2001年5月




 4月30日、われらが大阪近鉄バファローズはまたもや単独首位に立った。ということは、たいてい1日で首位陥落しているということだが、そのへんは気にしないように。まあ、首位で5月を迎えただけでもよしとしようぜ、同志諸君。

 中村紀洋が8号ホームランを打ったが、今年はカブレラという化け物がいるので、ホームラン王はちょっと難しいかも。まあ、いいや、優勝してくれれば(<強気)。


 深夜、ふとテレビを点けたら、Gackt様が出演なされていた。ピンのしゃべりも充分おもしろいですね。なんでもGackt様はMacユーザーであらせられるそうで、これまた好ましく思いました。

 実を言うと、Gackt様のおつくりになる音楽にはまったく興味がないのだが、しゃべりは好きなので、もっとテレビに出ていただきたい。独自の美意識と世界を確立している人だと思うので、他の天然の人(いけね、書いちゃった)のようにテレビに消費されることはないだろう。


 台東区の殺人事件で犯人がかぶっていたのは「レッサーパンダの帽子」(日本テレビ)、「犬のような帽子」(フジテレビ)、「熊のような帽子」(テレビ朝日)、「動物の帽子」(NHK)であった。同じ帽子でも、人によって表現はさまざま。

 昔、ある事件で犯人が着ていた衣服を、ある放送局は「オレンジ色のシャツ」、別の放送局は「臙脂色のシャツ」と報道したことがあった。たぶん警察の口頭による発表をどちらかが聞き間違えたのだろうが、オレンジ色臙脂色とでは、語感は似ていても、色合いは全然違う。

 ちなみに、死体の頭部だけが発見されたとき、NHKは「切断された遺体の一部」、民放は「切断された遺体の頭部」と報道する。公共の電波で思いっきり「生首」と発言したのは、わたしの知るかぎり、小田晋先生だけである。


 拙著『美濃牛』に名解説をお寄せくださった川崎賢子さんがどういう人なのか詳しく知りたい方は、〈ユリイカ〉5月号(特集・宝塚)をお読みになるといいと思う。


 木村拓哉の娘は“心美(ここみ)”で、野々村真の娘は“香音(かのん)”。なんだか麻耶雄嵩氏の作中人物みたいである。名多出心美というのはどうか。まあ、世の中には西上ところてんという人が実在するから、べつにいいけど。

 誰だか忘れたが、以前、娘に“紫苑(しおん)”と名づけた芸能人が「国際的な名前にしようと思った」と理由を語っていた。娘をシオニストに育てるつもりなんだろうか。


 わたしが「ココリコミラクルタイプ」(フジテレビ系)を毎週見る理由は以下のふたつ。

(1) リリー・フランキー

 イラストレーターとして知っていたが、こんなにしゃべりがおもしろいとは思わなかった(声がいいのもポイント高し)。標準語のもの静かなしゃべりなので、関西弁で押しまくる吉本トークが氾濫する昨今では、非常に新鮮。こういう人材を発掘したスタッフは偉い。

(2) 松下由樹

「おまえの諭吉が泣いている」(テレビ朝日系)の驚異のおばさんメイク森下愛子のほうがよほど若く見えたからすごい)以来、ご本人自体がどんどんおばさん化している。だいぶふっくらしてきたようにも見える。これは全然悪口でもなんでもなくて、“きれいなおばさんは好き”です。


 5月3日、われらが大阪近鉄バファローズはまたもや首位に返り咲いた。いまやごくあたりまえの事実にすぎないので、特にコメントはない。(追記——失礼、まだ2位でした。ホークスが負けて、バファローズが勝ったもんで、てっきり首位返り咲きだとばかり思っていた。ごめんなさい)

 開幕1ヵ月をすぎたので、そろそろ今年の目標をかかげておきたい。


第1希望……日本一

第2希望……パリーグ優勝

第3希望……Aクラス入り

第4希望……前川ふた桁勝利

第5希望……中村紀タイトル獲得

第6希望……最下位脱出

 このうちひとつでも希望がかなったら、文句は言いません。


 鈴木少年のホームページ

 できるだけ音量を小さくしてアクセスしたほうが無難かと思う。あと、石森プロにチクッたりしないであげてください。


「TOP RUNNER」[]で興味を持ち、三池崇史監督の映画を観てみたいと思った。

 知人の三池崇史ファンから情報を仕入れると、

「まずは『極道戦国史 不動』か『DEAD or ALIVE 犯罪者』を観なさい」

 とのアドバイス。そこで「DEAD or ALIVE 犯罪者」(1999)を観ることにした。

 いやー、これはおもしろいですわ。驚愕のラストシーンはもちろんだが、わたしは鶴見辰吾の怪演に感心しました。

 ほとんどギャグみたいな映画なのに、真顔で熱演する哀川翔竹内力は偉いね。(真剣にやらないとおもしろくならないのだ、こういう話は)


ポップジャム」でThe d.e.pの〈Mr. No Problem〉を聴く。土屋昌巳を10年ぶりくらいに見た。それにしても、ミック・カーン、老けたなあ。


 介護マネージャーが金目当てに担当の老人を殺害。

 この事件以前にミステリ作家がこういう話を書いたら、思いっきりひんしゅくを買ったでしょう。介護関係の団体から抗議されたんじゃないかな。

 以前、介護犬が狂犬病になって家人を全員噛み殺し、ただひとり家に取り残された身障者の主人公が戦うという話を思いついたことがあった。このアイディアを没にした理由は、(1)『クージョ』のパクリだから、(2)この手の話を書く技量がないから、というのに加えて、(3)介護犬関係の団体から抗議されかねないからであった。まあ、たいしたことのないアイディアですが。


 5月8日、月間MVP初受賞の前川大勝利で6勝目。チームも連敗ストップ。ひと安心である。

 記者会見にのぞんだ前川は、茶髪で不敵な面がまえながら、少しアガッているようだった。ああ、今夜はスポーツニュースをハシゴせねば……。


 ひげそりの歴史

 フリッツ・ライバーThe Green Millennium(1954)を読みはじめたら、冒頭近くに“beard-disappearing cream”なるものが登場する。頬や顎に塗るだけでひげが消えるクリームで、昔のSFにはよく出てきた未来アイテムだが、21世紀になっても実現していないどころか、いまや非常に古くさいアイディアに感じる。それはなぜか、と不思議に思ったので、調べてみた。

 調査結果によると、シック大佐が世界初の電気カミソリを発明したのが1927年。しかし、当初は全然広まらなかったらしい。さらに、使い捨ての安全カミソリが登場したのは1960年代だという。

 ということは、1950年代には主に折り畳み式のカミソリ(「殺しのドレス」に出てくるようなやつ)がひげそりに使われていたわけで、そりゃ男性は「クリーム塗るだけですめば便利だろうなあ」と思ったに違いない。

 しかし、使い捨ての安全カミソリと電気カミソリが進化した現在では、しごく簡単にひげが剃れるので、ひげ除去クリームなんてばかばかしく思えるわけだ。なるほど、なるほど。


「未来への教室」(NHK教育)でGive Kids the
World
という施設の存在を知る。フロリダにある難病の子供向けのアミューズメント施設で、費用はすべて施設側が負担してくれるという。また、近隣のディズニーランドその他のアミューズメント施設にも無料かつ優先的に入園できる。

 欧米の難病の子供たちの多くは「ミッキーマウスに会いたい」と望んでいるそうだ。わたしはディズニーランドが夢の国だなんて思ったことは一度もないので、今後も一生行かないだろうし、いい歳してミッキーマウスが好きな人はバカじゃないかと思っているが、子供が会いたいのなら会わせてあげるべきだと思う。


 図書館へ行ったとき、ふと思いついて、双葉十三郎『ぼくの採点表』(トパーズプレス)のパウエル=プレスバーガー評を拾い読みしてみた。

「渦巻」の評に、


 女主人公に扮するウェンディ・ヒラーは本筋に入ると平凡な女性になってしまい、容貌の魅力にも乏しく

 と書いてあったので、わが意を得たりとうれしくなる。さすが双葉十三郎

 双葉氏の採点はかなり信憑性があると思うので、書き写しておきます。


赤い靴 ………………☆☆☆☆

天国への階段 ………☆☆☆★★★

黒水仙 ………………☆☆☆★★★

渦巻………………☆☆☆★★

血を吸うカメラ ……☆☆☆★★


 なんでもいまは第2次レースクイーンブームだそうで、「2時ドキッ!」に藤咲理香という人が特集されていた。@niftyチャットフォーラム2001年イメージガールらしいんですが、niftyの方はよくご存じなんでしょうか。

 レースクイーンにはカメラ小僧がつきもので、なかには股間を狙って撮る人もいるらしい。「レースクイーンも大変だなあ」とスタジオでは結論づけられたが、レースクイーンの前にしゃがみ、カメラを地上すれすれ上向きにかまえる人たちのほうも、相当根性あると思う。

 普通の感覚なら、気後れしますよ。だって、相手は目の前に立ってるんだよ。矛盾した言い方だが、正々堂々と真正面から盗撮してるわけで、ああいうことができる人はよほど何かしらの強固な信念を持ってるんだろうなあ、と思った。


 レースクイーンとカメラ小僧の共通点は、どちらもレースに興味がないことじゃなかろうか。レースが始まると「いましか時間がないから」と食事をしたり休憩をとったりするらしいから。東京ドームでオレンジ色のウサギと踊ってるおねえちゃんたちも、試合中は休憩しているのかなあ。


 5月だというのに暑いので、昼食はそばばかり食べている。大根おろししらす・そばつゆをかけた“しらすおろしそば”が多い。大根おろしは大根の先っぽを使って、できるだけ辛くしたほうがうまいと思う。


 いまどきこんなことを言うと、笑われるだろうが、田畑智子って「お引越し」(相米慎二監督、1993)の女の子なんですね。いま「スタジオパークからこんにちは」を見て、初めて知った。そうだったのかあ。なんかいきなり自分が年寄りになったような気がしてきた。


「独身男は肉じゃがに弱い」というキャッチコピーのCMを見て、ふと思い出したこと。

 以前、うちの兄にカボチャの煮物をふるまったら、

「おまえ、カボチャの煮物なんかつくれるのか?」

 と、ひどく感心されたことがあった。

 どうやら兄は「カボチャの煮物=大変難しい料理」と思い込んでいたようだが、これは間違い。こんな簡単な料理はない。カボチャを切って、種をとって、落としぶたをして煮るだけだから、失敗する余地がほとんどないくらい(あるとしたら、煮すぎて煮くずれることだけ)。

 その後、姉と会ったとき、

「どうして料理をしない男はカボチャの煮物に感動したりするのかねえ」

「そうそう。あと、肉じゃがととかな」

「肉じゃがも簡単だよなあ」

「バカだねー、男って」

 などという会話を交わした。

 若い独身男性諸君に申し上げたいが、つきあっている彼女に「得意料理は肉じゃが」と言われても、むやみに感動したりしないように。たぶんだまされてますよ。

(でも、「肉じゃがなんかおれでもつくれる」と言う男は、女性陣からものすごーくいやがられるような気もするな。やっぱり素直に感動するほうがかわいげがあっていいか)


 5月25日、金曜ロードショーの枠で「乱気流〜タービュランス」という映画が放映された。この映画、以前深夜放送で見て、けっこうおもしろかったので、もう一度見ることにした。

 女性を次々と強姦して殺したとされる男が逮捕され、飛行機で護送されることになる。彼は実は無実で、逮捕した刑事が証拠を捏造したらしい、と示唆される。

 フライト中に別の護送犯が騒ぎを起こすが、男はヒーロー然として立ちまわり、騒ぎをおさめる。しかし、その過程でパイロットが死んでしまい、飛行機は操縦不能状態のまま、嵐のまっただなかに突入していく。

 ……ここまで見ると、男は実は無実のヒーローで、ヒロイン役のスチュワーデスと協力して、乗客を救うという展開を誰でも予想する。わたしも最初見たとき、そうだった。しかし、そういう展開に持ち込むためには、男が無実であることを証明するサブプロットが必要となる。そのサブプロットがいっこうに出てこないことが少し不審であった。(以下、ネタバラシをするので注意)

 さて、実際にはどういう展開になるか。実は男は本当に頭のおかしいシリアル・キラーで、いきなりスチュワーデスをひとり絞め殺したかと思うと、「おれはどうせ死刑になるんだから、こんな飛行機なんて落としてやる」と言い出して、孤軍奮闘するヒロインを追いかけまわし、殺そうとするのだ!

 ここにいたって、この映画は航空パニック映画と見せかけて、その実体は「密室状況下でヒロインがシリアル・キラーから逃げまどう話」であることが明らかになる。最初見たときは、意表をつく展開に少しびっくりした。

 比較的低予算のB級映画だが、知恵をしぼっておもしろくしようとする脚本家と監督は偉いと思う。こういう映画をたまたまテレビで見ると、得した気分になるよね。

(だが、日テレは番組予告その他で全部ネタバラシをしていたので、頭にきた)




スタジオパークからこんにちは」(NHK、5/29放映)のゲストは与田剛NHKの解説者になったんですか。知らなかった。

 与田夫人の木場弘子は「2時ドキッ!」水曜日の司会なのだが、かなり太って、ピーコから毎週「もうおばさんのくせして」「顔がでかい」「二の腕がぷるぷる」と悪口を言われている。このあいだなんか、開き直って、自分で二の腕をぷるぷるゆすっていた。

 野球選手の美人女子アナ妻というイメージしか持っていなかったわたしは、この色物ぶりにびっくり仰天し、すっかりファンになってしまった。ご夫妻ともども、がんばってください。


ジャンクSPORTS」で5/29から始まった「ピーコのスポーツ選手ファッションチェック」は、まるでわたしのためにあるような企画だと思った。