライトバンが停車する。
運転席に、グローブをつけた伊達。
サングラスをかけ、帽子を真深に被っている。
助手席にゴルフバッグ。
伊達、何気なく前を見て、?となる。
女が銀行に入ってゆく。令子である。
伊達『・・・・・・』
腕時計、『2時55分』
サングラスと帽子で変装した真田が通りがかり、目配せする。
伊達、・・・・・・動かない。真田、不審な顔で伊達を見る。
伊達、・・・・・・ゴルフバッグを持ち、ゆっくり外に出る。
伊達と真田、マスクをつけた。
 
シーン67
[銀行内]
十数人の客が、カウンターに群がっている。
一方の出入り口から伊達が入り、カウンターに真っすぐ向かう。
べつの入口から真田がのっそり入り、さりげなくガードマンに近づく。
両出入口のガードマンが時計を見て、シャッターの開閉ボタンを押す。
伊達、ゴルフバッグからいきなりサイレンサー付ライフルを抜き出し、カウンター内の梅津(非常通報係)を撃つ。
心臓を撃ち抜かれて椅子ごとふっ飛ぶ梅津。
すかさず伊達は、店の奥の天井に設置された2ヵ所の防犯キャメラを撃ち落とす。
真田は伊達が行動を起こすと同時に、サイレンサー付オートマチックで、至近からガードマンを射殺。
さらにもうひとつの出入口に突っ走りながらそこのガードマンを射殺。
まさに、一瞬のできごとであった。
悲鳴を上げるのも忘れ、愕然とその場に釘づけになる行員や客たち。
下りてゆくシャッターの音だけが、無気味に響きわたる。
外界と完全に遮断される。
84 @kira 2013-02-23 17:17:03 [携帯]


1481 x 832 真田、カウンターに飛び乗る。
真田『全員、手をあげて、ロビーに並べ!』
客や行員たちが覚束ない足どりでロビーに集まってくる。
真田『早くしろ!』
恐怖の移動の中で、ひとりだけ動かない女がいる。令子。
他の者たちとは違った驚きの眼を、伊達に向けているのだ。
伊達、令子には一顕だにせず、故意か偶然か、令子の脇をスリ抜け、奥に向かう。
令子『・・・・・・』
 
シーン68
[同・地下室への階段]
伊達、足音をたてずひっそりと下りてゆく。
手には、リボルバー。安全装置を外す。
 
シーン69
[地下金庫室]
出納係2名、責任者1名が、数え終えた札束を金庫に入れている。
見守るガードマン2名。
外で銃声がして血しぶきをあげたガードマンが倒れこんでくる。
続いて、スッと伊達が現われる。
ガードマンのひとりが非常通報ボタンを押す寸前、伊達が撃ち、射殺する。
ホールドアップする、他の4人。
伊達、バッグを2つ放り投げる。
 
シーン70
[同・1階の店内]
机上の電話が数本、鳴りっ放しである。
行員や客たちは、窓のない会議室に閉じ込められた。
全員、入口に背を向けている。
入口には真田の銃口が光っているのだ。
地下室から鈍い銃声が4発続けて聞こえる。
会議室の中で痙攣を起こす者、泣きじゃくる者、祈る者、小便をもらす者。
伊達が2個のバッグ(計20㎏)を下げてやってきた。
真田、頷いて会議室のドアを閉めようとする。
伊達が、何かに惹きこまれるように中を覗いた。
中の者は全員背を向けているのに、ひとりだけ伊達を凝視する女、令子。
2人の目が、合った。
伊達・・・・・・。
令子・・・・・・。
伊達、バッグを真田に渡し、決心して声を出す。
伊達『先に車に戻ってろ』
令子『―!』
真田、一瞬怪訝な顔をするが、裏口へ去る。フワッと立ち上がる令子。
伊達・・・・・・。
令子。憑かれたような顔。
揺れながら、伊達に歩み寄る。
伊達は逃がしてくれるかもしれない。連れ出されて始末されるかもしれない・・・・・・。令子、いっぱい目を見開いて、ドアの外に出てきた。
ドアを閉める、伊達。
同時に、鳴りつづけていた電話がパタッとやむ。
直後、令子の全身がワナワナと震え始める。伊達、令子を包み、抱く。
息がもつれ、声が声にならない令子。
鈍い銃声。ガクッと令子の身体が弛緩する。
伊達・・・・・・。
85 @kira 2013-02-23 17:20:38 [携帯]

シーン71
[同・表の通り]
ライトバンの運転席で待っている真田。
裏口から回ってきた伊達が、乗り込む。
2人の眼は、陶然として濡れている。
ライトバンは、銀行脇の路地に入ってゆく。
その時、遠くでパトカーのサイレンが高まる。
銀行のシャッターが開く。
地獄の恐怖から逃れた放心状態の人々が虫のように這いずり、出てくる。
到着したパトカーの警官が、唖然となる。
 
シーン72
[非常厳戒体制]
周辺の高速道路の入口が次々に閉鎖される。
一般道路の検問実施。
けたたましいサイレンと共に疾駆するパトカー郡。
警察のヘリポートからヘリコプターが飛び立つ。
―この間、警察の非常無線交信がOFFで交錯する。
86 @kira 2013-02-23 17:25:02 [携帯]

シーン73
[地下ホール]
コートを裏返しにし、変装をといた伊達と真田、カバーを替えたバッグを1つづつ持ち距離をおいて歩く。
都営浅草線東西線の改札口には入らず、予め用意した切符で銀座線の日本橋駅改札に入る。
伊達の声が被る。
伊達の声『まず銀座線で神田に出る。それから山手線に乗り換えて東京で下りる』
真田の声『そのまま熱海に直行か』
伊達の声『そうだ。熱海からレンタカーで伊豆の別荘に入る』
 
シーン74
[銀座線・車内(浅草行き)]
ドアに凭れている真田。一様に押し黙り俯向いたサラリーマンの群れを見て胸がむかつく。
別のドアに凭れている伊達。と―、その肩を叩く者がいる。柏木である。
伊達『・・・・・・やあ』
柏木『ヨッ。偶然が2度も続くと気持ち悪いな』
伊達『やっぱり縁があるんじゃないですか』
三越前』を発車して、車内アナウンスが次の停車駅『神田』を告げる。
柏木『神田?』
伊達『(咄嗟に)ええ。翻訳の打ち合わせがあるもんで』
柏木『俺も。神田の学生が定食屋でヤクザをブチ殺したんだと。どうなってんのかね、ところでなんで電車乗ってる?』
伊達『え?』
柏木『吐くんじゃないの』
伊達『・・・・・・(微笑)』
柏木『最近アパートに帰ってないじゃないか』
伊達『よく旅に出ますんで』
柏木、伊達の持つバッグに目をやる。
柏木『今日も?』
伊達『ええ。打合せ終わってから』
柏木『どちらへ』
伊達『・・・・・・東北へ、ちょっと』
柏木、バッグを胡散臭く見る。
 
シーン75
[銀座線・神田駅]
伊達と柏木が下りる。別のドアから、真田が出て、歩く。
 
シーン76
[国鉄神田駅]
地下通路から登ってきた真田、国鉄改札へ向かおうとして、振り返る。
遅れてやってきた伊達が、国鉄改札へ向かわずに、駅前に向かう。
しかもその隣にいる男(柏木)と話しながら。
真田『・・・・・・?』
87 @kira 2013-02-23 17:29:48 [携帯]

シーン76
[国鉄神田駅]
地下通路から登ってきた真田、国鉄改札へ向かおうとして、振り返る。
遅れてやってきた伊達が、国鉄改札へ向かわずに、駅前に向かう。
しかもその隣にいる男(柏木)と話しながら。
真田『・・・・・・?』
 
シーン77
[駅前の横断歩道(ガード下)]
を横断する伊達と柏木。
頭上には、警察のヘリコプター。
けたたましいサイレンと共に、パトカーがひっきりなしに行き交う。
その内の1台を、柏木が手帳を揚げて停める。
柏木『事件か』
パトカーの警官は臼井。
臼井『銀行が襲撃されました』
柏木『いつ、どこで』
臼井『つい先程、東洋銀行の日本橋支店です』
柏木『日本橋?』
柏木、傍の伊達を見る。
臼井『10人射殺され、相当の金が強奪されたそうです』
柏木、伊達のバッグを見る。
その時、パトカー内の無線が入る。
無線『本部から各車へ、本部から各車へ。車で逃走したと見られる犯人2名の内1名は身長1メートル80以上、肩幅が広く、脚が長い。○×色のコートを着ている。繰り返す・・・・・・』
伊達・・・・・・。
柏木『よし行け、飛ばしすぎて事故起こすなよ。新車なんだから』
パトカー、発進。
柏木、伊達と共に歩き出す。
柏木『出版社、どっち?』
伊達『あっちです。お宅は?』
柏木、伊達と同方向を指差す。
柏木『当然、あっち』
88 @kira 2013-02-23 17:33:12 [携帯]

シーン78
[通り]
伊達と柏木が歩いてくる。
柏木『さっきの聞いてた?』
伊達『ええ』
柏木『よォやるわな』
伊達『現場行かなくていいんですか』
柏木『前にも言ったじゃない。みんながワッと飛びつくのって、俺イヤなんだよね』
出版社の前に来た。シャッターが閉まっている。
貼り札―。
《本日は、弊社創立五十周年記念日につき、 休業させていただきます。 お客様各位 株式会社○△出版》
伊達、肩をすくめる。
柏木『(ニヤニヤと)・・・・・・お宅さん、日本橋からご乗車でしたね』
伊達『・・・・・・(ニヤッと頷く)』
柏木『つい先程』
伊達『・・・・・・一応出頭しますか』
柏木『この頃は令状なしで連行するとうるさいんでね。・・・・・・犯人は2人だっていうし』
伊達のバッグを見ている。
柏木『東北、どこ行くって』
伊達『できるだけ北の方、小湊あたりがいいと思ってますが』
柏木『上野から?切符買ってあんの?』
伊達『いや、予め予定を立てない方ですから』
柏木『温泉ねェ。クラシック音楽の権威が温泉めぐりなんて、ヘンな時代ですなァ』
 
シーン79
[上野駅・コンコース]
夕方の雑踏。夕陽が差込んでいる。
歩いてくる、伊達。
 
シーン80
[同・ホームの列車・中(急行・八甲田)]
客は、十数人。伊達がひっそりと坐っている。
網棚に、バッグ。
19時10分、発車した。
柏木が飄然とやってきて、伊達が見える位置の座席に坐る。
買ったばかりの小型トランジスタラジオを聴き、ポケットウィスキーをなめる。
伊達・・・・・・。
 
シーン81
[薦走する急行列車]
闇を―。
89 @kira 2013-02-23 17:36:23 [携帯]


480 x 800 シーン82
[同・車内]
客が数人に減った。
検札していた車掌が去る。
伊達の席に柏木がきて、向かい合って坐る。
呑みかけのウィスキーを差出す。
柏木『どう?』
伊達、手で断る。柏木のラジオから音楽番組が流れている。
柏木『痛いよなァ。このラジオが3千円。切符が○千円。こんなの必要経費で認めてくれんのかね』
伊達『・・・・・・難しい問題ですね』
柏木『難しいよ。必要経費プラス金一封がでるか、厳重戒告処分になるか、あんたがカギ握ってんだからね。(指差して)責任重いよ、ホント』
伊達『・・・・・・(苦笑)』
柏木『しかし、定食屋殺人事件はほっぽりだすわ、本署に連絡はせんわ・・・・・・こういう阿呆な刑事は―』
ラジオの音楽番組が中断する。
ニュース『・・・・・・東京日本橋の銀行襲撃事件であらたなニュースが入りましたのでお伝えします。犯人が逃走に使用したと見られるライトバンがつい先程発見されました。場所は東洋銀行日本橋支店のすぐ裏手の駐車場で、犯行に使用したと思われるライフル銃などが押収されました。このことから捜査当局では、犯人2人は車で逃走したのではなく、日本橋を通過する3つの地下鉄のいずれかで逃走を図ったものと断定し、捜査体制を大幅に変更する模様です』
柏木『―こういう阿呆な刑事は、やっぱりいてもいいわな』
不敵に笑う。
90 @kira 2013-02-23 17:41:42 [携帯]


352 x 640 シーン83
[薦走する急行列車]
 
シーン84
[同・車内]
客は、伊達と柏木。かなり離れた席に、家族づれが一組。
柏木『ところで、あんたどうして通信社やめたんだ』
伊達『それはもう調べがついてるでしょ』
柏木『まァな。アンゴラレバノンインドシナ、去年のウガンダまで、よくもまァ戦場を渡り歩いたもんだ。この前通信社行って、あんたが各地から送ってきた写真をみせてもらったがね。ありゃひどい』
伊達『・・・・・・』
目を閉じた。
柏木『特に2、3年前からのは俺らが見る検死の写真よりひどいな。ボロキレみたいにブチ殺された兵士、住民、それも潰れた顔とか飛び出した内臓とか、そういうのばっかじゃないか。日本の新聞は隠健で、大体が戦火に脅える少女のつぶらな瞳とか戦場に残った一輪の花とか、そういうのしか載せんから、本社が見るに見かねてあんたを連れ戻すのも無理ないわな。・・・・・・なんでああいう写真しか撮らなくなったんだ』
伊達『・・・・・・』
瞑目した伊達。頬がキリッと引き攣る。ジッと見入る、柏木。
91 @kira 2013-02-23 17:46:09 [携帯]


480 x 800 シーン85
[地方駅に停車する急行]
家族づれが、下車する。
 
シーン86
[同・車内]
発車する。
乗客は柏木と伊達の2人だけになった。
棚のバッグを盗み見る、柏木。
瞑目したままの伊達。
ラジオのローカルニュース『午前0時のニュースです。昨日東京日本橋で発生した銀行襲撃事件は、いまだに犯人の手がかりすらつかめておりませんが、捜査当局は射殺された10人の内、客としてただひとり殺された女性について重大な関心を寄せています。この女性は、中央区日本橋のUSワックス社長秘書、華田令子さん。23歳ですが、なぜ多勢の客の中で華田さんだけが射殺されたのか不可解な点が多く―』
プツッとラジオのスイッチが切れる。伊達、フッと目を開ける。柏木が銃口を向けている。安全装置を外した。
柏木『ようやく令状なしでも取調べる決心がついたよ。・・・・・・いい女だったがな、あの娘は』
素早く、伊達のボディチェックをする。
凶器らしいものは何も見当たらない。
柏木、棚のバッグを下ろす。
伊達『・・・・・・』
柏木、片手でゆっくりバッグを開ける。
バッグの中には、―着替えが入っているだけ、
柏木『―』
伊達『(微笑)決心がつきましたか、次の駅で引き返す』
柏木『そうはいかんさ。・・・・・・相棒はどうした。どこで落ち合う予定だった!』
伊達『・・・・・・さァ、何と答えていいか』伊達、肩をすくめるだけ。
柏木の背後へ・・・・・・、真田が腰をかがめてソッと歩み寄ってくる。
柏木『・・・・・・妙な気分だよ。あんたが殺(バラ)したくなってきた。・・・・・・なんでかな、・・・・・・あんたの目がそうしろと、誘ってるよ』
伊達、無表情に内ポケットに手を入れる。柏木、カチャッと遊底を引く。
伊達がとり出したのは、サングラス。ゆっくり目に当てた。
柏木『―』
伊達のサングラスに、柏木の後頭部にオートマチックをつきつけた真田が映っている。
伊達がゆっくり手を差出す。
拳銃を伊達に渡す、柏木。
真田が回りこんで、伊達の隣に坐る。
真田『・・・・・・どうも』
92 @kira 2013-02-23 17:50:25 [携帯]


480 x 800 フッフッと、柏木が腹の底から絞り出すように、低く笑う。
伊達も真田も低く笑う。ひとしきり笑いつづける3人。
真田は、オートマチックを握ったままポケットに入れ、目を閉じる。
伊達も拳銃を握ったままポケットに入れ、目を閉じた。
実際、眠くてたまらないのだ。
ゴトゴトと、鉄路の音だけが不気味に響く。
柏木、逃げるチャンスを待っている。
目を閉じたままの伊達と真田。
柏木、フワッと腰を浮かし、逃げようとする。
伊達『・・・・・・リップ・ヴァン・ウィンクルって知ってますか』
ギクッと伊達を見る、柏木。
伊達、寝言のように呟きつづける。
伊達『・・・・・・リップ・ヴァン・ウィンクル。いい名前だ。もうずいぶん昔の話ですがね。そいつが山に狩りに行ったんですよ。ウィンクルはそこで小人に出会った。なんて名前の小人だったか・・・・・・、とにかくウィンクルは小人に酒を呑まされましてね、そのまま眠ってしまった。それでウィンクルは夢を見たんです。どんな狩りでも許される素晴らしい夢だった。その夢がそろそろクライマックスというところで、目が覚めましてね。村に帰ったんです。ところが、妻はとっくに死んでるし、村の様子も全く違う。狩りなんかもっての他だっていうんです。何というか、つまりウィンクルがひと眠りしている間に、村では何十年かの歳月が過ぎていたわけです』
柏木『・・・・・・あんたにゃ、もともとカミさんはいなかったんだろ』
伊達『私の話じゃありませんよ。リップ・ヴァン・ウィンクルの物語です』
柏木『・・・・・・ミスター・ウィンクルが小人に呑まされた酒の名前も忘れたかね。できれば俺も呑んでみたいね』
伊達『それは覚えていますよ。ラムにコァントロー、それにレモンジュースをシェークして作るんです。わかりますか』
柏木『(絶望的)・・・・・・XYZ』
伊達『そう。これでおしまいって酒です』
柏木、パッと立って、通路へ逃げようとする。
伊達のポケットの拳銃が火を噴いた。
その鈍い音に、真田が目を覚ます。
背中に被弾して、通路をヨロヨロと逃げてゆく柏木。力尽きて倒れた。
93 @kira 2013-02-23 17:53:11 [携帯]

伊達『坐らせてやれ』
真田、眠そうな眼で、柏木の所に行き、傍の席に坐らせる。
そのまま向かい合って坐る、真田。
真田『眠んなさいよ。気分がよくなるから』
柏木の荒い息が、徐々に鎮静してくる。
真田、それを見とどけて再びウツラウツラ・・・・・・。
と、―窓の開く音がして、強い風が吹きこんでくる。目を醒ます、真田。
開かれた窓。柏木の姿はない。座席シートの血のり。
真田『・・・・・・あの馬鹿』
94 @kira 2013-02-23 17:59:30 [携帯]


720 x 404 シーン87
[線路]
長い2本のレールの端から、2つの影がユラユラ歩いてくる。
バッグを持った真田と伊達。 線路脇に、大量の血のりが付着している。
その痕跡を追って、またもユラユラ歩いてゆく真田と伊達。眠い。
2人の行く手に森が見える。
闇は、端のほうから白みかけている。
 
シーン88
[森の中]
伊達と真田が登ってくる。
ひらけた所に、大戦中のトーチカであろうか、崩れかけた廃屋がある。
その入口に、わずかな血痕。
伊達と真田、特に警戒する風もなく入ってゆく。
 
シーン89
[廃屋]
に入ってくる伊達と真田。
人影はない。朽ち果てた鉄板のドアを閉めて、坐りこむ伊達。
真田『追わないのか』
伊達、眠そうに目を閉じる。
伊達『・・・・・・どうだっていいんだ』
真田『あ?』
伊達『関係ないだろ。何の関係があるんだ』
真田『何を言ってるんだ』
真田も坐りこんで、目を閉じる。
伊達、ポケットをまさぐる。
伊達『・・・・・・煙草ないか』
真田『吸わないんじゃないのか』
伊達『お前には聞いてない』
真田、呆れた顔で再び目を閉じる。
ポケットをまさぐりつづける伊達。
その内、自分の手が自分のものではないような錯覚にとらわれる。
その手を、ためつすがめつ眺めては、指を1本ずつ動かしてみる。
しのびよる狂気が意味のない言葉をボソボソと語らせる。
伊達『・・・・・・その時、俺はひとりだった。倒れた兵士もひとり。べイルートの南10マイル。兵士は国籍のわからない傭兵だ。腹に3発、機銃のナマリ弾をくらっていた。傭兵は自分でモルヒネを打った。腹を割いた。ハラワタにくいこんだ弾を探しているんだ。俺はシャッターを押しつづけた。やつはひとりだった。俺もひとりだ。・・・・・・生き残ったゲリラが来た。左足が吹き飛んでいた。ロシア製の銃を握りしめて、俺にズリ寄った。俺は叫んだ。・・・・・・俺は日本人だ!関係ない!俺はプレスだ!』
その声の鋭さに、真田がビクッと目を開ける。
伊達『・・・・・・ゲリラが俺に銃口をを向けた。ゲリラもひとりだ。俺は傭兵の銃をとった。ゲリラより先に撃った。・・・・・・ゲリラが死んだ。傭兵も死んだ。累累たる死骸。・・・・・・俺はひとりだった・・・・・・』
真田『・・・・・・』
伊達『・・・・・・それが俺が最初に味わった本当のご馳走だった』
95 @kira 2013-02-23 18:02:46 [携帯]

伊達、真田にゆっくり顔を向ける。悪霊のような眼だ。
真田『―!』
伊達、拳銃を握りしめ、真田に向ける。
伊達『・・・・・・最高のご馳走は、いい材料を丹念に下ごしらえする。真田、お前に出会った時は、心底うれしかった。最高の獲物に育ってくれた。感謝するよ』
伊達、撃つ。ガクッと横に倒れる真田。伊達の眼が、陶然と濡れたように光る。
徐々に我にかえる。真田のバッグをこじあける。
札束の山。自分が持っていたバッグから必要なものだけを取り出し、真田のバッグにつめる。ふと、1枚のチケットがこぼれおちる。
令子から貰った演奏会の切符である。
伊達『・・・・・・』
チケットをポケットに入れ、真田のバッグを持って、出口に向かう。
朽ち果てたドアを開ける。同時に、大量の陽光が包み込む。
その時―銃声!
逆光の中に、伊達のシルエットが静止する。
―背後から瀕死の真田がオートマチックで撃ったのだ。直後、絶命。
伊達のシルエットが、ゆらりゆらり揺れて、ドッと落下する。
グワーンとセリ上がる交響楽。
(オーケストラの音が被る)
96 @kira 2013-02-23 18:07:14 [携帯]


480 x 800 シーン90
[コンサート会場]
指揮者の全身が嵐のごとく揺れ動く。
終章の盛り上がりである。
満員の席。その中にポツンと2つだけ席が空いている。背後から、キャメラが寄る、寄る。2つの空席。
演奏が終了した。深い静寂。
と、―空席の1つで、何かが少しずつセリ上がってくる。髪、頭、男。
ゆっくり立上がった。伊達。眠ったまま通路へ足を一歩踏み出す。
その顔に、一瞬光が、―当ったと感じた。
錯覚かもしれない。伊達、拳銃をとりとめのない方向に向けて構える。
この静寂を大切にしたいと思う。だからもう少しやすませてくれ。
広い客席に―客は誰もいない。
包帯をした柏木と、多数の警官が伊達を見守っている。
場内の無数の灯りが、ひとつずつ急速に消えてゆく。
そして闇になった。
一発の銃声!最後の銃声である。
          【完】
97 @kira 2013-02-24 21:41:45 [携帯]

野獣死すべし』そのものを論じて行く前に角川映画自体について語っておこう。
何かと言うと角川春樹事務所のロゴマークである。
角川映画を劇場で観た事がある方なら、あの宇宙空間に火の鳥が現れ、地球の中に入って行くロゴを御存知だろう。
この火の鳥は当時の角川書店ロゴマークでもある。
それをアニメーション処理して、大野雄二氏が作曲したサウンドロゴを被せて実にドラマチックなタイトルロゴを完成させた。
それまでの日本の映画会社のロゴマークと言えば、『海』や『富士山』などハリウッドと違い、垢抜けしないものばかりだった。
そこに登場した角川映画は衝撃だった。
当時の日本映画は斜陽化の一途を辿り、完全に衰退していた。映画そのものも面白くなく、2本立てが主流だった。そこへ角川映画が登場し、大作映画を大ヒットさせ、角川春樹時代の寵児となった。他の映画会社も最初は馬鹿にしていたが、便乗するかのように大作映画の製作を始めた。東宝金田一耕助シリーズや森村誠一原作の映画化は言うに及ばず、角川映画が始めたテレビCMまで流すようになる。
タイトルロゴひとつとっても日本映画が変わって行く予感がした。ま、これは後々裏切られる事になるが。
しかし、このタイトルロゴも『野獣死すべし』以降はなんの変哲もない普通のロゴに変わってしまう。これに伴い、角川映画もつまらなくなって行ったような気がする。面白い、つまらないではなく、角川映画を観てもときめかなくなったのだ。それは角川映画の製作方針の転換点でもあったからだ。
問題はDVDである。あの魅力的なタイトルロゴがDVDでは削除されている。変わりにつまらないロゴが挿入されている。それは現在の角川書店のロゴだ。これには衝撃を受けた。これは愚行と云わざるを得ない。
映画というのはロゴからすでに始まっているのだ。これではスタート地点に立たないで走っているマラソンランナーみたいだ。ホームランを打つ瞬間だけ見て興奮出来るか。勿論、盛り上がる訳がない。自分たちに都合が悪い部分を勝手に切って、『さあ、御覧下さい』なんてよく出来るもんだ。我々は出来損ないをお金を出して買わされているのだ。
こういう事をしている限り、日本映画は暗闇から抜け出せないだろう。
98 @kira 2013-02-24 21:45:25 [携帯]

大藪春彦原作『野獣死すべし』は現在までに5本、映画化されている。
 
■記念すべき第一作は『野獣死すべし』。
大藪春彦が『青炎』に処女作である『野獣死すべし』を発表し、鮮烈なデビューを飾った翌年、1959年に東宝が製作している。
監督は須川栄三。脚本は白坂依志夫。主演は仲代達矢
原作に忠実に映画化されており、現在は再評価がなされている。
■第二作は『野獣死すべし 復讐のメカニック』。
1974年に『野獣死すべし』と同じく、東宝が製作している。
監督は『野獣死すべし』と同じく、須川栄三。脚本も同じく、白坂依志夫。主演は藤岡弘
前作から15年後に製作された正統なる続編だ。
■第三作は『野獣死すべし』。
1980年、角川春樹事務所と東映が製作している。
監督は村川透。脚本は丸山昇一。主演は松田優作
野獣死すべし』の映画化作品の中では、最も有名であろう。しかし、原作とあまりに違いすぎる為に別物と見る向きもある。第二作は復讐編の映画化であるから『野獣死すべし』の映画化としては二作目となる。
■第四作は『野獣死すべし』。
1997年製作。
監督は廣田真人。主演は木村一八
■第五作は『野獣死すべし 復讐編』。
1997年製作。
監督、主演はは第四作と同じく、廣田真人と木村一八
 
現在までに5本も製作されている事を見ても原作が如何に人気があったかが窺える。第一作『野獣死すべし』も今から20年位前に観たが、伊達が物乞いの老婆に食い物を床に落として拾わせる描写もあり、素直に面白い。ただ、松田優作版と比較してしまうと霞んでしまう。松田優作の怨念が大藪春彦の怨念に勝っているのだ。単なる失敗作なら公開後に埋もれているだろう。人の目を惹かずにおかない何かが『野獣死すべし』にはあると言う事だ。
99 @kira 2013-02-24 21:51:59 [携帯]

東京のどこかのガード下から映画は始まる。
パーマをかけている子連れのホステスが美容院から出てくる。ホステスを演じていたのは船場牡丹。『探偵物語』の第24話『ダイヤモンド・パニック』にも出演していた。大柄な女優で実にユーモラスな芝居をしていた。
その直後に現れる男。ギラギラした空気を漂わせて、見るからに堅気ではない。
演じるのは青木義朗。優作の『処刑遊戯』では鳴海昌平に狙撃される初老の殺し屋を演じていた。
男に会釈するヤクザたちの中には重松収がいる。彼は優作のデビュー作『太陽にほえろ!』第77話『50億円のゲーム』で優作と共演している。
トビー門口は優作とは『蘇える金狼』で共演している。この作品ではテクニカル・アドバイザーも兼ねている。弾着と連動して血糊が噴き出す仕掛けなどを担当していた。
アスレチック・ジムの岡田と柏木のシークエンスは丸ごとカットされている。特に必要なシーンではないからだろう。時間的制約と恐らくは柏木の登場シーンを伊達と遭遇シーンにしたかったのではないか。でなければ伊達は、柏木を以前から知っていた事になる。
このシナリオで面白いのは主人公・伊達邦彦が最初は安アパートに住んでいる描写だろう。クラシックを聴いている伊達が隣人に壁を叩かれるシークエンスはなかなかユーモラスだ。しかし、劇場版ではカットされている。このシーンは、カジノ襲撃に繋がる重要な部分だが緊張感は些か失われてしまうだろう。やはり、岡田警部補を襲う初登場シーンは鮮烈だ。何より、優作がこういう生活感を一番嫌っただろう。伊達同様に優作も相当にストイックだったのだ。
100 @kira 2013-02-24 21:56:19 [携帯]

ドシャ降りの住宅街での警部補を刺殺して拳銃を奪うシークエンス。
実は原作にも、この描写がある。原作の冒頭の描写が丸ごと同じである。
シナリオにもある“篠つく雨”の一節は原作から採ったものだろう。
松田優作はさておいて、脚本家の丸山昇一氏は原作を何度も読み返している筈だ。原作に敬意を払い、尊重していた。
しかし、丸山氏が大藪春彦と会う機会があった時に彼から伊達のキャラクター造形についてお叱りを受けたらしい。
 
劇場版での台詞
岡田『・・・・・・とうとう現れたな・・・透明人間かと思ってた。何か用か?!俺にパクられたことでもあんのか?!』
岡田『ぐわぁっ!』
 
ここでようやく、松田優作扮する伊達邦彦の登場である。スクリーンに現れた松田優作を観て、観客は驚いた。
『これが、あの松田優作か!?』
青白い顔。
ガックリ落ちた肩。
痩せ細った身体。
トレードマークだった特徴あるヘアスタイルも止めていた。
優作は撮影に入る前に70キロあった体重を減量で62キロまで落とした。そして、奥歯を4本抜いて、頬を痩けさせた。伊達のイメージされる身長が175センチである事から脚を切断する事まで真剣に考えた。医学書を読み、成功事例まで確認していた。しかし、脚を切れば歩けなくなる事から、断念した。だが、減量した事で身長が182センチになった。この事は優作を歓喜させた。
しかし、現場に現れた松田優作を見た村川透監督は『話が違うじゃないか』と怒り、優作と喧嘩になったという。
普通に考えれば『野獣死すべし』と言うベストセラー小説をそのまま映画化すれば、大ヒット確実なのだ。松田優作の芝居でギラギラした伊達邦彦を演じれば、それでオーケイ。何の問題もない。観客も松田優作にそういう演技しか求めていなかった。
しかし、それは松田優作の本質ではなかった!
優作が芝居を志した時、内向的だった本来の自分を乗り越えた。これが、『第一の跳躍』だとすれば、今回の『野獣死すべし』は、そんな自分を更に乗り越えた『第二の跳躍』であろう。
これこそが、役柄ごとに顔が変わると言われた松田優作の本質である。
しかし、この時点では伊達の姿は鮮明には見えない仕掛けだ。
101 @kira 2013-02-24 22:03:09 [携帯]

松田優作が我々に提示してみせた伊達邦彦は、想像を絶したものだった。
それは岡田警部補を不意打ちにする初登場シーンから、それまでのハードボイルドではありえない主人公は観客の度肝を抜いた。
この伊達邦彦の無様さと言ったらどうだ。屁っ放り腰でナイフで斬りつけるも悉く交わされ、投げられ、持っていた傘で打ちのめされる。
今までの優作なら、正面から一発の銃弾で仕留めるシーンだろう。
しかし、低い構えで、何度も立ち向かい、ただ標的の一瞬の隙を狙う様は観る者の背筋を凍らせる。
叫び声も掻き消されるような雨の中、標的の脚をナイフで滅多刺しにして動きを封じたところで止めを刺す。殺される側からすれば、これ以上の恐怖はない。
これを、カメラはクレーンを使い俯瞰で冷徹に写している。まるで、本物の殺人シーンを撮影しているかのように。
 
ここで、ひとつの疑問が湧いてくる。
伊達は何故、岡田警部補を狙ったのか。
そんなの拳銃を奪う為に決まってるじゃないか…と思うだろう。
拳銃を奪う為だけに屈強な刑事を襲うという危険を犯すだろうか。
それに東大の同窓会で伊達が学生時代に射撃部に在籍していた事が明かされる。だったら拳銃の一丁くらい所持していても可笑しくはない。
ここは原作に準じる部分もあるから、うっかりしたという可能性もある。
しかし、所持している拳銃でカジノを襲撃した場合、登録した書類等から身許がバレる可能性がある。逮捕されれば元も子もない。
身許が知れる事を恐れて岡田の拳銃を奪ったのではないか。
だが、岡田を襲った事にも理由がある。刑事を襲えば、最初に疑われるのは前科者である。しかも刑事が逮捕した犯罪者に目が向けられる。自分が疑われる可能性が少なくなる。ドシャ振りの夜に襲えば犯行を目撃される危険も証拠が残される危険性もなくなる。
全ては、警察の捜査を攪乱させる為である。
102 @kira 2013-02-24 22:12:34 [携帯]

劇場版の台詞
奥津『あ・・・お客さん、まだいらしたんですか?店はもう終わりましたんで、お帰りいただけますか』
黒岩『う、うわぁぁぁ・・・・ああぁぁぁぁ・・・・』
黒岩『うわぁー』
黒岩『う、う、撃つなー、撃つなー、足が・・・撃つなー』
 
カジノ襲撃シーンではドアが開いて拳銃を握った伊達の手のアップから始まる。まだ、伊達の正体を見せずに引っ張る。
この映画では、意外にも伊達を真正面から捉えたカットが少ない。同じ村川監督の『遊戯シリーズ』では、優作が出突っ張りだったのだから、尚更異様だ。
スクリーンに伊達が映っていても、横向きや後ろ姿だったりする。これが、死神のような伊達の不気味さを増幅させている。松田優作自身がカメラに写る事を避けているかのようだ。
伊達は文字どおり、死人のような男だ。そんな男がスクリーンにバッチリ写って存在をアピールしていたら、おかしいだろう。
邦画は、こういう描写がまったくなっていない。主役だから、常にフレームに収めるとか、悲しいシーンには悲しい音楽を入れるとか、映画の生理とは関係のないところで演出されている。『エイリアン』はクリーチャーを見せない事で恐怖感を出した。『ゴッドファーザー』は上から照明を当てる事で俳優の顔に陰影をつけて、人物の心の闇を演出した。『野獣死すべし』が、邦画らしくないと言われるのは、洋画的な演出が為されている為である。
現在の日本映画はこうした過去の作品から学ぶべき事が沢山あるはずだ。
昔の映画は、現在の映画と違い、映像言語のバリエーションに富んでいる。一見逆のような感じがするだろうが、昔は、機材や素材に乏しく、技術も発達していなかった。勿論、CGなんてなかった。だから、先達たちは知恵を絞って数々の映像表現を開発した。
自分たちが目指す映画の創造に貪欲であったのだ。
103 @kira 2013-02-24 22:18:00 [携帯]

シナリオでは、伊達が黒岩、峰原を射殺し、奥津と銃撃戦とあるが映画で一発で仕留めるのは奥津のみである。
撃たれて呻く黒岩に伊達が近付き止めを刺そうとする時の表情が怖い。人を殺す瞬間を味わっているかのようだ。
そこを峰原に邪魔されて、拳銃を手放して投げ飛ばされる伊達。死んでいる奥津の拳銃を奪って峰原に数発撃ち込んで射殺。
ここらあたりは『タクシードライバー』のクライマックスのように、顔や手が吹っ飛んだりするカットがあれば、もっと面白くなるシーンなのに実に勿体ないと思う。
村川監督は低予算、早撮りでやってきた人だから、そんな構想は端からなかったろう。予算数千万で2週間で撮り上げた、『遊戯シリーズ』は、俳優の動きで見せる肉体派アクションが売りだった。
伊達の前に錯乱した黒岩が現れる。格好の獲物だ。黒岩の命乞いも虚しく、今度は一発で仕留める伊達。このシーンは『探偵物語』のファンなら工藤俊作が松本刑事を射殺するというありえない感が楽しめて、実に面白い。
ここも、疑問なんだけど伊達は黒岩を射殺する間際に顔を伏せるのだ。伊達は殺人に快感を感じているのだから、その瞬間を見たいと思うのが普通だろう。それとも、殺人そのものにしか興味がなくて雑魚の死に様なんか見たくないという事か。
カジノの用心棒達を殺して、恍惚としている伊達が冷静になり、売上金を積み上げたテーブルに向かう。札束を目の前にして頬摺りする伊達。これは、伊達が金目的で強盗しているという事か。松田優作も最終段階まで金か殺人かは、決めかねていたのか。
札束を掴もうとするが拳銃を握った手が硬直しており外せない。必死で指を伸ばして拳銃を放す伊達。こういう芝居は俳優、松田優作の天性の勘がさせているのだろうか。
104 @kira 2013-02-24 22:34:39 [携帯]


480 x 800 シーン9
早朝の濡れた舗道を、伊達が歩いてくる。
差し込んだ朝日が伊達に当たる。
静止した画面にタイトルが重なる。
松田優作の映画の中で最も好きなタイトルバックだ。
こんなに静かで、恐ろしくて、詩的なタイトルバックが他にあるだろうか。
 
朝日―。
 
ビルの谷間から陽が登ってくる。
 
伊達の犯行を、まだ知らない警視庁にも朝が訪れる。
 
ビルの窓に反射する朝日。
 
上空からの俯瞰撮影による教会。
 
ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』レプリカ。
 
ズームアウトすると伊達が住むマンションの一室。
 
ズラリと並んだ本棚に本を並べている伊達。
 
松田優作は、『野獣死すべし』撮影終了後すぐに丸山昇一脚本、小池要之助監督で同じスタッフによる『新宿24時』がスタンバイしていた。
犯人逮捕の為、麻薬を打ちながら新宿の街を二人組の刑事が走り回る話。
しかし、1980年といえば、例年になく雨の日が多かった年だった。
野獣死すべし』の伊達邦彦が朝日が上る街を歩くタイトルバックを撮影する為に待機していたが、連日の雨で撮影が延びてしまった。『新宿24時』の監督、小池要之助は『野獣死すべし』の助監督だった。それに松田優作も『野獣死すべし』に全精力を賭けて疲れ切っていた。
この撮影が終わらなければ、次の作品の撮影には入れない。
そういう理由で結局『新宿24時』は流れてしまったのだ。優作とコンビを組む刑事役には片桐竜次が決定していた。
撮影されていれば、面白い作品になっていただろう。
そんな、曰く付きのスタッフの熱意が伝わって来る傑作タイトルバックである。
105 @kira 2013-02-24 22:39:29 [携帯]


639 x 275 『野獣死すべし』の男優たち①
 
青木 義朗
 
1929年9月20日 - 2000年9月3日
東京府荏原郡世田ヶ谷町(現・東京都世田谷区)出身。
本名は『青木義郎』(読みは同じ)。
 
目黒工業高等学校(現・目黒学院高等学校)卒業。
映画演劇研究所の一期生を経て1959年にデビュー。
その渋いキャラクターで幾多のドラマや映画で脇ながらも存在感を示した。
特に『特別機動捜査隊』では、波島進に代わる番組の顔として8年間活躍した。
杉良太郎からの信頼が厚く、彼の舞台やテレビドラマにはコンスタントに出演し続けた。
2000年9月3日、食道静脈瘤破裂のため死去。
106 @kira 2013-02-24 22:41:15 [携帯]


639 x 275 『野獣死すべし』の男優たち①
 
青木 義朗
 
1929年9月20日 - 2000年9月3日
東京府荏原郡世田ヶ谷町(現・東京都世田谷区)出身。
本名は『青木義郎』(読みは同じ)。
 
目黒工業高等学校(現・目黒学院高等学校)卒業。
映画演劇研究所の一期生を経て1959年にデビュー。
その渋いキャラクターで幾多のドラマや映画で脇ながらも存在感を示した。
特に『特別機動捜査隊』では、波島進に代わる番組の顔として8年間活躍した。
杉良太郎からの信頼が厚く、彼の舞台やテレビドラマにはコンスタントに出演し続けた。
2000年9月3日、食道静脈瘤破裂のため死去。
107 @kira 2013-02-24 22:49:27 [携帯]


347 x 449 『野獣死すべし』の男優たち②
 
安岡 力也
 
本名同じ。
1947年7月19日生まれ。
俳優、タレント、ロックヴォーカリスト
身長187cm。
東京都港区生まれの埼玉県行田市育ち。
2001年以前は安岡力也名義で活動していたが、離婚を機に姓のない芸名『力也』に改名した。
2010年の芸能界復帰後は再び安岡力也名義で活動している。
 
1964年に、東宝映画『自動車泥棒』に混血児の少年役で主演し、芸能界デビュー。
その後、グループ・サウンズ『シャープホークス』にボーカルとして参加し、1966年にはシングル『ついておいで』でキングレコードよりレコードデビューを果たす。
シャープ・ホークスと並行して一時期は、ヘビー級とミドル級でキックボクサーをしており、4試合で3勝1敗の成績を残した。
ただし相手は素人が多かったと自ら述べている。
1969年にグループ解散後は主に俳優として活動。映画会社の東映の撮影所では若山富三郎の派閥に属して、山城新伍の下についていた。
仕事を干されていた時期に梅宮辰夫に救ってもらい、梅宮主演の『不良番長』シリーズにレギュラー出演し、以降、梅宮を兄貴分として信奉している。
1982年11月に、バラエティ番組『オレたちひょうきん族』(フジテレビ)の1コーナーである『タケちゃんマン』に出演中、せりふの『ホラ貝』を『ホタテ貝』と言い間違えたことをきっかけに『ホタテマン』として出演、共演していたビートたけしと仕事終わりには毎晩のように遊楽に行っていたという。
以降、1980年代からは、バラエティ番組にも進出。
2005年に肝臓病で入院、一時復帰したが2006年6月下旬にギラン・バレー症候群罹患である疑いのため東京都内の病院に入院、同年7月から出演予定だった舞台を降板して、2008年時点では山梨県の病院でリハビリをしていた。
盟友・松田優作の葬儀にて、『どっちが喧嘩強いんだろう、なんて話してた』と気丈にエピソードを語っていた安岡だったが、『もうどちらが強いか試す機会も無くなったのですね…』というインタビュアーの言葉に絶句、悔しそうにボロボロと涙を落とすシーンが放映され、視聴者の心を打った。
108 @kira 2013-02-24 23:00:01 [携帯]


439 x 336 『野獣死すべし』の男優たち③
 
山西 道広
 
1948年3月7日生まれ。
兵庫県出身。
血液型O型。
本名は同じ。
 
日本大学卒。
文学座研究所12期生。
同期に松田優作阿川泰子らがいる。
1973年、『太陽にほえろ』第65話に学生役で出演しデビュー。
以降は、松田優作の盟友として、松田主演の映画、テレビ作品のほとんどに助演している。
なお、松田のアルバム『Uターン』『まつりうた』などで作曲も手がけた。
演じたキャラクターでは『探偵物語』の『松本刑事』、『あぶない刑事』シリーズの『吉井刑事』(通称「パパさん」)などが知られる。
現在もテレビ、舞台を中心に活躍中。
2006年まで阿佐ケ谷駅近くで飲食店『クヨクヨハウス』の店主をしていた。
現在では息子が引き継いでいる。
漫画家の福谷たかしは生前、同店の常連客であり、代表作『独身アパートどくだみ荘』の背景に店の看板が描かれることもあった。
また、宮崎克(宮崎まさる)・高岩ヨシヒロ『松田優作物語』、羊崎文移『暗闇の用心棒』などでも店のエピソードが描かれている。
近年は神奈川県・葉山町に在住し、飲食店『山ふく』を経営している。
109 @kira 2013-02-24 23:05:13 [携帯]


640 x 534 『野獣死すべし』の男優たち④
 
トビー門口
1941年 - 1999年
台湾出身の俳優。
本名は木村隆司。
台湾名は『門東飛(モントンフィ)』。
芸名の由来は台湾名である。
 
カントリーバンドのジミー時田とマウンテンプレイボーイズでデビュー。
その後、悪役俳優として活動する。
CMでは1974年のナショナルハイトップ乾電池が有名で人造人間に扮し胴体に仕込んだ電池を自ら抜き直立不動のまま後へひっくり返る演技で第14回ACC CMフェスティバル TVフィルム部門ACC賞を受賞、脚光を浴びた。
また、テレビ、映画にて銃器を使った特殊効果(ガンエフェクト)の専門職である銃器テクニカルアドバイザーとして活躍する。
アメリカにて、45AUTOピストルの神様ジェフ・クーパーにコンバットシューティングを習いその経験を生かし日本にて本格的な実践射撃を想定したI・P・S・A(インターナショナルプラクティカルシューティングアカデミー)を設立。
生徒を指導しながら本業も行なっていた。
その経験からグアム島にて松田優作に実銃による実弾射撃を徹底指導し、松田優作のアクション俳優としてのレベルを向上させた立役者でもある。後年はコンバットシューティング、銃に関するテクニック、マナーの指導を中心に活動。
また、月刊Gunなどにステージガンに関する記事を寄稿していた。
銃器テクニカルアドバイザーの先駆けであり、弾着やリアルなステージガン等々、様々な特殊効果(ガンエフェクト)を考案、改良し、以降のガンエフェクトプロフェッショナルに多大なる影響を与えた。
1984年にプラスチック製モデルガンを不正改造したとして懲役3年執行猶予4年の判決を受け、業界から去り以降の活動は基本的に無くなった。
その後、最後の出演作となる長渕剛のPV『ハングリー』に監督の希望にて出演。
これが遺作となった。
1999年病気により急逝。
享年58歳。
110 @kira 2013-02-25 00:18:38 [携帯]


600 x 800 ロケ地探偵団①
 
タイトルバックに登場する建築物①
 
皇居を前景にした建造物は『警視庁本部』である。
場所は東京都千代田区霞が関2丁目1番1号。
 
警視庁本部
関東大震災による火災で炎上する警視庁本舎(1923年(大正12年)9月1日)『警視庁』は、1947年(昭和22年)まで存在した東京府(後に東京都)の警察を管轄する内務省の地方官庁である。
現在の自治体警察になる前の『東京警視庁』とも呼ばれた組織である。
概要
1874年(明治7年1月15日)に、鍛冶橋内旧津山藩邸に設置された。
薩摩藩士の川路利良が初代『大警視』(後の『警視総監』)に任じられた。
警視長 - 三等、以下、大警視 - 五等、権大警視 - 七等、少警視 - 八等、権少警視 - 九等、権大警部 - 十等、中警部 - 十一等、権中警部 - 十二等、少警部 - 十三等、権少警部 - 十四等、などの官等と職制、事務年程が制定された。
府内を6大区に、各大区を16小区に分け、大区に警視出張所を、小区に邏卒屯所を配置した。2月2日に邏卒を『巡査』と改称した。
東京以外の府県警察部は知事が管轄していたが、東京に関しては内務省が直接『警視庁』を置き統制下においた。
当時の東京府は予算以外に警察に関する権限がなかっ
111 @kira 2013-02-25 00:30:36 [携帯]


786 x 1200 27日 『東京警視本署』を設置(警視局布達甲3号)。
1881年(明治14年)1月14日 『警視庁』を再設置(太政官達1号)、内務省警視局は警保局に改称(太政官達2号)。
1882年(明治15年)12月4日 洋風ペンキ塗庁舎が竣工(のち東京駅建設のために有楽町一丁目(帝国劇場横壕端。
現在のDNタワー21所在地)に移転)。
1921年(大正10年)6月 刑事部を設置。
関東大震災のために庁舎を焼失。
1931年(昭和6年)8月 霞ヶ関に新庁舎(6階建近世式、建坪9761)竣工。
1932年(昭和7年)6月 特別高等警察部を設置。
1933年(昭和8年)10月 警務部に特別警備隊を設置。
1941年(昭和16年)2月 経済警察部を設置。
1944年(昭和19年)4月 特別警備隊を廃止し、警備隊を設置。
1945年(昭和20年)10月 特別高等警察部を廃止。
1945年(昭和20年)12月 経済警察部を廃止。
1946年(昭和21年)1月 警備隊を廃止。
1947年(昭和22年)1月 皇宮警察部を設置。
組織
1938年
112 @kira 2013-02-25 00:34:51 [携帯]


1200 x 1600 ロケ地探偵団②
 
タイトルバックに登場する建築物②
 
空撮による俯瞰撮影で映される建造物は『東京カテドラル聖マリア大聖堂』である。
 
東京カテドラル聖マリア大聖堂は、東京都文京区関口にあるカトリック関口教会(1900年創立)の教会堂で、カトリック東京大司教区の司教座聖堂(カテドラル)である。
1899年に建てられた最初の聖堂は木造でゴシック様式の建物だったが、1945年の東京大空襲で焼失。
現在の大聖堂は建築家丹下健三の設計で、ドイツのケルン教区の支援によって建設され、1964年に落成した。
聖マリア大聖堂という名称は聖堂が『無原罪の聖母(マリア)』に捧げられていることに由来し、教会敷地内には聖母マリアが聖女ベルナデッタに無原罪の御宿りを告げたとされる、フランスのルルドの泉の洞窟の岩場が再現されている。
吉田茂内閣総理大臣の葬儀が行われたことでも知られ、設計者の丹下健三自身の葬儀もここで行なわれた。
なお、信徒総代は孫の麻生太郎内閣総理大臣である。
また、近年のエキュメニズム運動の重要な舞台の一つでもあり、2009年9月23日にはカトリック教会とは別のキリスト教団体である日本聖公会の150周年記念礼拝が行われた。
113 @kira 2013-02-25 01:21:30 [携帯]

シーン11
 
脚本にある内装工事のシーンは、丸々カットされている。
私の推理は、脚本段階ではアパートに住んでいた伊達が、カジノで奪った金でマンションを購入するのだが、最終的に変更された為と思われる。
カジノ襲撃の理由が金目的から殺人目的へと変えられた。
つまり、伊達は犯行以前からマンションに住んでいた設定になったのだろう。
カジノを襲った理由も、金目的とカムフラージュする為という事にした。
しかし、私は伊達の真の目的が明らかになった時にカットされたアパートのシーンが生きてくると思うのだ。
銀行襲撃と同様に、カジノもそうだったのかと観客を欺くフェイクとして。
このシーンは予想外に削除されたカットが多い気がする。
予告編では、洗面所で手を洗う伊達のカットがある。伊達に生活感を出さない為だろうが、そもそも伊達は映画の中で、食事すら摂っていない。
まるで伊達が、人間ではないかのようだ。
松田優作の意識は、この前後あたりから『人間を演じたい』という欲求が高まってくるのだが、その人間もエキセントリックである為にまたしても、人間ではなくなってしまっている。
家族ゲーム』で松田優作は劇的な変容を遂げるのだが、それでも他の俳優とは一線を画す変容である。
現在、ベテランと言われている俳優でこんな事が出来る俳優はちょっと見当たらない。
これがベストとは言わないが、ただ、演じているだけの俳優とは決定的な違いがある。このあたりが松田優作がカリスマと呼ばれる由縁なのだろう。
114 @kira 2013-02-25 04:13:19 [携帯]

伊達がテーブルに置かれた遠隔装置を操作すると、ブラインドが降り、照明が暗くなり、レコードプレイヤーの針が動く。
レコードに針が降りて大音量でショスタコーヴィチ交響曲第五番 第一楽章が鳴り響く。
陶然となる伊達が、奥津から奪ったコルト・ピースメーカーを手に取る。耳許で振るとカラカラと奇妙な音がする。
ドライバーで銃把(グリップ)を外すと何かの塊が落ちる。
ふと、手にしているグリップの内側を見ると、
『PRESCOTT.ARIZONA.OCT.9TH.1899 LAST SHOOTER T&M』
と刻まれた文字を発見し、恍惚の笑みを浮かべる。
ピースメーカーに入っていた塊は、人間の歯であったらしい。
そして文字が刻まれた象牙で造られたグリップは、西部劇史上有名なガンマンT&Mが、1899年アリゾナ州プレスコットで実際に使用していた本物だ。
この映画のテクニカルアドバイザーであり、奥津を演じたトビー門口が、入手した拳銃に人間の歯と共に最初からあった物らしい。
歯の塊が誰の物で何故、入れられたのかは不明である。
映画で使用されたピースメーカーは、映画の為に造られた物だが、実物のピースメーカーは、本物である。
一体、この拳銃で何人の命が奪われたのだろう。
115 @kira 2013-02-25 05:54:16 [携帯]


404 x 720 劇場版の台詞
伊達『ヒュン・・・ヒュン・・・ヒュン・・・』
 
フレームの中に、突如として、入り込んで来る伊達。
伊達は椅子の上に、膝を抱えて座ると『最後の晩餐』の絵に向かって銃を構える。
伊達は銃をこめかみに当てて、引き金を絞る。
銃弾は入っていない。
大きく見開かれた目は伊達の狂気を滲ませている。ガラス玉のような目は、何も見てはいない。
 
このシーンは、松田優作が猫背である事がよく判る。肩より前に頭が出ている。
優作が掛けている眼鏡は当時、実際に使用していた私物である。
過酷な減量を行った結果、優作の視力は著しく低下してしまったのだった。
しかし、もっと洒落たデザインの眼鏡がいくらでもあっただろうに、どう見てもおじさんが掛ける普通の眼鏡だ。
こういう事に頓着しない劇場版の台詞
伊達『ヒュン・・・ヒュン・・・ヒュン・・・』
 
フレームの中に、突如として、入り込んで来る伊達。
伊達は椅子の上に、膝を抱えて座ると『最後の晩餐』の絵に向かって銃を構える。
伊達は銃をこめかみに当てて、引き金を絞る。
銃弾は入っていない。
大きく見開かれた目は伊達の狂気を滲ませている。ガラス玉のような目は、何も見てはいないのが如何にも優作らしいというか。
ここで不思議な事が起きている。
伊達が座っている椅子の後ろの壁に絵が掛かっているのだが、次のカットでは、再び椅子に座って銃を向けている。
伊達は一体、どこへ行っていたのか。
お水でも飲みに行ったのだろうか。
116 @kira 2013-02-25 06:07:55 [携帯]

クラシックを聴いている伊達の指が躍る。
その指が、タイプライターを猛烈なスピードで打っているシーンへと替わる。
 
朝、翻訳の仕事を終えた伊達が、マンションの外の景色を眺めながらコーヒーを飲んでいる。ブレンドモカ:1、キリマン:2、ブルマン:3か。
ラジオからニュースが流れる。
それは、伊達の犯した強盗殺人事件の捜査状況を伝えるものだ。
警察は、岡田警部補に対する怨恨と
117 @kira 2013-02-25 06:11:29 [携帯]

劇場版の台詞
 
アナウンス『おはようございます。午前6時のニュースです。三日前、警視庁捜査一課の岡田警部補を殺害し、奪った拳銃で秘密賭博場の暴力団員3名を射殺して逃走中の犯人は、警察官延べ数千人を動員した、旅館・ホテルなど約二千ヵ所にも及ぶ検索・検問にもかかわらず、依然として手がかりがつかめておりません』
 
アナウンス『現場に残されていた、岡田警部補の拳銃に残されていた指紋にも、該当者はみつかっておらず、捜査は難航する模様です』
 
アナウンス『捜査当局は今後、捜査範囲を広げ、近県各県警にも協力を求める方針です』
 
朝、翻訳の仕事を終えた伊達が、マンションの外の景色を眺めながらコーヒーを飲んでいる。ブレンドモカ:5、キリマン:2、ブルマン:3か。
ラジオからニュースが流れる。
それは、伊達の犯した強盗殺人事件の捜査状況を伝えるものだ。
伊達が犯行に使用した拳銃から出た指紋から該当者は見つかっていない。伊達は初犯だから、犯罪者リストには載っていない。見つからなくて当然だ。
ここで腑に落ちないのは、岡田警部補の拳銃は現場に残しているのに、何故、奥津の拳銃は持ち帰ったのだろうか。
グリップの件を入れたかったからだろうが、伊達に容疑の目が向けられた時に、家宅捜索で奥津の拳銃が見つかれば、逮捕は必至だろう。
警察は、犯人を泳がせる為に意図的に情報を流していない可能性も考えられる。
118 @kira 2013-02-25 06:16:05 [携帯]


290 x 516 シーン12
 
出版社での伊達と乃木の遣り取りはカットされている。
乃木が、伊達を同窓会に誘っていたり、伊達が翻訳のアルバイトをしている事が分かるシーンだが、同窓会のシーンで語られているし、乃木も出てくるからだろう。
シーンが削られた事で出演がなくなったりする場合があるので、俳優としてはビクビクものである。
乃木を演じているのは、風間杜夫
松田優作とは『探偵物語』第4話『暴力組織』や『華の乱』で共演している。
119 @kira 2013-02-25 06:19:33 [携帯]

シーン13
 
伊達が、日本橋を歩くシーンは残されているが乃木の声がニュース音声に変更されている。
 
シーン14
 
劇場版ではカット。
伊達が丸善で洋書を購入するシーンや金融機関を物色するシーンもカットされている。
しかし、前後のシーンを見ていると撮影はされているような感じなのだが。
120 @kira 2013-02-25 06:39:35 [携帯]

劇場版の台詞
石島『いらっしゃいませ。口座を新しくお開きになるんですね』
伊達『はい・・・』
石島『キャッシュカードは一枚でよろしんですね』
伊達『はい・・・』
石島『承知しました。少々お待ち下さいませ』
 
ガードマン『時間ですので、シャッター閉めます』
 
伊達『ご苦労様です』
『お疲れ様です』
『今の方は、確か本社の・・・川村さんでしたよね』
『ああ・・・そうじゃないかなあ・・・』
 
シーン15
 
丸善の前の通りを歩く伊達のカット。伊達が周囲を警戒しながら歩いている。
シーン16
 
東洋銀行にやって来た伊達。
新規口座を開く為だ。
カジノから強奪した金を預金するのか。
真の目的は、ここを襲撃する事だから有り得ない。
伊達がここへ来たのは、下見の為だ。
 
実は、脚本を書いた丸山昇一氏は伊達が銀行を襲撃する事を想定して日本橋を歩いていたところを警察官に呼び止められ、職務質問されている。
丸山氏は、日本橋で銀行から地下鉄まで何分かかるかをストップウォッチで計測していた。
地図とストップウォッチを手にした男が毎日、銀行の周り(実際はある建物を銀行だと想定して)をうろうろしているのだから、不審者に間違われたのだ。
丸山氏が警官に、映画の脚本の為の取材だと説明しても警官は納得せず、映画会社に電話して、その人間は、確かに関係者であると言う証言を得るまで警官は傍を離れなかったそうだ。
もしも、その証言がなければ丸山氏は、警察に連行されていただろう。
だが、実際に銀行襲撃をシュミレートしている男が警官に呼び止められた事は事実である。
おそらく、銀行内部の人間が通報したのだろうが、我々は常に他人に見られながら生活を送っている事を実感させられる笑えない実話である。
 
銀行内部の撮影は、どこで行われたのか気になるだろう。
実は、これはセットなのだ。
どこを見ても、本当の銀行にしか見えない完成度である。
銀行を襲撃する映画を撮影するから貸して欲しいと言っても貸してくれる銀行などないだろう。
 
銀行員の石島を演じるのは吉岡ひとみ。
蘇える金狼』にも、東亜経済研究所の受付嬢の西川朱実役で出演していた。
121 @kira 2013-02-25 09:22:02 [携帯]

シーン17
 
シーン18
 
伊達が警備員詰所で、自分が何故、ガードマンになりたいかを話すシーン。
本編ではカットされたんだが、理由はわかる。
このシーンの伊達、イってるよね。
人が殺したいとか喋ってるし、完全に痛い人だ。
松田優作の考える伊達は外見はまともだけど、中味は狂っているって言うスレスレ感なんだよね。
ところが、ここでの伊達は不法侵入はするわ、勝手に図面は撮影するわで一線を越えちゃってる。警察に通報されてもおかしくない。
 
シーン19
 
シーン20
 
122 @kira 2013-02-25 09:24:02 [携帯]

シーン19
 
東洋銀行から出てくる伊達。
ポケットのカメラを封筒に入れる。
 
シーン20
 
暗室で現像している伊達。
 
123 @kira 2013-02-25 09:27:50 [携帯]


640 x 480 『野獣死すべし』の女優たち
 
船場牡丹
 
詳細な経歴は分かりませんでした。
 
『赤ひげ』『探偵物語』『宇宙刑事シャイダー』などに出演されていました。
124 @kira 2013-02-25 09:29:52 [携帯]


320 x 240 『野獣死すべし』の男優たち
 
清水宏
 
1948年2月11日生まれ。
山口県出身の俳優。
同郷の松田優作との共演作品が多く、1979年のテレビドラマ『探偵物語』(NTV系)で演じた映画好きの古物商・飯塚役などで知られる。
出演作品
映画
最も危険な遊戯(1978年)
殺人遊戯(1978年)
処刑遊戯(1979年)
1941(1979年)
戦争の犬たち(1980年) - 李
野獣死すべし(1980年) - 銀行ガードマン
月光仮面(1981年) - ウィター・ション
レイプハンター 狙われた女(1980年)
十階のモスキート(1983年)
探偵物語(1983年) - 黒背広の男B
人魚伝説(1984年)
コミック雑誌なんかいらない!(1986年)
死霊の罠(1988年)
昭和鉄風伝_日本海(1991年) - 神竜会若頭・松井武
ワールド・アパートメント・ホラー(1991年)
超高層ハンティング(1991年)
ミンボーの女(1992年) - 花岡(小松方正)の子分
マークスの山(1995年)
弾丸ランナー(1996年)
ポストマン・ブルース(1997年) - 土門泰三
らせん(1998年) - 警官
アンラッキー・モンキー(1998年) - 村田組組員・釜田
Last Scene(2002年) - 照明技師・井草
姐御(2003年) - 土井
OKITE やくざの詩(2003年)
デビルマン(2004年)
猫目小僧(2006年)
転生(2006年)
はやぶさ/HAYABUSA(2011年)
 
テレビドラマ
俺たちの勲章(1975年)
第1話『射殺』第18話『狂乱のロック』 - 沢村
太陽にほえろ!
第228話『目撃者』(1976年) - 喫茶店店員
第616話『カエルの子』(1984年) - 野田
花神(1977年) - 三好軍太郎
いろはのい 第31話『協力者』(1977年) - 南松男
海は甦える(1977年)
大都会PARTII 第18話『暁の兇弾』(1977年) - 井上
華麗なる刑事 第26話『弟よ…』(1977年) - 誘拐犯一味
大空港 第28話『復讐のダイナマイト』(1979年) - 中沢孝
etc…
125 @kira 2013-02-25 09:43:02 [携帯]

ロケ地探偵団
 
シーン13で伊達が歩いている場所>>56
 
日本銀行の横手。
126 @kira 2013-02-25 09:43:41 [携帯]


400 x 600 ロケ地探偵団
 
シーン13で伊達が歩いている場所
 
日本銀行の横手。
127 @kira 2013-02-25 09:44:51 [携帯]

ロケ地探偵団
 
東洋銀行外観
 
野村證券日本橋本店
128 @kira 2013-02-25 09:46:09 [携帯]


365 x 274 野村證券横手の歩道
モロに東洋銀行である。
129 @kira 2013-02-25 09:54:10 [携帯]

シーン21
 
クラシックコンサート会場。
華田令子がパンフレットを読んでいる。
 
演じるのは、小林麻美
70年代にアイドル歌手として活躍した女性だ。
今回は、主演の松田優作のラブコールで出演が実現した。
 
隣の空席が気になる。
あたりを見渡す。
伊達がやって来る。
慌てて前に向き直る令子。
令子の隣の席に伊達が座る。
指揮者とピアニストが登場。
指揮者は村川透の実兄、村川千秋氏である。
伊達の到着を待っていたかのように照明が消え、演奏が始まる。
ショパンのピアノ協奏曲第一番第一楽章
演奏に聴き入る伊達と令子。
目を閉じて聴いている伊達の指が膝を上で躍る。
その指先を見つめる令子。
ピアノソロのパートに入った瞬間、伊達が目を開く。
その目には涙が浮かんでいる。
天井を仰ぐ伊達
130 @kira 2013-02-25 09:55:45 [携帯]

シーン22
 
コンサートの休憩時間にロビーでポスターを眺めている伊達。
令子が近づき、話しかけるシーン。
取り留めのない会話の中で、ふと伊達が映画のテーマではないかと思える話をする。
 
そして、伊達は第二部を聴かずに帰ってしまう。
 
しかし、残念ながら本編ではカットされている。
スチールは現存するから撮影はされているはずだ。
ディレクターズカット・バージョンが公開される際には、是非とも復活させて欲しいものだ。
131 @kira 2013-02-25 10:04:47 [携帯]


600 x 860 『野獣死すべし』の女優たち②
 
小林麻美
 
本名 田邉稔子(旧姓小林)
1953年11月29日生まれ。
元歌手・女優・モデル。
現在は芸能界を引退している。
東京都大田区生まれ。
 
1970年、文化学院在学中にライオンのコマーシャルに出演しデビュー。
1971年、TBS系『美人はいかが?』でドラマ初出演。
1972年、東芝レコードから『初恋のメロディー』で歌手デビュー。
1973年4月から、神経性胃潰瘍等のため1974年10月まで休養。
1975年、ニッポン放送オールナイトニッポン』(火曜1部)パーソナリティーを務める。
1978年、舞台『ガラスの家』(西武劇場)に出演。
1980年、映画『野獣死すべし』に出演。
1981年、映画『真夜中の招待状』に出演。
1984年、CBSソニーに移籍し、ガゼボの『アイ・ライク・ショパン』に松任谷由実が日本語詞を付けたカバー曲、『雨音はショパンの調べ』が大ヒットした。
さらにアルバム『CRYPTOGRAPH~愛の暗号』で第26回日本レコード大賞優秀アルバム賞を受賞した。
1988年、日本武道館コンサート『HUMIDITY』を開催。
1991年、所属事務所の社長である田邊昭知と結婚し、引退した。
 
当初はある芸能事務所関係者に一目ぼれされ、強引にスカウトされた結果、俳優としてデビューする事になる。
しかしこの時、テレビコマーシャルの撮影でスキーをやった時に複雑骨折してしまい、芸能人としては長期休業になってしまった。
小林をあてにしてのれん分けまでしたその事務所は、一ヶ月で消滅してしまう。
またこの事務所には所属俳優として荒木しげる畠山麦、畠山のマネージャーとしてすがやみつるがいた。
その後に所属した主な芸能事務所は、田辺エージェンシー
長い髪、陰のある表情、背が高く細い身体、柳腰、寡黙などが特徴的で、都会的でアンニュイな雰囲気で人気を得た。
1980年代前半に映画やテレビドラマに出演し、田邊昭知と結婚後に芸能活動から完全に引退した。
DVDなどで確認できるのは、松田優作に懇願されて出演した映画『野獣死すべし』と、唯一の主演映画『真夜中の招待状』に限られる。
132 @kira 2013-02-25 10:10:51 [携帯]


744 x 1120 ロケ地探偵団
 
伊達邦彦が訪れるコンサートホール
 
日比谷公会堂
『Tokyo Metropolitan Hibiya Public Hall』
 
所在地 東京都千代田区日比谷公園1-3
 
東京都千代田区日比谷公園の中にある多目的ホールである。
 
概要
鉄筋コンクリート造4階建て、面積6,032m2
定員2,074名(1階1,052席、2~4階1,022席、車椅子対応席11席)2 - 4階は同一フロアである。
沿革
東京市長でもあり、中立な市政のための調査機関の必要性を訴えていた後藤新平の主張に安田善次郎が共鳴、当時としては巨額の350万円の寄附を得て、『市政調査会(市政会館)』およびそれに併設する公会堂として計画された。
建物は指名設計競技で一等となった佐藤功一の設計になるもので、1929年に竣工した。
現在も同建物(市政会館)内に財団法人・東京市政調査会がある。
ちなみに開場式で、新聞を破いた音が参加者全員に聞こえたという。
かつて、東京では事実上唯一のコンサートホールとしてプロフェッショナルのオーケストラの演奏会やリサイタルなども多く開かれたが、東京文化会館を皮切にNHKホール、サントリーホール東京芸術劇場オーチャードホール昭和女子大学人見記念講堂といったコンサート専用ホールやコンサートに使用可能な多目的ホールが整備されるに従い、コンサートホールとしての地位は低下して行く。
講演会、イベントなど音楽会以外の利用が増え、クラシック音楽の演奏会はほとんど開催されなくなった。
この状況を憂う文化人が再興を提唱し、2007年秋、井上道義指揮によるドミートリイ・ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏会『日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト2007』が開催された。
1960年の浅沼稲次郎暗殺事件は、この日比谷公会堂での出来事である。
133 @kira 2013-02-25 10:16:37 [携帯]

シーン23
 
六本木ネオン街を歩く伊達。
声を掛ける娼婦たちをすり抜けて行く。
その後をハーフの娼婦エリカが追う。
 
シーン24
 
ホテルの一室。
ベッドの上で全裸のエリカがマスターベーションしている。
その体にはうっすらと汗が滲んでいる。
伊達はトマトジュースをストローで舐めながら、その様子を虚ろなまなざしで眺めている。
否、眺めているのではない。まるでその魂は、現世にはないかのような覇気のない表情。
広角レンズで映された街にエリカの喘ぎ声が被る。
 
脚本では、鍛え上げられた肉体を持つ伊達がエリカを抱いているシークエンス。
松田優作丸山昇一の間で伊達邦彦に対する認識が最も食い違っている部分だ。
優作は大藪春彦など、ハナから追う気がないのに対して、丸山はどうにか、ハードボイルドにしようと試行錯誤している跡が見て取れる。
優作は、『野獣死すべし』を演るにあたって『女は絶対抱かないからな!』と言っていた。優作の意識自体が『蘇える金狼』の時とは、全然違っている。
優作の趣向は元々、繊細な物を好む傾向にあった。
我々がイメージする優作とは正反対である。
その優作が演りたいものとして、ああいった純文学のような形になった事は当然だった。
濡れ場が嫌いでクールな世界観を目指した優作が、『野獣死すべし』でベッドシーンを排除したのは至極、理に叶った事だ。
 
エリカを演じたのは、岡本麗。
現在は、『はぐれ刑事純情派』でおなじみだが、昔は抜群のスタイルで抜群の脱ぎっぷりだった。
優作とは
『最も危険な遊戯』
『ヨコハマBJブルース』
でも共演している。
134 @kira 2013-02-25 10:19:35 [携帯]

シーン25
 
日は断崖の上に登り 憂ひは陸橋の下を低く歩めり。
無限に遠き空の彼方 続ける鉄路の柵の背後(うしろ)に 一つの寂しき影は漂う。
ああ汝、漂泊者!
過去より来りて未来を過ぎ
久遠(くおん)の郷愁を追ひ行くもの。
いかなれば蹌爾(そうじ)として 時計の如くに憂ひ歩むぞ。
石もて蛇を殺すごとく
一つの輪廻を断絶して
意志なき寂廖(せきりょう)を踏み切れかし。
ああ
悪魔よりも孤独にして
汝は氷霜の冬に耐えたるかな!
かつて何物をも信ずることなく
汝の信ずるところに憤怒を知れり。
かつて欲情の否定を知らず
汝の欲情する者を弾劾せり。
いかなればまた愁ひ疲れて優しく抱かれ接吻(きす)する者の家に帰へらん。
かつて何物をも汝は愛せず何者もまたかつて汝を愛せざるべし
ああ汝、寂寥の人悲しき落日の坂を登りて意志なき断崖を漂泊(さまよ)ひ行けどいずこに家郷はあらざるべし。
汝の家郷は有らざるべし!
 
広角レンズで映された街にエリカの喘ぎ声が被る。
 
部屋で膝に本を開いた伊達が眠っている。
詩を朗読する伊達の声が被る。
135 @kira 2013-02-25 10:24:06 [携帯]


619 x 352 『野獣死すべし』の女優たち④
 
岡本麗
 
本名 戸塚あけみ
1951年12月19日生まれ。
長崎県佐世保市出身、福岡県飯塚市育ち。
血液型はB型。
 
福岡県立嘉穂東高等学校卒業。
役者を志して上京。
劇団の養成所を経て、日活に所属。
映画界の斜陽化を受け、日活ロマンポルノに出演することに。
豊満な肉体を生かした体当たりの演技が観客の心をつかみ、デビュー作がいきなりのヒット。
すぐ第2作製作が決定してしまい、ポルノ女優として歩むこととなる(『団地妻』では金融業者に肉体で利子を払うという薄幸の主婦を演じる)。
特に『むちむちネオン街・私たべごろ』では日本のアダルト映画史上に残る名演技を見せた。
1970年代からロマンポルノ終焉まで、主役あるいは名脇役として日活を支え、終焉後、性格俳優に転進し大成功。
陽性な中年女性の役を中心にテレビ、映画、舞台で幅広く活躍。
白川和子、山口美也子東てる美、美保純らと共に、ポルノ女優から一般女優への転身に成功した稀有な例である。
18年間続いた国民的人気ドラマ『はぐれ刑事純情派』の田崎刑事役としてスタートからシリーズ完結まで出演。
安浦刑事との絶妙なやり取りはドラマの長寿化に大きな役割を果たし、現場の華としても活躍した(また、その明るいキャラクターがCMでも人気に。
トイレの消臭剤のCMははまり役)。
一方で『タイムショック21』の番組対抗戦で『はぐれ刑事純情派』チームの一人として出演した際に、誤答を繰り返しトルネードスピンを受けるという三枚目ぶりを見せていた。
136 @kira 2013-02-25 11:19:13 [携帯]

シーン26
劇場版の台詞
永友『毎度ありがとうございます。銀座ジュエルでございます』
伊達の声『お宅は、出張セールスもしてますか』
永友『はい、承っておりますが』
伊達の声『ダイヤの指輪が欲しいんですが、百万クラスのやつをいくつか見せてもらえます?』
永友『承知いたしました』
伊達の声『そうですか、じゃあ・・・』
 
シーン27
劇場版の台詞
伊達の声『明日、金曜の午後2時50分に東洋銀行日本橋支店で会ってもらえますか?気に入ればその場でキャッシュを引き出します』
永友『かしこまりました。わたくし、永友が参ります』
伊達の声『永友さんですね、それでは目印に、そうですねぇ・・・サングラスでもしてきて下さい』
永友『わかりました。確かに・・・』
 
東洋銀行にサングラスをかけた永友がいる。
伊達からの偽りの商談の電話でやって来たのだが、永友は相手の顔を知らないところがポイントだ。顔も知らない相手と待ち合わせするのだから当然、辺りを見回す、時計を見る、苛々する、自ずと挙動不審になってしまうのだ。
椅子に座って待っている永友の後方で、ATMを操作しながら永友と石島を確認する伊達。
この銀行内部は映画セットなのだが、ATMから本当に紙幣が出てくるのだ。
137 @kira 2013-02-25 11:22:34 [携帯]

シーン27
劇場版の台詞
伊達『預金カウンターの石島さんをお願いします』
電話の声『少々お待ち下さいませ』
石島の声『お待たせしました。ご預金係の石島でございます』
伊達『今から言うことを良く聞け。あんたの前の席に白いスーツを着たサングラスの男がいるね?』
伊達『その男は、胸ポケットにピストル一丁、アタッシュケースにはダイナマイトを5本詰めている。』
伊達『騒いだりしなければ、何もしない。わかったか』
石島の声『はい・・・』
伊達『僕達は金が欲しい。今、あんたの手元にいくらある』
石島の声『2百万・・・ちょっとです・・・』
伊達『よろしい。それでは、その男を呼び出して、そのお金を渡しなさい。呼び出しは、銀座ジュエルの永友様、お電話です。そう言え。わかったな』
石島『銀座ジュエルの永友様、お電話です』
石島『課長!伝票のチェックお願いします』
石島『胸に!胸にピストル!胸にピストル!!』
石島『これ!これ、爆弾!爆弾!!』
ガードマン『爆弾?!お客様!避難して下さい!』
ガードマン『行員の方!全員、退避ー!』
ガードマン『警察に電話!!』
永友『おい!何すんだよぉ?!何すんだ、君たちは!!』
138 @kira 2013-02-25 11:23:26 [携帯]

シーン27
 
ATMからキャッシュカードと紙幣を取り出すと隣の電話ボックスに入る伊達。
電話をかける相手は東洋銀行!
伊達は石島を呼び出すと、脅迫を始めた。
それは永友を銀行強盗に仕立てた巧妙なものだった。
石島がサングラスの男を見る。ソワソワしていて見るからに怪しい。
瞬く間に石島の表情に緊張が走る。
伊達は石島に、永友を呼び出して金を渡すよう指示する。
電話ボックスから出てくる伊達。
石島が永友を呼び出す。
次の瞬間、石島が『課長!伝票のチェックお願いします』と叫ぶ。
それを聞いた行員たちの行動が明らかに変わる。
二台の監視カメラがカウンターに向けられる。
同時に課長は警察への通報ボタンを押す。
ストップウォッチを押す伊達。
二人のガードマンが平静を装って、石島の前にいる永友に近づく。
一人がカウンターの上に置かれたアタッシュケースを奪い、もう一人が永友を押さえる。
139 @kira 2013-02-25 11:26:22 [携帯]

シーン28
 
伊達が銀行を出ると同時に4台のパトカーが駆けつける。
 
シーン29
 
伊達が地下鉄を確認している。
日本橋の地下は都営地下鉄東西線、銀座線の3つの地下鉄が乗り入れしている。
本編ではカット。
 
シーン30
劇場版の台詞
アナウンス『今日、午後2時50分。日本橋の東洋銀行日本橋支店で起きた銀行強盗未遂事件で、犯人と間違われた永友さんは、銀座ジュエルに勤めており、商談に呼び出されたもので、ピストルもダイナマイトも所持していないことが、その後の調べで判明しました。このため警察では、永友さん個人、あるいは東洋銀行に怨みを持つ者の嫌がらせとみて、捜査を続けております。なお、東洋銀行日本橋支店では、近くの二つのデパートをはじめ、多くの大型店舗と取引があり、騒ぎの時は、各店の売上金約4億円が銀行に運び込まれた直後だけに、緊迫するひとコマもありました』
 
伊達が地図と銀行見取図を照らし合わせて銀行襲撃計画を練っている。
140 @kira 2013-02-25 11:27:59 [携帯]

野獣死すべし』の男優たち
 
江角英明
 
1935年10月5日 - 2004年8月22日
島根県出身の俳優、声優、ナレーター。
九プロダクション所属。
身長174センチ。
1981年~82年頃は『江角英』名義で活動していた。
 
多摩美術大学卒。
1960年代から約20年以上にわたり日活のスクリーンで活躍。
特にロマンポルノでは宮下順子とのコンビで独自の存在感を表した。
またテレビドラマでも名悪役として多数の出演作を残した。
 
2004年8月22日、胃癌のため東京都港区の病院で逝去。
 
2006年に公開された青山真治監督・浅野忠信主演の映画『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』のエンドロールに『江角英明とネロに捧ぐ』との内容のメッセージが記された。
141 @kira 2013-02-25 11:33:58 [携帯]

シーン32
 
日比谷公園にやって来た伊達がベンチに腰掛ける。
伊達が射殺される日比谷公会堂が至近距離にある。
野外音楽堂で寝ていた小林がムックリと起き上がり、競馬新聞を睨む。
この小林という男を演じるのが泉谷しげるである。
泉谷は元々フォーク歌手であるが、土曜ワイド劇場(テレビ朝日)
『戦後最大の誘拐 吉展ちゃん事件』(1979年6月30日)の誘拐犯役で脚光を浴び、俳優としても活躍している。
クレジットも出ているが公開当時は出演シーンが少ない為、気付く観客は少なかったようだ。
 
シーン31
 
場外馬券売場のシーンでも優作が歩く背後に泉谷しげるがいる。
このシーンで柏木役の室田日出男初登場。
脚本では最初の方に登場するがカットされている。
柏木と伊達がすれ違い、に入る小林。
店内は薄暗い。
小林が座る。離れた席に伊達。
小林の席に仲間の男が近づき隣に座る。
腰のあたりをコートで覆って男の手が小林の股間あたりに延びる。
小林がゲイであった事がわかると、当てが外れた伊達は店を出て行く。
私は伊達という男はひょっとしたらゲイなのではと思っていたが、この描写から伊達がゲイではない事がわかる。
142 @kira 2013-02-25 11:36:59 [携帯]

シーン32
 
日比谷公園にやって来た伊達がベンチに腰掛ける。
伊達が射殺される日比谷公会堂が至近距離にある。
野外音楽堂で寝ていた小林がムックリと起き上がり、競馬新聞を睨む。
この小林という男を演じるのが泉谷しげるである。
泉谷は元々フォーク歌手であるが、土曜ワイド劇場(テレビ朝日)
『戦後最大の誘拐 吉展ちゃん事件』(1979年6月30日)の誘拐犯役で脚光を浴び、俳優としても活躍している。
クレジットも出ているが公開当時は出演シーンが少ない為、気付く観客は少なかったようだ。
 
シーン31
 
場外馬券売場のシーンでも優作が歩く背後に泉谷しげるがいる。
このシーンで柏木役の室田日出男初登場。
脚本では最初の方に登場するがカットされている。
柏木と伊達がすれ違い、柏木が何かを感じて振り返るがお互い面識がない為に確信に至らないという場面だ。
 
シーン33
 
銃砲店のシーン。
伊達がひっそりと客達を見つめている。
その中に小林がいる。
小林は銃を手に取り、鏡に向かって構える。
このシーンは本編ではカットされているが予告編ではライフルを構える泉谷しげるのカットが使用されている。
 
シーン34
 
茶店に入る小林。
店内は薄暗い。
小林が座る。離れた席に伊達。
小林の席に仲間の男が近づき隣に座る。
腰のあたりをコートで覆って男の手が小林の股間あたりに延びる。
小林がゲイであった事がわかると、当てが外れた伊達は店を出て行く。
私は伊達という男はひょっとしたらゲイなのではと思っていたが、この描写から伊達がゲイではない事がわかる。
143 @kira 2013-02-25 11:38:41 [携帯]


800 x 540 ロケ地探偵団
 
泉谷しげるが寝ていた公園
 
日比谷公園
 
東京都千代田区に所在する公園、および同公園を町域とする千代田区の町名。
郵便番号は、100-0012。
当地域の人口は、0人2011年3月1日現在、住民基本台帳による。
公園の土地の一部は国有地である。
東京都建設局が所管する都立公園であり、財団法人東京都公園協会に管理を委託している。
概要
霞が関、有楽町などと隣接し都心部に位置する都立公園で、公園面積は161,636.66平方メートル。
後楽園球場、東京ドームと並んで、かつては『日比谷公園何個分』など、敷地面積の尺度とされることが多かった。
園内の主要な施設として、市政会館および日比谷公会堂、大小の野外音楽堂、千代田区立日比谷図書文化館(旧都立日比谷図書館)、『緑と水の市民カレッジ』、日比谷グリーンサロン、フェリーチガーデン日比谷(旧公園資料館)、テニスコート松本楼などがある。
また園内には大小の花壇があり、四季折々の花と緑が都市生活者の目を楽しませている。
また、ホセ・リサール像、ルーパ・ロマーナ(ローマの狼、ロムルスとレムス)、ルーン石碑に模した『古代スカンジナビア碑』、南極の石など各種の記念碑・物が寄贈され、園内各所に設置されている。
テレビドラマの撮影地として使用されることも多い。
東京地方裁判所の公判傍聴希望者殺到が予想される場合、傍聴席の抽選は庁舎近くの日比谷公園で実施されている。
公園内には災害用給水槽(有効水量1,500立方メートル)が設置されている。
定水位弁による引き入れと循環ポンプによる引き出しで、給水槽内の水は常に新鮮な状態に保たれている。
応急給水口が用意され、震災時は清廉な水道水を無償で給水する。
 
日比谷公園は、松田優作のデビュー作『太陽にほえろ!』タイトルロールで、ジーパンが走ってくる場面にも登場している。
144 @kira 2013-02-25 11:44:37 [携帯]

シーン35
 
雑踏を歩く伊達。
電話ボックスでダイヤルを回している柏木秀行。
前を通り過ぎる伊達に気づき、飛び出す。
が、釣銭を取り忘れた事に気づき戻る。
再び、伊達を追う柏木。
145 @kira 2013-02-25 11:46:58 [携帯]


640 x 638 『野獣死すべし』の男優たち
 
泉谷しげる
 
本名 茂
1948年5月11日生まれ。
フォークシンガーソングライター(主にフォークソング)、俳優、タレント。
青森県青森市長島出身の両親の元で生まれ、東京都で育つ。
尚、青森県に住んだことはなく、ほとんど東京都出身と表記されている。
血液型 O型
 
人物・エピソード
子供の頃から風邪を引きやすく、しょっちゅうお腹を壊していたらしい(本人談)。
幼少時に小児麻痺に罹患、後遺症のため歩行が不自由となる。
そのため映像媒体での泉谷登場の際はガニ股での歩行が多く見られる。
筋書きのある“乱入”が演出されていることが多い(オープニングから出ているのに新聞のテレビ欄には『泉谷乱入!』と書かれるのが常であり、嘉門達夫の楽曲『マーフィーの法則』でもネタにされている)。
以前、西武球場で行われたサザンオールスターズのライブに花束を持って出演した際、スタン・ハンセンと化した桑田佳祐に花束で殴られ襲われる。
花束を奪い返し原由子に襲い掛かるも、サザンメンバーに返り討ちにあった。
最近は『孫を溺愛中』という一面も出てきており、番組内で泉谷が暴走すると、他のタレントがすかさず『お孫さんが見ています!!』と言って暴走を止めるパターンが増えてきている。
溺愛のあまり、娘から『甘やかす』と接触禁止を言い渡され、現在一人暮らし。
その孫も成長に伴って毒舌家になり、泉谷自身も『地獄に落ちろ』と言われたことがあるとちょっと嬉しそうに語った(『はなまるマーケット』)。
また、その孫と一緒に毎年夏に『金曜ロードショー』にて放映される『火垂るの墓』を観るのだが、『ストーリーが分かっているのに毎年毎年、涙する。』と『おしゃれイズム』で話している。
デーモン小暮によると、『気は真面目なオッサン』だそうである。
また小田和正の泉谷評は『あいつはシャイだから』。
武田鉄矢は自身の著書で泉谷を『歌と共に生きている男だ』、フォーライフレコード役員の吉田拓郎からは『あいつは良い奴だ!大好きだ!』と評価されている。
但し泉谷本人は、誉められることを『イメージダウンになる』と嫌って吐き捨て、真意の程を有耶無耶にしている。
146 @kira 2013-02-25 11:53:51 [携帯]

シーン36
劇場版の台詞
令子『この間は無粋な観客が多すぎましたけど』
伊達『会社、近くなんですか?』
令子『いえ、日本橋です。外資系の会社でUSワックスっていうんですけど、社長がこのレコード聴きたいって言うもんですから』
伊達『ああ・・・、これはいいですよ・・・。でも、社長さんと趣味が一緒なんて素晴らしいですね』
令子『でも、60過ぎのおじいちゃまですから・・・あなたは?』
伊達『ええ、さっきから探してるんですけど・・・葬送行進曲』
令子『まぁ・・・フフフ・・・』
伊達『じゃあ、僕はこれで・・・さようなら』
令子『さようなら・・・』
令子『あのぉ・・・』
伊達『はい』
令子『今度の日比谷のコンサート、いらっしゃいますか』
伊達『・・・・・・ええ、多分』
 
シーン37
劇場版の台詞
柏木『どうも俺は、昔から尾行ってやつが下手くそで駄目だよ。いや、あんたの動きを干渉するつもりはなかったんだけどもさぁ・・・こんなこと今さら言ってもしょうがねぇな』
柏木『俺ねぇ、捜査一課の柏木ってモンだけど・・・あ、聴くんだったらかけていいよ』
伊達『どうも』
伊達『あなたもお坐りになりませんか?』
柏木『ああ、どうもどうも』
伊達『どうして僕のあとを尾けるんですか?』
柏木『いやぁ、それを言っちゃうとミもフタもないんだけどさぁ・・・実はねぇ、2週間前にウチの警部補が刺し殺されてハジキを盗まれたんだよ。ひどい雨の夜だったなぁ・・・それから4時間後、そのハジキで3人のゴキブリどもがブチ殺された。ホシは全く見当がつかないんだよ・・・だけども、その犯行の前後に、それらしい人間を見たというネタは入ってるんだよ・・・身長は180センチメートル以上、ガッチリした肩を落として、まるで死人のようにひっそりと歩くのが非常に印象に残ったそうだ・・・・・・もっともこのネタは捜査会議で一蹴されちまったがね。150人の捜査員の中でこだわってんのは俺だけだよ、ははは・・・・』
柏木『なんだよ、聞いてないようだな』
伊達『聞いてますよ・・・・・・それで?どうして、あなた一人がこだわるんですか』
柏木『まあ・・・誰もこだわらないからさ。みんながワァーッと飛びつくようなネタだったら俺は降りるよ。性分だから、しゃあねえや、ははは』
伊達『勘は当る方なんですか?』
柏木『それなんだよなぁ~』
147 @kira 2013-02-25 11:59:52 [携帯]

シーン36
 
レコード店の店内。
 
ショパンのピアノ協奏曲第一番第二楽章が流れている。
この曲の旋律は本当に美しい。
ショパンピアノ曲は、伊達でなくとも涙を流すような哀愁を帯びている。
 
レコード店でジャケットを次々に捲っている伊達。
その様子を後ろから眺めている柏木。
伊達はとうに柏木の尾行に気づいている。
 
この当時はCDなんてなかったのだ。現在はCDどころかiPodの時代だ。隔世の感は否めない。
しかし、伊達はiPodで音楽を聴くなんて無粋な事はしないだろう。
部屋でプレーヤーの針が降りて、クラシックが大音量で流れる瞬間に至福の悦びを感じるのが伊達邦彦ではないだろうか。
それにどんなアナログアイテムも時代が巡れば、いずれ復活するものである。
 
レコードを見ている伊達が正面に人の気配を感じて顔を上げると令子が立っている。
令子は日本橋にある外資系企業の社長秘書で社長の用事で偶然の出会いだった。
後にこの日本橋という設定が生きてくるのだが…。
外資系だとか、社長秘書だとかがセレブの香りを漂わせていた頃の話である。
当時は、クラシックの話題を女性としているような知識と教養がある人間がフリーターなんてありえないと思ったが、リストラが横行する現在のほうがリアリティを感じるところが面白い。
むしろ伊達は学歴だとか経歴などに執着しておらず、そういう事を鼻にかけている人種を心の底から軽蔑している。
クラシックを純粋に楽しみ、知識を貪欲に欲する一個の人間である。
人間に対して興味を持たない伊達が関心を持つとすれば、その魂が纏っている気品ではないか。
間違っても伊達が美術品に法外な価値を見いだす事などないだろう。
令子が伊達に好意を持つのも、そこら辺りではないのか。
148 @kira 2013-02-25 12:03:32 [携帯]

シーン37
劇場版の台詞
柏木『どうも俺は、昔から尾行ってやつが下手くそで駄目だよ。いや、あんたの動きを干渉するつもりはなかったんだけどもさぁ・・・こんなこと今さら言ってもしょうがねぇな』
柏木『俺ねぇ、捜査一課の柏木ってモンだけど・・・あ、聴くんだったらかけていいよ』
伊達『どうも』
伊達『あなたもお坐りになりませんか?』
柏木『ああ、どうもどうも』
伊達『どうして僕のあとを尾けるんですか?』
柏木『いやぁ、それを言っちゃうとミもフタもないんだけどさぁ・・・実はねぇ、2週間前にウチの警部補が刺し殺されてハジキを盗まれたんだよ。ひどい雨の夜だったなぁ・・・それから4時間後、そのハジキで3人のゴキブリどもがブチ殺された。ホシは全く見当がつかないんだよ・・・だけども、その犯行の前後に、それらしい人間を見たというネタは入ってるんだよ・・・身長は180センチメートル以上、ガッチリした肩を落として、まるで死人のようにひっそりと歩くのが非常に印象に残ったそうだ・・・・・・もっともこのネタは捜査会議で一蹴されちまったがね。150人の捜査員の中でこだわってんのは俺だけだよ、ははは・・・・』
柏木『なんだよ、聞いてないようだな』
伊達『聞いてますよ・・・・・・それで?どうして、あなた一人がこだわるんですか』
柏木『まあ・・・誰もこだわらないからさ。みんながワァーッと飛びつくようなネタだったら俺は降りるよ。性分だから、しゃあねえや、ははは』
伊達『勘は当る方なんですか?』
柏木『それなんだよなぁ~』
 
試聴室で柏木を待ち構える伊達。
二人の最初の対決だ。
憮然とした表情で柏木を迎え入れる伊達。
柏木が試聴室に入ってくる。尾行がバレてバツが悪そうだ。
伊達がレコードを掛ける。
ソファーに座り、柏木にも掛けるように促す。
ベートーベンのピアノ協奏曲第5番 変ホ長調『皇帝』第一楽章が流れる。
149 @kira 2013-02-25 12:06:37 [携帯]

シーン
 
続いて、柏木が自分の勘について語る。
日活のスターだった赤木圭一郎が日活でゴーカートに乗っていた日に有名な人間が死ぬと直感したという話だ。
 
赤木圭一郎は、1961年2月14日12時20分頃、映画『激流に生きる男』セット撮影中の昼休憩時にセールスマンが持ってきたゴーカートを日活撮影所内で運転中、ブレーキとアクセル(乗用車とは逆位置)を踏み違え60km/h以上のスピードで大道具倉庫の鉄扉に激突、慈恵医大病院に緊急入院。
事故当日に亡くなったのではなく、命日は一週間後の2月21日である。
 
その年に警察官に採用されたとして、この映画が公開された年には在職期間19年。ベテランとは言わないまでも中堅刑事といったところか。
映画から受ける印象では、仕事一筋ではなく大した手柄を立てている訳でもない、署内でも冷遇されているような感じだ。
一人で行動しているところもどことなく一匹狼といった印象を受ける。
 
柏木を演じたのは室田日出男
数々の映画で悪役を演じ、川谷拓三、志賀勝らと結成したピラニア軍団のリーダー的存在として有名だった。
野獣死すべし』では初老の刑事を渋く演じている。
松田優作とは『暴力教室』で共演。
優作は自身が映画化を熱望していた『荒神』でも、彼との共演を希望していたという。
150 @kira 2013-02-25 12:11:00 [携帯]


240 x 160 『野獣死すべし』の男優たち
 
草薙幸二郎
 
1929年9月19日 - 2007年11月11日
東京市王子区(現・東京都北区)出身の俳優。
本名は『草薙幸次郎』。
長男の草薙仁も俳優。
 
日本大学文学部哲学科中退。
劇団民藝在籍中の1953年に映画『夜明け前』でデビュー。
1956年には今井正監督の『真昼の暗黒』で主役に抜擢され、第1回製作者協会の新人賞を受賞して注目される。
その後は日活映画を中心に活動。
アクション系作品では凄腕の刺客や謎の中国人などを怪演し、特異な個性を持つ敵役として強烈な存在感を見せた。
映画産業の斜陽化後はテレビドラマにも活躍の場を拡大。
時代劇から現代劇まで、主にインテリ系の悪役を様々な作品で演じてきたが、近年では悪役以外の老け役にも演技の幅を広げていた。
2007年11月11日、間質性肺炎のため東京都三鷹市の病院で死去。
151 @kira 2013-02-25 12:17:29 [携帯]


480 x 360 『野獣死すべし』の男優たち
 
室田日出男
 
1937年10月7日 - 2002年6月15日
北海道小樽市出身。
本名 同じ
 
北海道札幌東高等学校卒業。
東映ニューフェイス第4期としてデビュー。
同期には山城新伍佐久間良子、花園ひろみ、曽根晴美山口洋子などがいた。
大部屋俳優時代は岩尾正隆、川谷拓三、志賀勝らと共に斬られ役集団の一員で、後に彼らは渡瀬恒彦の発起のもと『ピラニア軍団』を結成。
室田は軍団のリーダー的存在として、ヤクザ映画を中心にテレビドラマでも無骨な個性を見せた。
有名な代表作に『仁義なき戦い』シリーズでの悪役や『前略おふくろ様』(倉本聰・脚本、萩原健一・主演)の半妻役などがある。
デビュー以後、現場でのケンカが原因による謹慎、東映との専属契約解除、組合活動参加による会社側からの冷遇、1970年代にピラニア軍団で注目を受けた以降にも覚醒剤不法所持で出演作を降板せざるを得なくなるなど、紆余曲折の多い人生だったが、深作欣二ら監督陣や役者仲間からの信望は厚く、幾度の憂き目にも負けずに復活した。
1980年代以降はヤクザ映画から離れ、一般映画で活躍した。
2002年6月15日、肺癌のため逝去。
 
亡くなるまでドラマや映画以外は(『徹子の部屋』などのトーク番組へのゲスト出演を除き)ほとんど出演しなかった事で知られ、室田の葬儀・通夜にて山城新伍から『彼は僕らと違ってバラエティには出ないから、本当に役者だね』と言われるほどだった。
また大の酒好きで知られ、ドラマなどで共演した陣内孝則ら後輩俳優からも慕われていた。
152 @kira 2013-02-25 12:19:05 [携帯]

シーン38
 
電車に乗っている伊達。
周りは帰宅途中のサラリーマンの群れ。近くで柏木が見張っている。
伊達はサラリーマンをドブネズミと称して軽蔑している描写がある。
本編ではカット。
 
シーン39
 
電車を降りる伊達。
改札に向かう階段でサラリーマンの群れにもまれ、気分が悪くなり吐く。
傍らで見守る柏木が群れに押されて伊達から離される。
元の場所に戻るが伊達の姿は既になくなっている。
 
本編ではカット。
153 @kira 2013-02-25 12:26:23 [携帯]


404 x 720 シーン40
劇場版の台詞
乃木『ヨッ!遅れて申し訳ない。会長が遅れて申し訳ない』
乃木『あのね、珍しい奴、連れて来たよ』
里中『お!お!伊達君じゃないか、おい。』
『入ってくれよ』
結城『おお!久しぶり!通信社、やめたんだってなあ』
伊達『ええ、まあ・・・』
結城『あ、やっぱりクビになったの?インドシナ内戦の時に、君が送ってきた写真は圧巻だったけどなあ』
平井『しかし、戦場ばかり駆り出されてるんじゃ、イヤんなるわな』
結城『ああ、たいへんだぁ』
東条『今、何やってるんだ?』
乃木『俺の出版社で翻訳、手伝ってもらってるんだ』
東条『なんだ、アルバイトかぁ。よかったら、うちの下請けでも世話しようか?学歴、経歴は申し分ないんだ、ねえ、広報課長ぐらいすぐなれるよ』
里中『伊達君、君は学生ん時は、図書館と名曲喫茶に入りびたりだったなあ』
乃木『そうそう、半年でさぁ、ニーチェを読みきってな、それでお前、チャンドラーやハメットまで読みちらかしてたんだぞ、こいつ』
結城『昔からほとんどクチきかなかったけど、あれだねぇ、変わンないねぇ』
乃木『今日は、俺が無理に誘ったんだよ』
東条『ああ、君はそう言えば射撃部だったなぁ・・・今でも鉄砲、撃ってんの?』
伊達『・・・ええ・・・たまに・・・』
東条『まあ、しかしアレだなあ、日本じゃウサギか鳥ぐらいしか撃てないだろ』
『ハイハイ、珍しく伊達君も揃ったことだし、じゃ、始めようか』
『じゃ、会長』
乃木『え~、俺達も来年、いよいよ三十路だ。これが二十代最後の集まりになるだろう。さらば青春、』
『アデュー ラドレサ!』
乃木『おい、そろそろ外地、行くんだろ?』
平井『いやぁ~、外務省も人材がダブっててな、中々お鉢が廻って来んよ』
結城『おい、東条、今度の外為法違反の騒ぎは、関係ないのか?』
東条『ああ、あれはなぁ、航空機部門だけだよ。俺の鉄鋼部は綺麗なもんだよ』
平井『おい、結城、お前ンとこの株、ひどいなぁ』
結城『来週は持ち直すと思うよ。今日の前引きも久しぶりにジリ高になってるし』
東条『気をつけなさい!』
真田『今のはお客さんの不注意じゃないスか?』
東条『なにぃ~?!さっきから君のマナーはなってないじゃないか!何言ってンだよ!』
真田『まァ、そんなに興奮しないで下さいよ。私もね、来年30なんスよ。お宅らと同い年。大学は出てませんけどね』
真田『ま、70年代、シコシコやってきたよしみで、仲良くやりましょう』
東条『なんだぁ?!』
真田『なんだとは、なんだ!』
平井『『東条、ボーイなぞ、相手にするな』
乃木『ま、いいから座れよ』
東条『まったく、この店も質が落ちたもんだ!昔は学卒のれっきとしたボーイがいたもんだが!』
里中『三流の人間がだな、ハバをきかす時代よ。我々は黙して語らずさ』
真田『お客さん、言っていいことと悪いこと、あるよ』
東条『不愉快だなぁ!君はっ!!何だよそのいい方はっ!!』
東条『店長、呼べっ!!』
真田『どうも・・・すいませんでした』
乃木『東条、お前ちっとも変わらんな、しかし』
真田『 何、見てんだ?!お前っ!!』
真田『文句あんのか、ええ?』
東条『何なんだよ、君はぁっ!!』
真田『・・・ブタが・・・』
『おい、東条、しっかりしろ』
『おい、大丈夫か?』
『救急車、呼んだほうがいいんじゃないのか?おい』
154 @kira 2013-02-25 17:31:21 [携帯]


480 x 800 シーン40
 
レストランの個室。
東京大学経済学部同窓会とある。
乃木が遅れてやって来る。その後ろに伊達。
里中、結城、平井、東条が出迎える。
 
結城を岩城滉一、東条を阿藤海、里中を林ゆたか、平井を加藤大樹がそれぞれ演じている。
いずれも松田優作の映画やドラマでおなじみの面々だ。
 
しかし、東京大学OBにはとても見えない。
 
そして、なんといっても強烈なのは真田徹夫を演じる鹿賀丈史だ。
劇団四季を退団後、大河ドラマ黄金の日日』『天皇の料理番』などに出演していたが『野獣死すべし』が映画デビューである。
その演技は初登場のレストランのシーンから観客の目を釘づけにする魅力を持っている。
頭髪をアフロにしての熱演はデビュー作とは思えないくらい鬼気迫る迫力に満ちている。
観ればわかるが真田はもうひとりの主役である。
伊達と真田は相棒であり、共犯関係であり、陰と陽であり、鏡に映った自分自身である。
東大出身の青年とレストランのボーイ。
境遇は違っても、現在の日本や自分自身に鬱屈した思いを抱き、怠惰な日常を貪っている。
それは、ふとしたきっかけで暴発する危険性を孕んでいる。
155 @kira 2013-02-25 17:43:07 [携帯]


852 x 480 鹿賀丈史は、劇団四季で『ジーザス・クライスト・スーパースター』『ウエスト・サイド物語』に出演後、退団するが一年間仕事がなかった。
劇団在籍中は、大河ドラマ黄金の日日』や『三男三女婿一匹』に出演していたが映画は『野獣死すべし』が初めてだった。
未知の領域に臨むに当たって、舞台での経験は全く通用しないと思った彼は、『まぁ考えてもしょうがない』という思いで現場に入った。
そんな彼を、松田優作や監督が形に嵌めようとせず受け入れた。
松田優作が彼の内面から真田徹男を引き出し、彼も松田優作が創りたい世界を感じて演技した。
この映画の伊達と真田はいわば、漫才のボケとツッコミである。
伊達がボケて真田が突っ込む。それが終盤には真田もボケる。誰も突っ込まないという高度な事を既にやっている。松田優作が笑いに対する優れた感性も持っていた事が分かる作品だ。
レストランのボーイで真田が初登場するシーンでは、『お前の目はどうなってるんだ?』と言われる奴はどういう奴なんだという事を考えて現場に行ったという。
横須賀のドブ板横丁のバーで優作と二人で話をするシーンでは、優作の背中越しの鹿賀を長回しで撮影。監督の『カット!』の声がかかり、切り返しを撮るのかと思ったら、『ハイ、お疲れさま!』。
『アレ!?』と鹿賀丈史
『これちょっと優作氏、何、背中だけじゃない?いいのかよ、おい?』と驚いたという。
撮影も終盤になった頃、松田優作鹿賀丈史にこんな事を言った。
『おい鹿賀、俺なぁ、お前に負けたよ』
鹿賀が『えぇ!?何ですか?』と言ったら、優作が『お前の目、三角になってたもんな』と語ったらしい。
優作がどこまで本気だったかは分からないが、鹿賀は『それはすごい嬉しかった……本当に嬉しかった』と思った。
その後、松田優作が断った『麻雀放浪記』や刑事ドラマのボス役を鹿賀丈史が演じた事なども考えると、かつて松田優作が追いかけていた萩原健一との関係を連想させて奇妙な因縁を感じる。
156 @kira 2013-02-25 17:51:10 [携帯]

野獣死すべし』の男優たち
 
風間杜夫
 
本名(または旧芸名) 住田知仁
1949年4月26日生まれ。
早稲田大学第二文学部演劇専修中退。
東京都世田谷区三軒茶屋出身。
 
父は新東宝で営業を担当していた。
1957年、8歳の時に児童劇団『東童』に入団。
翌年『東映児童演劇研修所』の一期生となる。
すぐに子役としての頭角をあらわし、マキノ雅弘加藤泰監督など、日本映画史に名を残す名監督の東映作品に多数出演し、少年雑誌の表紙を飾るほどの売れっ子になる。
『小学校5年生の時には全く学校にも行けず、1年間京都の撮影所に通い詰めだったよ』と自身も語っている。
しかし、『俳優を一生の仕事にするなら、子役の仕事をやめた方がいい』との米倉斉加年の言葉に従って、1962年、13歳の時に劇団を退団し、その後子役としての仕事は減る。
早稲田大学第二文学部演劇専修入学(のち中退)し、演劇活動を始める。
1971年秋、通っていた劇団俳優小劇場の養成所で、養成所の幹部の間で内紛があったため費用を返金してもらう。
その金を元に22歳のときに劇団『表現劇場』を結成。
このときの仲間に、シティボーイズの3人(大竹まこと、きたろう、斉木しげる)がいたことは有名。
大竹、斉木とは一時同居生活も送っていた。
風間杜夫』の芸名で銀幕デビューしたのは、1972年の日活ロマンポルノだった。
1974年、『勝海舟』でテレビドラマ初出演。
1976年、『娘たちの四季』(CX)で初のドラマレギュラーを得る。
その後は、映画『蒲田行進曲』やドラマ『スチュワーデス物語』などの人気作に続けて出演。
声優としても幅広く活躍し、12歳よりアニメ『安寿と厨子王丸』で声優をつとめ、近年ではドラマ『X-Files』(テレビ朝日放送分)のモルダー役などが知られている。
2002年11月には、ひとり芝居『カラオケマン』の北京公演。
2003年には、舞台での演技が評価され、文化庁芸術祭で大賞を受賞した。
157 @kira 2013-02-25 17:52:12 [携帯]


556 x 432 『野獣死すべし』の男優たち
 
岩城滉一
 
■本名 岩城光一
■1951年3月21日生まれ
■東京都出身
日本大学鶴ヶ丘高等学校帝京大学経済学部卒
■血液型 A型
 
デビュー前は、舘ひろしとともに原宿・表参道を拠点にした硬派暴走族『クールス』を総括。
矢沢永吉がリーダーだったロックバンド『キャロル』の親衛隊として有名となった。
 デビューは1975年製作『新幹線大爆破』だが本格的なデビューは同年の『爆発!暴走族』だった。
 
優作とは公私共に親交が深かった。
共演作も多く、初共演は1977年の角川映画人間の証明』で岩城は優作に射殺される役だった。
『俺たちに墓はない』1978年
探偵物語』1979年 日本テレビ
野獣死すべし』1980年
でも共演している。
158 @kira 2013-02-25 18:00:43 [携帯]


375 x 558 『野獣死すべし』の男優たち
 
阿藤 快
 
1946年11月14日生まれ。
俳優・タレント。
旧芸名は『阿藤 「海」』、本名は『阿藤 「公一」』。
神奈川県小田原市出身。
有限会社さいど事務所所属。
 
中学時代は野球に熱中。
神奈川県立西湘高等学校に入学するが、高校に野球部がなかった為2年時に退学。
その後、野球部名門校の編入試験を受験するも不合格になり、西湘高校に復学した。
卒業後は、東京都立大学法学部第二部(夜間部)に入学。
学生時代は弁護士を志し司法試験の勉強に勤しむが、2年次にドイツ語の単位が足らず断念。
在学中に、劇団の俳優座養成所に加入したことをきっかけに役者を目指すようになった。
養成所に在籍し、東京都立大学卒業後の10年間は悪役専門で役者を続けた。
グルメ番組でのリポーター・旅番組での案内役もする。
また、出身地である小田原市が主催する小田原映画祭の実行委員を第1回(2005年)より務め、第2回(2007年)には実行委員長も務める。
 
血液型はA型。
座右の銘は『一日一生』。
長年煙草を吸っていたが、最近某通販の離煙パイプにより禁煙。
競馬が大好きなため、それが高じて競馬の関連書籍も執筆している。関西テレビのバラエティー番組『たかじん胸いっぱい』にゲスト出演した際、同局のアナウンサー馬場鉄志に数々のGIレースの実況を再現してもらい、感激していた。
テレビ番組や映画への出演のほか、『ぶらり途中下車の旅』の旅人役で出演していることでも知られている。
雑誌の取材にてインタビューした姓名判断士の助言により、『海』より『快』に改名。
女優の加藤あいと名前が似ていることから、『タモリ倶楽部』で『24人の加藤あい』に対して『24人の阿藤海』という企画が作られた際、この放送より阿藤『快』としての活動を開始した。
『なんだかなー』が口癖。
このフレーズは、険悪な現場を和ませるために言うようになったものである。
このように気さくな性格であるためか、『芸能界で最もいい人』との称号を受けることもある。
159 @kira 2013-02-25 18:02:40 [携帯]


593 x 598 『野獣死すべし』の男優たち
 
林ゆたか
 
本名 林温
1947年2月24日生まれ。
元バンドドラマー・元俳優。
長野県出身。
 
城西高校卒業後、グループサウンズヴィレッジ・シンガーズ』の結成に参加。
ドラマーとして数々のヒット曲を世に送り出した。
グループ解散後は俳優に転向。
社会に屈折した若者から悪役まであらゆる役を演じた。
その間、奈美悦子と結婚・離婚し、1983年に引退した。
引退後は実業家に転進し、オールディーズライブハウス、ケントスを全国展開し成功させてきたが、2001年辺りからヴィレッジ・シンガーズのメンバーとして再び活動を再開している。
 
出演作品
映画
虹の中のレモン(1968年、松竹) ※ヴィレッジ・シンガーズでの出演
落葉とくちづけ(1969年、松竹) ※ヴィレッジ・シンガーズでの出演
喜劇 怪談旅行(1972年、松竹)
ゴジラ対メガロ(1973年、東宝)
バージンブルース(1974年、日活)
新幹線大爆破(1975年、東映)
さらば夏の光よ(1976年、松竹)
暴行切り裂きジャック(1976年、日活)
赤い花弁が濡れる(1977年、日活)
肉体の悪魔(1977年、日活)
霧の旗(1977年、東宝)
皮ジャン反抗族(1978年、東映)
病院坂の首縊りの家(1979年、東宝)
ホワイト・ラブ(1979年、東宝)
レイプ・ハンター 狙われた女(1980年、にっかつ)
団鬼六 白衣縄地獄(1980年、にっかつ)
野獣死すべし(1980年、東映)
幸福号出帆(1980年、東映)
子どものころ戦争があった(1981年、松竹)
汚れた英雄(1982年、東映)
エル・オー・ヴィ・愛・N・G(1983年、東宝)
化粧(1984年、松竹)
メトロポリス(2001年、東宝) ※声優での出演 etc.
160 @kira 2013-02-25 18:08:04 [携帯]


160 x 120 『野獣死すべし』の男優たち
 
加藤大
 
日本の俳優、元スタントマン。
本名 加藤寿
 
高倉英二に師事し若駒冒険グループに入団。
スーツアクターなどのスタントマンとして、特撮ヒーロー物を中心に活動。
トリプルファイター』のケリー岩崎役で俳優としてもデビューを果たし、『スーパーロボット レッドバロン』では、レギュラーの隊員役に抜擢される。
スタントマン仕込みの高度なアクションと、長身で精悍なマスクから人気が出て、シリーズ続編の『スーパーロボット マッハバロン』にも隊員役で引き続きレギュラー出演した。
これらを機会に役者としても活躍するようになり、刑事ドラマ中心に出演した。
78年公開の映画『皮ジャン反抗族』から、芸名を本名の『加藤寿』から『加藤大樹』に改めた。
松田優作と共演する事が多く、『探偵物語』の最終回で松田演じる工藤俊作に地下道で復讐され殺害されるスローモーションシーンは印象深い。
仮面ライダー』の主役オーディションを受けたが、合格に至らなかった。
講談社の『仮面ライダー大全集』(ISBN 4-06-178401-3)にはそのときの写真が掲載されている。
日本を活躍の舞台とした1981年香港製作のブルース・リー主演作『死亡の塔』に出演した。
しかしながら1981年当時既にブルース・リーは故人であり、本作では間接的に”世紀の闘神”ブルース・リーとの共演を果たした。
現在は芸能界を引退し、NPO法人森吉山ネイチャー協会理事長や、秋田県トライアスロン連合理事などを務めている。
161 @kira 2013-02-25 18:09:25 [携帯]


404 x 303 『野獣死すべし』の男優たち
 
鹿賀丈史
 
1950年10月12日生まれ。
本名 勝田薫且
石川県金沢市出身。
左利き。
所属事務所はホリプロ
 
略歴
石川県立金沢二水高等学校卒業後、浜口庫之助事務所を経て1972年劇団四季に入団。
在団中より大河ドラマに出演。
1980年退団。
1983年、映画『疑惑』(松竹)により、1984年映画『麻雀放浪記』(角川・東映作品)により、1987年映画『キャバレー』(角川)により、日本アカデミー賞助演男優賞受賞。
1982年、エランドール賞新人賞受賞。
1998年、『レ・ミゼラブル』の初演以来舞台の中核として活躍してきた功績に対し菊田一夫演劇賞特別賞を、2005年には『ジキル&ハイド』『レ・ミゼラブル』の演技に対し菊田一夫演劇賞演劇大賞を受賞。
 
高校在学中は合唱部でテノール指揮者として活躍。
オペラ歌手を志して音楽大学の浪人中、友人に勧められ一緒にオーディションを受けたのが入団のきっかけとなった。
鹿賀丈史という芸名は、劇団四季代表の浅利慶太が名づけた。
劇団四季では児童向けミュージカルなどに出演した後に『ジーザス・クライスト スーパースター』のジーザス役で主役デビューし、注目を集める。
同劇団の顔・日下武史シャイロックで話題を集めた『ヴェニスの商人』のバッサーニオなど軽妙な役柄もこなした。
劇団退団後の1987年、『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャン役とジャベール役を滝田栄とのダブルキャストでこなし、舞台役者としての地位を確たるものとする。
162 @kira 2013-02-25 18:14:32 [携帯]

シーン41
 
釈放される真田
本編ではカット。
 
シーン42
 
横須賀の雑踏をバッグを掲げた真田が歩いて来る。
正面からアメリカの水平二人と腕を組んだ売春婦が騒ぎながら通り過ぎる。
真田、振り返って遣り過ごした売春婦たちを睨む。
そして、バーの階段を上って行く。
 
このシーンの為に、水兵役で外国人エキストラを頼んだのだが、やって来たエキストラがどこが水兵なんだよ!ってくらいのメタボ外人だったらしい。
 
シーン43
 
簡素なインテリアの屋根裏部屋。
一人で酒を飲む真田。
聞こえてくるバーの喧騒に苛立って、壁に貼ってあるフラメンコダンサーの写真に煙草の火を押しつける。
163 @kira 2013-02-25 18:15:36 [携帯]


447 x 794 シーン44
劇場版の台詞
真田『お前、何やってんだよ。そこで何やってんだよっ?!』
真田『何しに来たんだよ、何しに来たんだよっ?!』
伊達『・・・・・・・・・・』
真田『あれだな、お宅・・・全然呑まないじゃない』
伊達『呑めないんです』
真田『ひゃっはっはっは!・・・・・・ほんと?』
伊達『・・・ええ・・・』
真田『ああ~あ、珍しいね・・・・・・・ねえ、その眼、どうなってんの?その眼』
伊達『眼?!』
真田『心が死んでるよ、ソレ』
伊達『キミもそうですよね』
真田『ヒャッハッハッハ』
真田『女がよ、アメリカ行きたいっつーんだよね。ジャパニーズ・フラメンコっつってさ、アメリカでドサやろうっちゅーの・・・・・・急に言い出しちゃったよ・・・』
伊達『キミが、ギターをひいて・・・?・・・いい指してますね』
真田『フフ・・・・・わかんの?』
真田『でもよ!先立つもんがさ、コレしかないから・・・それであのレストランに行ったわけ。女込みでロスの支店、行かせてくれるってゆーから・・・ところがあのザマだよ・・・ナンボになってもカッとすると、わけわかんなくなんだよ』
真田『女さ、この店預かってんだよ。毎月赤字だけどな・・・』
伊達『さっきの・・・あの娘ですか?』
真田『・・・・・・今頃、ヤンキーの将校とドライブだよ・・・・・・徹夜のドライブ・・・・・・こんなこと、初めてだ・・・』
伊達『・・・・・・女に情を移すほど・・・マヌケに見えませんけど』
真田『・・・・・・女に情移す?!・・・・・・誰がよ・・・・・・ブッ殺してやるよ!!』
164 @kira 2013-02-25 18:22:15 [携帯]


370 x 203 シーン44
 
1階のバー。
階段を下りてきた真田がカウンターに座る。
虚脱したように酒を飲んでいる。
何気なく、振り向くとカウンターに伊達が座っている。
怒りが込み上げてきた真田は威嚇すると、伊達に近づく。
真田、さらに威嚇するように伊達の襟を掴む。
ゆっくりと振り向くと真田を見つめる伊達。
その眼は焦点が定まっていない。
真田、怒りが消えて襟を掴む手を放す。
カウンターに戻って、再び飲む。
 
バーでかかっている曲は『探偵物語』でも、よく使用されていたものだ。
 
ここで面白いのは、松田優作がほとんど顔を見せていない事。
終始、カメラに背を向けている。自意識が強い俳優なら『もっと俺を撮れよ』となるところだ。この時点で優作は伊達邦彦になりきっているから、俳優としての自意識を捨て去ってしまっているのだ。
 
そして、真田の座るカウンターの向こう側に立っているホステス沙羅を演じるのは実は女優ではない。
彼女こそ、松田優作主演『蘇える金狼』の主題歌を歌っていた前野曜子、その人である。
それが縁での出演だろう。
セリフは無く、自分で酒を注いで自分で飲んでいる。
アルコール依存症だった彼女自身を演じているかのような役柄である。
彼女は『探偵物語』第14話『復讐のメロディー』にもゲスト出演しています。
165 @kira 2013-02-25 18:23:23 [携帯]


449 x 797 シーン44
 
閉店後の店内。
カウンターからテーブルに移った伊達と真田が、向かい合って飲んでいる。
その横の通路を千鳥足の前野曜子が『I Feel Like A Motherless Child』を口づさんでいる。
166 @kira 2013-02-25 18:25:04 [携帯]


687 x 685 『蘇える金狼』の女優たち
 
前野曜子
 
1948年1月25日 - 1988年7月31日
本名 前野耀子
ペドロ&カプリシャスの初代ヴォーカル。
東京都中央区銀座生まれ(江戸川区生まれとの説もある)。
略歴
1965年、川村高等学校を2年で中退し宝塚音楽学校に進む。
1967年、宝塚歌劇団へ入団。
同期は54名で当時の芸名は『弓千晶』。
1968年宝塚歌劇団退団。
伝説のディスコ赤坂『MUGEN』でゴーゴーガールを務める。
宝塚時代に知り合った亀渕友香と『MUGEN』で再会し、リッキー&960ポンドに参加。
翌1969年、『ワッハッハ』がヒット。
この頃は『西丘有里』と名乗る。
1971年、リッキー&960ポンドと同じ事務所に所属するペドロ&カプリシャスにヴォーカルとして参加。
1972年に『別れの朝』が大ヒットし一躍人気・仕事の絶頂のさなかだった翌1973年、突然の脱退を発表して単身渡米もその後数ヶ月で帰国した。
当時のあるテレビ芸能ニュース番組では『米国留学の為』と放送された記録が残っているが、脱退については1972年11月頃発売分の『週刊女性』では前野が深酒に因る仕事上の失敗を繰り返していた上、恋仲となった米国人男性への出奔、早期の帰国については1973年10月頃発売分の『週刊朝日』で恋人との破局や米国生活の限界が重なったのが原因との記事が掲載されるなど、具体的な面に触れた報道はなかったがいずれもすっきりしない脱退劇と前野にとって残念な結末を辿った事が垣間見られた出来事であった。
 
1988年7月31日に肝臓病で死去。
167 @kira 2013-02-25 18:49:18 [携帯]


797 x 449 前野曜子出演シーン①
168 @kira 2013-02-25 18:50:30 [携帯]


794 x 447 前野曜子出演シーン②
169 @kira 2013-02-25 18:51:37 [携帯]


796 x 449 前野曜子出演シーン③
170 @kira 2013-02-25 18:55:22 [携帯]


797 x 449 前野曜子出演シーン④
171 @kira 2013-02-25 18:56:30 [携帯]


797 x 448 前野曜子出演シーン⑤
172 @kira 2013-02-25 18:57:37 [携帯]


798 x 447 前野曜子出演シーン⑥
173 @kira 2013-02-25 18:58:52 [携帯]


801 x 449 前野曜子出演シーン⑦
174 @kira 2013-02-25 18:59:56 [携帯]


798 x 448 前野曜子出演シーン⑧
175 @kira 2013-02-25 19:01:09 [携帯]


800 x 449 前野曜子出演シーン⑨
176 @kira 2013-02-25 19:03:18 [携帯]


798 x 449 前野曜子出演シーン⑩
177 @kira 2013-02-25 19:04:58 [携帯]


798 x 448 前野曜子出演シーン⑪
178 @kira 2013-02-25 19:05:58 [携帯]


798 x 448 前野曜子出演シーン⑫
179 @kira 2013-02-25 19:06:59 [携帯]


794 x 446 前野曜子出演シーン⑬
180 @kira 2013-02-25 19:07:59 [携帯]


800 x 449 前野曜子出演シーン⑭
181 @kira 2013-02-25 19:09:10 [携帯]


797 x 449 前野曜子出演シーン⑮
182 @kira 2013-02-25 21:16:00 [携帯]

シーン45
劇場版の台詞
雪絵『バイバーイ』
将校『バァーイ!』
 
バーの前の路地に将校が運転する外車が停まる。
雪絵が降りて、バーに入って行く。
 
真田の情婦・雪絵を演じるのは根岸季衣
彼女は『探偵物語』第16話『裏切りの遊戯』に出演している。
当時の芸名はとし江だったと思う。
 
シーン46
劇場版の台詞
真田『始末してくらぁ・・・』
 
バーの店内。
雪絵が入って来て、2階へ上がって行く。
それを見ていた伊達と真田。
真田、決心したように雪絵の後を追う。
伊達、立ち上がって死神のような表情で階段を見つめる。
フッと外へ出て行く。
183 @kira 2013-02-25 21:17:12 [携帯]


404 x 720 シーン47
劇場版の台詞
伊達『始末、しなかったでしょう・・・』
真田『目、見ちまったんだよ。首絞める時に・・・』
伊達『そうじゃないでしょ?彼女が何か言ったんじゃないですか?』
真田『・・・・・・言ったよ・・・・・・許してダーリンだってよ・・・・・・ダーリンだぜ?』
真田『スカッと決めれねェんだよ・・・・・・いつだってそうだよ・・・・・・』
伊達『・・・・・・あなたの場合・・・少し、世間が狭すぎるんじゃないですか?』
真田『どういう意味だよ、ソレ?!おい!』
 
横須賀港の岸壁に座り、新聞を読んでいる伊達。
《警視庁警部補刺殺 秘密賭博場襲撃の犯人 依然手がかりつかめず 次の犯行防止に必死の大捜査網》
 
の見出し。
気配を感じ、新聞を海に投げ捨てる伊達。
真田がやって来て伊達の傍らに腰を下ろす。
真田は結局、雪絵を殺せなかった。真田は自由奔放に生きているように見えて、実は様々な柵に絡め捕られているのだ。
184 @kira 2013-02-25 21:19:21 [携帯]


480 x 800 『野獣死すべし』の女優たち
 
根岸季衣
 
本名 根岸俊惠
旧芸名 根岸とし江
1954年2月3日生まれ。
東京都出身。
所属はアルファーエージェンシー。
身長 162cm
血液型 A型
特技 ダンス
桐朋学園大学短期大学部演劇専攻中退。
現在の夫は、根岸がボーカルを務めるブルースバンドのメンバーでもある宇賀啓祐。
来歴学生時代から演劇活動を始めるが、この当時、所属していた大学の演劇部では、大学以外での外部出演を禁じていたため、『嵯峨小夏』名義で女優活動をしていた。
本人曰く『ガサツな子』から芸名を取ったといい、蒲田行進曲に登場する小夏はこの名前からきているという。
1974年につかこうへい事務所に入団する。
1975年には『ストリッパー物語』の主役に抜擢(この舞台は大人気となり、特に若者たちの間で絶大な支持を受ける)。
その後は舞台以外でも幅広く活躍する。
1980年に芸名を『季衣』(読みは本名と同じ)に改名。
1981年に作詞家・大津あきらと結婚し男児2人をもうけるが1997年に大津が直腸がんで他界。
その後、悲しみに耐え女優業を再開する。
復讐するは我にあり』(柳葉敏郎主演のテレビ版にも出演)や『海と毒薬』などの話題作にも多数出演する。
大林宣彦作品の常連になり、演技派として欠かせない存在でもある。
お節介なおばさんや口うるさい母親などパワフルな女性役に定評がある。
2008年にブルースバンドのメンバー・宇賀啓祐と再婚し、根岸季衣&ザ・ブルースロードのボーカルとしてライブ活動も行っている。
『愛の劇場』に数本の作品に脇役として出演しており常連である。
九条の会の賛同者で『非戦を選ぶ演劇人の会』の委員でもある。
185 @kira 2013-02-25 21:27:52 [携帯]


370 x 203 シーン48
劇場版の台詞
遠藤『つうもん(注文)通りだ。ごるどうっづまん(コルトウッズマン)サイレンサーづぎ(付き)一丁。ずっぽごずっぱづ(実包50発)』
遠藤『じゃあな』
伊達『あのぉー・・・』
伊達『サイレンサー使用時の発射音と、貫通能力を試したいんですけど・・・』
遠藤『そんなごど、勝手にやれ!どごの組のモンだが、すらねェが、プロだろうが!』
 
真夏の飲み屋街の裏通りを紙バッグを提げた拳銃ブローカーの遠藤がハンカチで額の汗を拭いながら歩いて来る。
路地の影に佇む伊達と真田。
伊達と遠藤が紙バッグと現金を交換する。
伊達が紙バッグの中を確認して、遠藤にサイレンサーを装着した拳銃の発射音と貫通能力を試射したいと呟く。
取引を終えた遠藤は伊達の要求を断り、その場を立ち去る。
この後、自身にどんな事態が降りかかるかも知らずに。
 
遠藤を演じる佐藤慶さん。
普段は都会的な社会的地位が高い人物を演じる事が多いが、ここでは訛りがきつい拳銃密売人を演っている。脚本では標準語である。
この方言は佐藤氏の出身地の会津弁だろうか。
村川監督はこういった遊び心がある演出が好きなのだ。
佐藤氏は村川監督の『白昼の死角』では、顔を白塗りにして演技している。
186 @kira 2013-02-25 21:29:38 [携帯]

シーン49
劇場版の台詞
伊達の声『2つのデパートの、午後2時までの売上金が』
 
雑踏を歩く遠藤。
喧騒が消えてスローモーションになり、サイレンサーを装着した拳銃の発射音。
遠藤が動きを止め小さく呻いて、ヨロヨロと倒れ込む。
ワイシャツの腹部が赤く染まっていく。後方から数人の歩行者が遠藤に駆け寄る。
その横を無表情の伊達が通り過ぎて行く。
見ていて背筋が寒くなるシーンだ。
遠藤は後方から狙撃されるが、伊達は横側から出てくる。 伊達は一体、どこから撃ったのか。
白昼の街中でカメラを据えて撮影されているのも面白い。まわりはエキストラだろうが、実に臨場感が出ている。後方には子供も歩いているから、ひょっとしたらゲリラ撮影の一発撮りかも知れない。
 
シーン50
劇場版の台詞
伊達の声『2時40分までに地下の金庫室に運ばれる。そこで出納係が手分けをして金額をチェックする。合わせて4億はカタイ・・・。しかし、万札は約2億だろう・・・』
伊達の声『それがこっちの獲り分だ』
真田の声『で・・・いつやるんだよ?!』
伊達の声『金曜・・・』
 
電話ボックスの真田。
伊達の大胆な犯行に衝撃を受ける。後退りしながら、現場から立ち去る。
東洋銀行に下見に来た真田。
伊達のカードで現金をおろす。
 
シーン51
劇場版の台詞
伊達『伊豆の山に貸別荘を借りた・・・キミには早速、銃の扱い方を覚えて貰いたい』
真田『・・・・・・いつ、行くんだ?!伊達『明日・・・女も連れて来い』
 
東洋銀行を見下ろすビルの屋上に伊達と真田がいる。
187 @kira 2013-02-25 21:34:25 [携帯]


804 x 453 『野獣死すべし』の男優たち
 
佐藤慶
 
1928年12月21日 - 2010年5月2日
福島県会津若松市生まれ。
本名は『佐藤慶之助』。
 
佐藤家は先祖代々会津藩士で、戊辰戦争に敗れて漆器材料の卸商を営んでいた佐貫百合人『役者烈々 俳優座養成所の軌跡』、三一書房、1995年、149-150頁。
福島県会津工業学校染織科卒業後、会津若松市役所戸籍係に勤務するかたわら、地元で結成した新劇愛好会で演劇に打ち込むが、会の発表会の日に無断欠勤をして役所を免職されたという『根っからの新劇人』ぶりが高じ上京。
俳優座養成所から俳優人生をスタートする。
俳優座養成所の第4期生の同期には仲代達矢佐藤允中谷一郎宇津井健などがいる。
1955年以降、大島渚監督の一連の作品をはじめ、映画、舞台、テレビドラマで存在感のある悪役などを演じる。
その無機質な風貌を生かし、屈折した性格の悪役を得意とし、社会派作品から時代劇・ヤクザ映画まで、様々な作品で総合的性格俳優として活躍する。
1965年、『鬼婆』でパナマ映画祭主演男優賞。
1971年、『儀式』『日本の悪霊』でキネマ旬報主演男優賞を受賞。
1967年のテレビドラマ『白い巨塔』では、田宮二郎の野心的な雰囲気とは違った暗くねじれた個性を前面に出した財前五郎役を好演した。
1980年、紀伊國屋演劇賞受賞。
また、低く泰然とした声でのナレーションも人気があり、1970年代から1980年代にかけて日本テレビで放送された科学ドキュメンタリー『知られざる世界』のナレーターを担当した。
1981年には『白日夢』で武智鉄二監督の演出のもと愛染恭子と本番行為を行い、一躍話題になった。
晩年の代表作にはNHK連続テレビ小説『ほんまもん』、大河ドラマ風林火山』がある。
かつては月刊誌『噂の真相』を愛読しており、創刊準備号から最終号まで1号も欠かさず読みつづけたという。
また、下積み時代の生計を支えてくれたガリ版への感謝を忘れず、有名になってからもガリ版用具を大切に保管していたという謙虚な一面も持ちあわせていて、後年山形市の山形謄写印刷資料館に愛用のガリ版用具並びに製作した印刷物が寄贈された。
 
2010年5月2日午後4時19分、肺炎のため都内の病院で死去。
188 @kira 2013-02-25 21:41:00 [携帯]

シーン52
劇場版の台詞
令子『あの・・・地下鉄まで・・・どうぞ・・・』
令子『ここ2・3日、変な人に尾けられてるみたい・・・興信所の探偵かしら・・・別に・・・付き合ってる人もしないのに』
柏木『タクシー!!』
 
夜の日比谷公会堂・表の道。
雨が降っている。
コンサート帰りの伊達がコートのフードを被り、歩いている。
その後を傘を持った令子が追ってくる。
伊達、気配を感じる。
伊達と令子の後を尾行する柏木。
令子が最近、尾行されているらしい事を伊達に告げ、付き合っている男がいない事をさりげなくアピールするところが可愛い。
柏木は令子も調べているようだ。
伊達は突然、令子の肩を抱き寄せるとタクシーに乗り込む。
慌ててタクシーを呼び止める柏木。
タクシーに乗ったのは柏木の尾行を撒く為だが、令子は内心ときめいている。
脚本では令子が伊達にコンサートのチケットを渡している。
これがラストの演奏会のチケットであろう。
 
シーン53
劇場版の台詞
伊達『それじゃあ、おやすみなさい』
令子『伊達さん・・・・・・』
伊達『・・・・・・』
令子『・・・・・・』
伊達『・・・・・・・』
伊達『行って下さい』
 
伊達のマンション前で停まるタクシー。
降りようとする伊達を引き止める令子。
令子の想いに気づく伊達。
しかし、伊達はタクシーを降りてしまう。
タクシーに取り残された悲しみの表情の令子。
タクシーを見送る伊達。
普通の映画なら、次のシーンで伊達は間違いなく令子を抱いているだろう。
そうしないところが、この映画をハードボイルドにしている理由である。
 
ここで私は、ある仮説に辿り着いた。
その仮説とは、伊達が性的不能者、所謂、インポテンツなのではないかというものだ。
シーン23で繁華街を歩く伊達は売春婦に目もくれない。
次のシーン24>>60ではエリカのマスターベーションを眺めているだけだ。
伊達の生殖能力が正常ならば、エリカは勿論、令子も抱いている筈だ。
松田優作が、今回は女は抱かないと言ったから、抱かせていないというのでは、あまりに芸がない。
さらに、台詞で説明するなど論外だ。
そこで、俳優・松田優作は伊達を性的不能者として演じたのではないのか。
これで、伊達が女を抱かない事の理由の説明が着く。
それどころか、見事に伊達の犯行動機にまで結びついて行くのではないだろうか。
189 @kira 2013-02-25 21:42:06 [携帯]

シーン54
 
令子を乗せたタクシーが去った後に柏木が追ってくるシーン。
本編ではカットされている。
別段、無くても問題ないシーンである。
脚本では伊達が柏木の尾行に気づいて、機転を利かせて以前のアパートで降りるのだが、本編ではアパートには住んでいない事になっている為にこのシーン自体が意味がないものになってしまったのだ。
それに柏木が伊達に職務質問するシーンは他にもあるし、伊達の住まいを調べるなら、いくらでも方法はある筈だ。
190 @kira 2013-02-25 21:47:57 [携帯]

シーン55
 
マンションの部屋。
ドアが開く。
伊達が入ってくる。
壁に手を衝き、持っていた本を放り投げる。
巨大なスピーカーの前にコートのフードを被った伊達がうずくまっている。
アルビノーニアダージョが静かに流れる。
伊達、被っているフードを下ろし、スピーカーを抱きしめるように耳を近づけ、目を閉じる。
 
脚本ではマンションではなく、引っ越す以前のアパートだが、本編では存在しない。
 
シーン56
 
伊達の部屋の明かりが点いた事を確認して去って行く柏木。
本編ではカット。
191 @kira 2013-02-25 22:04:05 [携帯]


450 x 600 伊達邦彦とショパン
 
伊達邦彦が主に愛聴しているショパンポーランド出身の作曲家である。
何故、伊達はショパンを好んで聴いたのか?
ショパンポーランドからフランスに渡り、作曲家として成功した。
しかし、彼が亡くなるまで祖国に帰る事は遂になかった。
フランスでショパンが作曲した数々の名曲には、彼が愛して止まない祖国への思いが込められている。
一方、伊達は自分の居場所を見つけられないまま青春を過ごし、新聞社のカメラマンとして赴いた戦場に遂に自らの居場所を見つけるのだが、それも呼び戻される事で終焉を迎える。
伊達にとっては戦場こそが愛する故郷なのだ。
伊達がショパンのピアノ協奏曲を聴いて涙を流すのは何故か?
その答えは伊達とショパンの境遇の同調性にあるのではないか。
192 @kira 2013-02-25 22:06:28 [携帯]


418 x 600 フレデリック・フランソワ・ショパン
 
1810年3月1日(2月22日(出生証明の日付)、1809年3月1日説もあり) - 1849年10月17日)
ポーランド出身の前期ロマン派音楽を代表する作曲家である。
当時のヨーロッパにおいてもピアニストとして、また作曲家として有名であった。
その作曲のほとんどをピアノ独奏曲が占め、『ピアノの詩人』とも呼ばれるように、様々な形式、美しい旋律、半音階的和声法などによってピアノの表現様式を拡大し、ピアノ音楽の新しい地平を切り開いた。
ノクターンやワルツなど、今日でも彼の作曲したピアノ曲クラシック音楽ファン以外にもよく知られており、ピアノの演奏会において取り上げられることが最も多い作曲家の一人でもある。
また、強いポーランドへの愛国心からフランスの作曲家としての側面が強調されることは少ないが、父の出身地で主要な活躍地であった同国の音楽史に占める重要性も無視できない。
193 @kira 2013-02-25 22:12:08 [携帯]

シーン57
 
伊豆の山中で、伊達、真田、雪絵の三人がハンティングをしている。
本編ではカット。
 
伊豆の海岸。
伊達が拳銃を撃っている。
岩場に置かれたスイカや缶詰に次々に命中させて行く。
伊達が撃ち終えて、真田の後方で見守る。
真田、ライフルを構えて撃つ。
しかし、一発も命中せず、岩場を弾丸が跳弾するばかり。
伊達、あきれたようにその場を去る。
真田、なおも撃とうとするが諦めて伊達を追う。
 
森の中
真田が樹木を盲撃ちしている。
伊達、その様を眺めている。
弾が当たった枝が音を立てて落ちる。
得意気に伊達を振り返る真田。
視線を外す伊達。
 
劇場版の台詞
伊達『だいぶ、サマになってきたな』
真田『これ・・・本番になるとどうかな・・・・・・敵は動く標的だろ?ちょっとチビってんな』
伊達『恰好のターゲットがいるじゃないか』
真田『・・・・・・?!』
伊達『女はそのために連れて来たんだ・・・わかるか』
真田『・・・・・・』
伊達『今度こそ、スカッと決められるんじゃないのか?』
真田『え?』
伊達『・・・・・・』
 
保養所の客を狙う真田に伊達は衝撃の発言をする。
伊達に向き直る真田。
伊達が雪絵を連れてこさせたのは、真田に殺させる為だったのだ。
伊豆へ来た本当の目的は、真田の輪廻を断ち切り、眠っている野獣の血を復活させる事にあった。
194 @kira 2013-02-25 22:13:19 [携帯]


404 x 720 シーン58
劇場版の台詞
雪絵『どうしたのぉ?シケたツラしてぇ』
雪絵『やっぱし、マズい?』
伊達『いや、そんなことないですよ。とてもおいしかったです。それになんか、こう・・・ふさわしいじゃないですか、ねぇ、最後の晩餐に・・・』
真田『・・・・・!』
雪絵『アハッ、やっぱりちょっと、塩が効き過ぎたかね?ゴメン・・・』
雪絵『どこ行くの?』
伊達『ええ・・・ちょっと・・・・・・風に当ってきます』
伊達『ごゆっくり・・・』
雪絵『いってらっしゃい』
雪絵『気、きかしたつもりかね?』
 
貸別荘で伊達、真田が雪絵の作った料理を食べている。
静まり返った食卓。
真田、神妙な面持ちでスープを飲んでいる。
伊達が食事の途中で席を立つ。
伊達の『最後の晩餐』という言葉に反応して吐き気を催す真田。
外出する伊達。
脚本では真田と雪絵の痴話喧嘩が続くが、本編ではカットされている。
 
シーン59
 
墓地に伊達が座っている。
雷が鳴っている。
 
シーン60
劇場版の台詞
雪絵『ねえ・・・やっぱり、メリケン行こうよぉ。絶対金になるって・・・うちらだって、まだ捨てたモンじゃないって』
真田『・・・・・・・・』
 
雪絵がアメリカ行きを真田にせがんでいる。
 
シーン61
 
墓地。
穴がぽっかり空いている。
俯いている伊達。
雨が降り出した。
空を仰ぐ伊達。
195 @kira 2013-02-25 22:20:08 [携帯]

シーン62
 
衣装に着替えた雪絵が真田を挑発するようにフラメンコを踊る。
196 @kira 2013-02-25 22:21:30 [携帯]

シーン63
劇場版の台詞
真田『うわぁっ!!』
伊達『あの女は確実に死んだ。やがて土になる。それだけだ』
伊達『素晴らしいじゃないか・・・怖いのか?無理もない・・・だけどそれでいいんだよ。それはね、人ひとりを殺したからじゃないんだ。君自身が、人を殺すことに快感を覚え始めた自分に戸惑ってるだけなんだ。そうだろ?何も心配することはない。僕も最初はそうだった・・・・・不安はじき、消えます。だって、キミは今、確実に美しいもの・・・。それは悪魔さえも否定できない事実だ。来たんだよ、キミに、・・・今。あの輪廻という忌まわしい長い歴史をたった一発の銃弾で、キミは否定してしまったんだ。そのくだらない時の流れを止めてしまったんだ・・・なんて、素晴らしい・・・・・・なんて素晴らしい悪魔の時間だ!!』
伊達『現世における法に基づく、社会復帰なんてものは、キミにとってはもう遠い過去の産物になってしまったんだよ。わかるか?嘆くことはない。それでいいんだよ、真田。キミはもう、仲間だ。キミのその行為が来世の世界で、新しい歴史の始まりとして輝かしい出発を遂げることが出来るという暗示だ。キミは今、確実に美しい・・・それは、神さえも、神さえも、超越している!』
伊達『君に君自身によるアイデンティティは、今確実に、ここに確立された。歴史を否定する野獣の血は、今始めてここに、実を結んだんだ。わかるか・・・もう何も恐れることはない。一気に駆け抜けるんだ、僕と一緒に・・・・一気に駆け抜けるんだよ!』
伊達『真田ァ!!・・・・・・どうした、何を恐れてる・・・』
伊達『拾え・・・・・・その魔性の銃を拾え!!』
197 @kira 2013-02-25 22:32:22 [携帯]

シーン63
 
ベッドから飛び起きる真田。
悪夢をみていたように汗が吹き出ている。
本当にあれは夢だったのか。
真田の希望を掻き消すかのように声が聞こえる。
暗い部屋に伊達が立っている。
表情は見えない。
そして、真田の後悔を否定するように自らの持論を語り始める。
それはまるで、悪魔が人間の言葉を使って、洗脳しているかのようだ。
冷静に考えれば辻褄が合っていないが、自然と耳に入って来て、妙に納得してしまうのだ。
下手な脅迫より、よっぽど恐ろしい。
この台詞も松田優作が書き直したモノ。
丸山氏の脚本では若干、伊達に人間性が残っている。
優作が直した方が圧倒的に伊達邦彦なのだ。
198 @kira 2013-02-25 22:39:52 [携帯]

シーン64
金曜日
フラッシュバックから一転、都会の喧騒の中をカメラが首都高を走る車を追って行く。
 
シーン65
 
日本橋の東洋銀行前に現金輸送車が停車する。
ガードマンが警護する中、輸送車から銀行へジュラルミンケースが次々と運ばれて行く。
 
シーン66
 
少し離れた場所に一台の車が停まる。
車内には運転席に真田。助手席に伊達が座っている。
現金の入ったケースが運ばれるのを見ている。
伊達、腕時計を見る。お互いに目配せして、真田がゴルフバッグを担いで降りる。
伊達も車を降りようとしたドアを開けた瞬間。
 
伊達『・・・・・?!』
 
銀行の手前の歩道を一人の女性が歩いている。
目を見開く。
 
伊達『・・・・・・!!』
 
令子!
慌てて、座席に戻る伊達。
令子から見えないように背を向ける。 
令子を目で追う。
動揺する伊達。
何故、彼女が此処に!
彼女が勤務する会社が日本橋にあると言っていた。
会長に頼まれたのか。
 
真田『・・・?』
 
前を歩く真田が伊達を振り向く。
その横を令子が東洋銀行へと入って行く。
 
伊達『・・・・・・・・・・・』
 
不審そうに伊達を見つめる真田。
決心したかのような伊達。
ドアを開ける。
訝しげに伊達を睨む真田に顎を使って行けと合図する伊達。
真田、不信感を拭い去れないまま歩き出す。
車を降りた伊達。
銀行前の歩道でゆっくりと辺りを確認するように一回転すると裏口へと入って行く。
199 @kira 2013-02-25 22:41:13 [携帯]


550 x 368 シーン67
 
警備員詰所。
ガードマンがデスクに座っている。
伊達が入り口付近に現れる。
ガードマンが気づくが、一歩早く伊達が構えた拳銃で撃つ。
命中して倒れるガードマン。
すかさずボックスのシャッター開閉スイッチを切り替える伊達。
そして、銀行店内へと駆けて行く。
銀行のシャッターが降りて行く。
 
私服ガードマン『どうしたんですか?!』
 
時間前にも関わらず、降りてくるシャッターを不審に感じる私服ガードマン。
 
ガードマン『ちょっと待ってください。今、調べてみます』
 
私服ガードマン『まだ、時間早いじゃないですか』
 
私服ガードマン『詰所に電話して下さい!』
 
私服ガードマン『詰所に電話!』
 
ガードマンが詰所に電話しようとするが、通用口を見て立ち止まり、手を上げる。
そのまま、後退りするガードマンを銃弾が打ち抜く。
驚く女子行員たち。
拳銃を構えた伊達が通用口から出てくる。
隙を見て非常通報ボタンを押そうとする梅津。
伊達が梅津を撃つ。
射殺。
その時、ライフルを持った真田が正面入口から飛び込んで来る。
伊達が奥にある天井の防犯カメラを拳銃で撃って破壊する。
更にもうひとつも破壊。
伊達、拳銃を撃つ。その手前には記入カウンターの陰に伏せている令子がいる。
真田が銀行員を射殺する。
更にもう一人、射殺。
200 @kira 2013-02-25 22:46:49 [携帯]


352 x 640 シーン67
 
真田が駆け出して、カウンターに飛び乗る。
 
真田『立て、立てェー!手を上げろ、手を上げろぉー!!』
 
カウンターに乗った真田、銀行員や客たちを威嚇する。
フロアにいる伊達は辺りを警戒しながら、シリンダーに弾丸を込めている。
偶然なのか、記入カウンターの陰に屈んでいる令子の前を通り過ぎる伊達。
弾を装填した伊達、天井に向けて威嚇射撃する。
カウンター前の伊達、掌を手前に向けて銀行員と私服ガードマンに背中を向けろとジェスチャーする。
手を上げたまま、伊達に背中を向ける銀行員と私服ガードマン。
伊達が銀行員を撃つ。
そして、私服ガードマンの襟首を掴み、金庫室へ案内させる。
201 @kira 2013-02-25 22:48:11 [携帯]


480 x 800 シーン68
 
シーン69
地下金庫室
厳重な警護の下、出納係2人と責任者1人が集められた札束をチェックして、金庫に入れて行く。
 
私服ガードマン『ちょっと来て下さい!早く!』
 
私服ガードマンが階下のガードマン2名を呼ぶ。
 
ガードマン『何かあったんですか?』
 
応じる金庫室前のガードマン。
 
私服ガードマン『いいから早く来て下さい』
 
階段を上って来るガードマンたち。
伊達が現れる。
二人のガードマンを撃つ。
拳銃で撃たれたガードマンが金庫室に続く階段から落下する。
もう一人は、階段を落ちて床に叩きつけられる。
伊達に蹴られながら、私服ガードマンが悲鳴を上げながら転げるように階段を降りて来る。
 
真田『オラ!モタモタすんな!動け、動け、動け!オラァ!』
 
真田『モタモタすんな~!!』
 
真田『オイ!お前、何やってんだ?!』
 
真田がライフルを構えて会議室に行員と客が集めている。
その中に令子がいる。
 
私服ガードマンが金庫室の扉の前までやって来る。
その後方に拳銃を持った伊達。
 
私服ガードマン『何してるんですか?!早くそのバッグに!バッグにお金を!!入れて下さい!』
 
私服ガードマンが金庫室に入ろうとした瞬間に伊達が撃つ。
射殺。
 
銀行員『みんな、言う通りにしなさい!』
 
事態が呑み込めた銀行員たちが2つのバッグに札束を詰め込んで行く。
金庫室の前の伊達、拳銃の弾倉に弾を込めている。
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