不定期 メンテナンス 2018



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  しばらくの期間、
    身体的なリハビリと
      現実会社へのリハビリのため、
        『 入院 日記 』 とさせていただきます。



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里見へ


この手紙をもって僕のシステム工学者としてのひとつの仕事の区切りとする。


まず、現在のプロジェクトの混迷状況を解明するために、梅本、石原 両 教授 に調査解析をお願いしたい。


以下に、大規模システム開発についての愚見を述べる。


システムの完成を考える際、第一選択はあくまで全体はウォータフォール法、部分はアジャイル法、
そして 完全機能分割法によるプロトタイプ法 であるという考えは今も変わらない。


しかしながら、現実には、かのプロジェクトの場合がそうであるように、
正式発表された時点で、すでに開発工程の順序逆転 や 荒唐無稽で明らかに実現不可能な機能内容 である事態がしばしば見受けられる。


その場合には、早急な軌道修正を含む抜本的改革が必要となるが、
残念ながら、未だ満足のいく成果には至っていない。


これからの大規模システム開発の飛躍は、手術以外の治療法の発展にかかっている。


僕は、君がその一翼を担える数少ない医師であると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。


君には癌治療の発展に挑んでもらいたい。
遠くない未来に、大規模システム開発におけるデス・マーチがこの世からなくなることを信じている。
ひいては、僕の屍を病理解剖の後、君の研究材料の一石として役立てて欲しい。


屍は生ける師なり(我が屍を乗り越えよ) 」 。


なお、自ら大規模システム開発の第一線にある者が、
早期から幾たびも提言したにも関わらず、それが受け入れらるなかったばかりか、
無様で稚拙なシステムがリリースされ、
その運営の尻拭いに飲み込まれてしまったことを、心より恥じる。


財前五郎