くまくま による 分子生物学講座

復活の日 (ハルキ文庫)  .


  インフルエンザウイルス


    インフルエンザウイルスにはA・B・Cの3型があり、
    このうちA型とB型がヒトのインフルエンザの原因になる。


    A型とB型のウイルス粒子表面にあるヘマグルチニン *1 とノイラミニダーゼ *2 という糖蛋白は変異が大きく、
    インフルエンザの種類が多い要因となっている。


A型インフルエンザウイルスにはHAとNAの変異が特に多く、
これまでHAに16種類、NAに9種類の大きな変異が見つかっており、
その組み合わせの数の亜型が存在しうる。


これらの亜型の違いはH1N1 - H16N9といった略称で表現されている。


ただし、このうちヒトのインフルエンザの原因になることが明らかになっているのは
2009年現在でH1N1、H1N2、H2N2、H3N2の4種類である。


この他にH5N1、H9N1などいくつかの種類がヒトに感染した例が報告されているが、
これらの型ではヒトからヒトへの伝染性が低かったため大流行には至っていない。


ただし、いずれ新型インフルエンザが定期的に大流行を起こすことは予言されつづけている。
ヒトに感染しない亜型のウイルスは鳥類や他の哺乳動物を宿主にしていると考えられている。
特に水鳥ではHAとNAの組み合わせがすべて見つかっており、
自然宿主として重要な地位を占めていると考えられている。


また同じH1N1であってもさらに細かな変異によって抗原性や宿主が異なり、
年によって流行するウイルスの型は異なる。



*1:赤血球凝集素、HA:haemagglutinin

*2:NA:neuraminidase