「 嘘つき 」 、この言葉を最後にリツコは消える。
一体、何に対しての「嘘つき」なのか。台本上のラストシーンは、
碇 「 赤木リツコ君、本当に・・・ 」、
リツコ 「 嘘つき (撃たれる) 」
とあるだけで、 「 本当に・・・ 」 の後の言葉はたくさん想像できるが決められない。
それほどリツコと碇の関係は複雑だった。
科学者としての赤木リツコの内面は、碇ゲンドウに愛を捧げた一途な女であり、碇に裏切られ自殺した母ナオコと同じ道を歩んでしまった、愚かな女とも言える。
私としては、潔く死んでいくことを願い、都合のいい、従順な女で終りたかった。だが前回の劇場版のリツコは、恨みだけを碇に向ける嫉妬深い女で終っている。
私は納得がいかず、碇に殺されることを受け入れたかった。それには「嘘つき」の解釈がとても重要に思えた。
そして本番を迎えて・・・。
庵野監督は、私の気持ちを察してくれたのでしょうか。いざ本番というとき、最後に隠されたヒントをひと言与えて下さいました。その見事なひと言に私、赤木リツコは、完敗致しました。庵野監督、今更ながらすごいです。もう、かっこいい、天才よ。
約2年半、この作品に関わらせて頂き、本当にありがとうございました。この場をおかりして、未熟な私を支えてくださったスタッフの方々、キャストの皆様に心より御礼申し上げます。
『 劇場版パンフレット 山口由里子さんのコメント 』 より