インターネットによる個人輸入



screenshot
島根大研究員がウランをネットで購入 文科省が厳重注意



2006年12月20日21時45分



 島根大学松江市)は20日、総合理工学部に在籍していた中国人研究員が、米国の販売会社にインターネットで酸化ウランなど約2.8グラムの核燃料物質を注文、購入していた、と発表した。同大学は原子炉等規制法で、研究用に少量(300グラム以下)を所持、使用することを許可されているが、海外からの直接購入は認められていない。報告を受けた文部科学省は島根大に厳重注意した。人体への放射線の影響はないという。


 文部科学省保障措置室によると、インターネットによる核燃料物質の違法取引は「これまで聞いたことがない」という。


 同大学によると、昨年9月、中国人の研究員が岩石の年代測定のための基準にする物質として酸化ウラン2.6グラムと金属ウラン0.128グラム、酸化トリウム0.068グラムをインターネットで米国の業者に注文。今年6月、核燃料物質一式が一般の小包などとともに宅配業者によって大学事務室に届けられた。酸化ウランは粉末状で、ガラス製の容器に入っていた。ウランと酸化トリウムは、数ミリの固形の直方体の粒で、プラスチックの瓶に綿とともに入っていた。


 同大学が7月、同法が半年ごとに提出を義務づけている取得報告書の作成のため、文科省に相談。法律違反の指摘を受けたため、学外の原子力の専門家を入れた委員会を設置し、昨年11月に帰国した研究員から、使用目的や入手経緯などを調べていた。研究員は「日本の法規制を知らずに発注してしまった」と話しているという。


 文科省保障措置室によると、ウランやトリウムを含む核燃料物質については、国が原子炉等規制法に基づく許可制度によってすべての使用と取引を管理している。島根大に対しては、海外の業者など国内で許可を得ていない機関との取引そのものを禁じていたという。