2001年10月


 9月30日は長嶋ジャイアンツの東京ドーム最終戦。村田、槇原、斎藤も引退を表明。試合後にはセレモニーが控えているので、日テレは試合終了後のセレモニーまで“完全生中継”を敢行した。

 当然、日テレの思惑としては、ジャイアンツ大勝利で、「ありがとう、栄光の背番号3!」と終わりたかったのだろう。

 だが、ここで最大の誤算は、相手が森祇晶ひきいる横浜ベイスターズだったことだっ!

 相手が星野仙一山本浩二なら、スポーツマンとしてそんなことはしないと信じたいが、もしかしたら片八百長で負けてくれたかもしれない。しかし、森祇晶がそんなことをするわけがない。第一、Aクラス入りがかかっているのだから、ベイスターズにとっても負けられない試合である。勝ちに来るのは当然のことだ。

 結局、9対4でジャイアンツは敗退。日テレの思惑は崩れた。これがスポーツ、これが筋書きのないドラマなのだ。やらせバラエティがお得意で、バレーボール中継まで“演出”したがる日テレにはわかるまいが……。

 翌日の一面で高橋尚子世界最高記録あるいはイチロー新人最多安打をとりあげなかったスポーツ紙は、スポーツジャーナリズムではないし、新聞ですらないと思う。


 今年5月、わたしは今シーズンの大阪近鉄バファローズに対して、いくつか希望を出した。ここで結果報告をしておきたい。

  • ? 第1希望……日本一
  • ○ 第2希望……パリーグ優勝
  • ○ 第3希望……Aクラス入り
  • ○ 第4希望……前川ふた桁勝利
  • ○ 第5希望……中村紀タイトル獲得
  • ○ 第6希望……最下位脱出

 というわけで、希望はほぼかなった。中村紀洋は無冠に終わりそうだが、ローズが二冠王を取るだろうから、文句はない。(追記——と思っていたら、中村紀がローズをかわして打点王をとったので、これもクリア)

 さあ、あとは日本一だ!(<バファローズは全12球団中、日本一になっていない唯一のチームなのです)


 9月30日のホークス×バファローズ終戦で、ホークス投手陣はローズを四球攻めし、王貞治の年間ホームラン記録(55本)を死守した。

 試合後、王貞治は「自分は何も言っていない」と弁明し、若菜コーチが一存でやったということになった。

 だが、王貞治には前科がある。1985年、タイガースのバースが年間55本のホームランを打ちそうになったとき、当時王が監督だったジャイアンツ投手陣はやはりバースを四球攻めし、タイ記録すら達成させなかった。

 このときも、王貞治は「自分は何も言っていない」と弁明し、国松コーチが一存でやったということになった。まるで国会議員である。「わしゃ知らん。秘書が勝手にやったんだ」てなもんだ。

 だいたい、「何も言っていない」こと自体がおかしい。なぜ「ローズとは正々堂々と勝負しろ」と言わないのか! それがスポーツマンシップじゃないのか?


 スケベ心を出して参院選に立候補したくせして、落選したあと、テレビに出てきて「内幕」をしゃべるタレント候補って最低だね。要するに話題になればいいんだろうな、こいつら。

 タレント議員もいやだが、テレビに出たがる議員タレントもいやだねえ。

 ホント、やたらとテレビに出たがる人の気が知れない。以前も書いたけど、こういう人は日頃テレビを見ていないんだと思う。わたしはテレビになんか絶対出たくないよ(「出てくれ」とも言われないだろうけど)。自分がどういう扱いされて、どういうふうに放送されるか、だいたいわかるもん。


英米ミステリの仏訳題から原題を調べるには】

 著者名がわかっている場合は、SDMのビブリオグラフィで調べるのがいちばん。

 著者名がわからない場合は、Googleその他のサーチエンジンを使って、「"(ここに仏訳題を入れる)" roman policier」で検索をかければよい。たいていSDMのビブリオグラフィがヒットします。

 まあ、こんなことを調べる人はあまりいないと思いますが。


 ポール・アルテの本が切れたので、ひさしぶりにDVDを見ようと思ったら、「地域コードが異なるので変更しますか? 変更は5回だけですよぉ」などというダイアログボックスが表示されたので、びっくりする。以前はこんなメッセージ、1回も出なかったぞ。どうなってるんだ?

 iMacが修理から戻ってきたとき、なぜかハードディスクがふたつ(それも10GBがふたつ。両方ともがら空き状態)になっていたので、空いてきたディスクにMacOS 9.1をインストールし、Region 1専用にして対処する。

 しかし、こういう措置は官僚主義的で愚劣だと思うなあ。パソコンでDVDを見るのは、地域コードやビデオ信号を気にせず見たいからじゃないのか? たんに「パソコンはDVDプレイヤー2台分に相当する」と解釈すればいいだけのことじゃないか。(だいたい地域コードがあること自体がおかしいのだが、それはまた別の問題)


 Delawareの『ARTOON』を聴く。わたしはテクノだと思う。「Light My Fire」、かっこいいですね。


隠し砦の三悪人」(黒澤明監督、1958)を見る。Region 1のDVDである。文句あっか。

 不勉強なもので初めて見たが、あまりのおもしろさにびっくり。モブシーンの迫力に度肝を抜かれる。やっぱり昔の日本映画はすごかったんだなあ。ただ、上原美佐は台詞まわしと眉毛が変だと思いました。


 2秒に1回くらいの割合で更新される粗い画像を見て、「衛星電話さえ通じれば、どこからでも動画像が送れるんだなあ」と思った。こういうテクノロジーの進歩を歓迎していいのだろうか。


 外出中、小腹が減ったので、うどん屋に入り、天ぷらうどんを注文。箸でうどんを持ち上げたら、途中からプチプチ切れはじめた。

 これは「外食するな」という天のお告げか?


 10月13日、日本テレビ系列で放映された「人間ドックで大発覚!芸能人の病気公開告知スペシャル!!」はひどかった。

 題名のとおり、芸能人に人間ドックを受けさせ、そこで見つかった異常を公開告知するというもの。司会はみのもんた。「クイズミリオネア」そっくりのもったいぶり方で“告知”をするのを見て、即座にチャンネルを変えた。そして、「テレビの見せ物もここまで来たか」と思った。

 ふと頭に浮かんだのは、英国のSF作家クリストファー・プリーストの「頭と手足」("The Head and the Hands"、1972)という短編だ。

 ある売れない芸人がいて、あまりに売れないのでヤケになって、テレビの生放送中に自分の指を切った。すると、これが大ウケ。次々とテレビ中継で指を切っていくたびに、視聴率はうなぎのぼり。芸人は超有名人になり、莫大な富を得る。

 そうしているうちに、手の指を全部切り、足の指も全部切り、両腕も切り、両脚も切り、チンチンまで切ってしまう。とうとう切るものがなくなったので、最後、芸人は自分の首を切る。

 ……こんな要約のしかたをすると、真面目なプリースト読者に怒られるかもしれないが、わたしはこういう爆笑ブラックユーモア短編として読み、非常に感心した。

 公開生放送で坂本っちゃんの指を切ると、たぶん視聴率90%くらいとれるんじゃないかな。この企画をぜひ、日テレの土屋編成部長にさしあげたい。


 今年の紅白の司会者予想はスポーツ各紙ばらばらだそうで、「THEワイド」が各紙芸能デスクに根拠を聞いていた。すると、返ってきた答えは「××だと思う」「××をイチ押し」などなど。要するに、取材に基づく予想ではなく、あてずっぽうに書いてるんだな。

 それにしても、紅白の司会が誰になるかなんて、気になりますか? わたしはあんまり気にならんけどね。


 今週のピーコの名言(「2時ドキッ!」10/17放映)。

「高いものを身につけているのに似合わないのを見ると、うれしいわねえ」


 かまやつひろしが「二度寝すると“生夢”を見ますね」と言っていた。(「ごきげんよう」10/17放映)

 辞書的に定義すると、「浅い眠りの時にみる生々しい夢、しばしば悪夢」となるが、“なまゆめ”という語感があの夢の感覚を実に的確にとらえていると思った。辞書に加えるよう、国語審議会に提案したいくらい。


 10月19日、金曜ロードショーで「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」を放映していたので、ケイト・キャプショーコール・ポーターの〈Anything Goes〉を歌うシーンだけ見た。ここだけ大好きなんです。


日本シリーズ第1戦】10月20日大阪ドーム

 バファローズ(1敗) 0-7 スワローズ(1勝)

 途中で「石井一久ノーヒットノーランされるんじゃないか」と不安になったので、ヒットを打った北川は偉い。でも、1安打じゃ勝てませんわ。

 バファローズはなんか異常に緊張していた。大部分の選手は日本シリーズに出るの初めてなんだから、しかたないか。まあ、これで切り換えられるだろう。大敗は慣れてるから、ショックもなし。次だよ、次。


日本シリーズ第2戦】10月21日(大阪ドーム

 バファローズ(1勝1敗)9-6 スワローズ(1勝1敗)

 

 皆さん、ごらんいただけましたでしょうか。これがバファローズの取られたら取り返す倍返し野球です。すごいでしょう? おもしろいでしょう? チーム防御率5点台でも優勝できるでしょう? ファンになる男がいるのも、当然でしょう?

 セリーグファンのなかには「こんな野球、初めて見た」と目が点になった方もいらっしゃるかと思いますので、一応ご紹介しました。おかげで、わたしは試合中盤で4点ビハインド程度のことでは、まったく動じなくなりました。

 今日の試合で唯一残念だったのは、前川勝彦である。毎試合前川が見られるかと思っていたが、このままでは中継ぎも失格という烙印を押されるぞ。がんばれっ!


 ひさしぶりに遠出して、うずら豆を買い込む。近くのスーパーでは大豆と小豆くらいしか売っていないのである。本当はレンズ豆なども食べたいのだが、どこへ行ったら買えるのか、いまだにわからない。(デパートの食料品売場にも見あたらない)

 豆はいいっすよ。尾籠な話で恐縮ですが、便秘知らずになります。食物繊維サプリメントはもちろん、個人的にはバナナよりよほど効果大だと思う。


日本シリーズ第3戦】10月23日(神宮球場

 スワローズ(2勝1敗) 9-2 バファローズ(1勝2敗)

 

 まあ、今日はバファローズの負けパターンですね。盛田が見られたので、個人的にはちょっとうれしかった。


日本シリーズ第3戦】10月24日(神宮球場

 スワローズ(3勝1敗) 2-1 バファローズ(1勝3敗)

 

 5回(未満)を1点に抑えた前川はよくやったと思う。しかし……うーむ……。明日勝って大阪ドームに戻ろうねっ!


 ノーコンでボール球先行で、解説者からぼろくそ言われながらも、なぜか1点に抑える。これがバファローズのエース、前川勝彦の真骨頂である。(ただし、ちょっと歯車が狂うと、紅白戦でめった打ちをくらったりしますが)

「なぜこんなピッチャーが13勝もできたんだ?」などと、投手コーチでもないくせに投手コーチのようなことを言う人は嫌いです。


日本シリーズ第4戦】10月25日(神宮球場

 スワローズ(4勝1敗) 4-2 バファローズ(1勝4敗)>

 

 2001年のシーズンが終わりました……。まあ、勝負事だからしかたない。スワローズは強く、バファローズは弱かった。それだけのことです。


 いんちきオニオンスープのつくり方。

  1. フライパンにオリーヴオイルを敷き、みじん切りのタマネギを弱火でよく炒める。

    (本当は茶色のペースト状になるまで1時間以上炒めるものらしいが、めんどうくさいので、きつね色になるまで、15〜20分で済ます)
  2. 鍋にタマネギ、ニンニク、ショウガ、鷹の爪を入れ、鶏ガラスープで煮る。

    (本当は本物の鶏ガラスープを使ったほうがいいのだろうが、めんどうくさいので、市販の鶏ガラスープの素でごまかす)
  3. しばらく煮込んだら、スープをクッキングペーパーでこす。

    (本当は具の形がなくなるまで数時間煮込むべきなのだろうが、めんどうくさいので、せいぜい20分でやめる)
  4. スープに具を入れて、しばらく煮る。

    (ちなみに先日はピーマンとベーコンでした)
  5. 塩こしょうで味をととのえ、仕上げにパセリをふる。

    (本当は生パセリを刻むものなのだろうが、めんどうくさいので、乾燥パセリの粉末で代用する)

 というわけで、せいぜい40〜50分で、そこそこおいしいスープが飲めるので、個人的には満足しております。粉末のインスタントスープだと、具が入れられないからね。


 ダイエー系のスーパーで5食パックのインスタントラーメンを買ったら、パックの袋に福岡ダイエーホークスのロゴが入っていた。5食パックというのは、ラーメンメーカーではなく、スーパーが独自にパッケージしているものなんですかね。


 このページのレイアウトを変えました。


 最近、ドン小西という人が、あちこちのテレビや雑誌でファッションチェックをやっている。この人、見た目のキャラはおもしろいのだが、妙にエラソーなのが難。

 ピーコの場合は、

「ゲイであるなど、本人はさまざまなマイナス要素をかかえつつも、舌鋒は辛辣、しかしところどころ本質的な人の良さがにじみ出ている」

 という絶妙のバランスの上であのスタイルが成立しているわけで、上から見下ろすようなものの言い方では、聞いていて不愉快なだけである。

 ドン小西の本業はファッションデザイナーだそうで、だからエラソーになっちゃうんだろうなあ。小説家の批評みたいなもんだ。


「とくダネ!」でドン小西とコンビを組んでいるルーシー鈴木とかいう人は論外である。テレビになんか出ずに、真面目に雑誌を編集したほうがいいと思う。


「おかしなおかしな大作戦」(フィリップ・ド・ブロカ監督、1973)を見た。

 さえない作家の日常生活と彼が書いているスパイ小説とが入り乱れるメタフィクショナルなコメディ映画。ジャン=ポール・ベルモンドが作家とスーパーヒーローの二役を演じている。

 作中作のスパイ小説は超荒唐無稽かつご都合主義あふれる筋書きで、ベルモンドが実に楽しげにマンガ的スーパーヒーローを演じている。ラスト、作家がやけになって書いた結末はナンセンスの極地。つまりは、これがやりたいがために、メタフィクショナルな設定をつくったわけで、都筑道夫『三重露出』みたいな感じです。

 本作はわたしの思い出の1本で、子供の頃、テレビで何度も見た。およそ四半世紀ぶりに再見できて、本当にうれしい。


 それで思い出したが、子供の頃、テレビで見た映画にこういうのがあった。

 黒人数人がマフィアか何かを襲撃して、現金(?)を手に入れる。しかし、彼らは実は全員白人で、ラバーマスクをかぶって黒人に変装していたのだった。一味は(たぶん)ベトナム戦争帰還兵で、リーダーは戦傷で顔が焼けただれ、声も出なくなって、のどにマイクロフォンをあててしゃべっている。

 で、いろいろあって(この間は忘れた)、実はリーダーは黒人で、ラバーマスクをかぶって白人に化けていたのだった。

 ときどき、この映画の題名を無性に知りたくなって、調べたりしているのだが、いまだにわからない。傑作だったという記憶はないのだが、なんという映画なのかわからないと、のどに小骨が刺さったようで気持ち悪くてしかたないのだ。なんだったっけなあ。

 追記——親切な方が大森なんでも伝言板で教えてくれたのだが、これは「ゼブラ軍団」(Zebra Force, 1975)という映画らしい。全洋画ONLINEIMDbをあたってみると、まず間違いなさそうだ。いやー、積年の謎が解けた。感謝。


 読者の方からレンズ豆をいただく。お名前を出すとご迷惑かもしれないので、イニシャルにしておきますが、T・Hさん、ありがとうございました。

 日本広しといえど、読者から豆をプレゼントしてもらった小説家はわたしだけだろう。ちょっと自慢。