アマ二段 vs アマ三段 第三戦

 

先手 : 『 裏設定 : ぢつは、皆、同じ ○○ 』
後手 : ……  (_ _)m
まで、xx手 にて、 先手 アマ三段 の 勝ち となります。

6二玉

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2012 年 1 月 14 日に「 第1回将棋電王戦 」 が行われ、
米長邦雄 永世棋聖 *1 と コンピュータ将棋プログラム「ボンクラーズ *2 」が対戦し、「 ボンクラーズ 」 が勝った。


初手 「 76歩 」 に対して米長永世棋聖が 「 62玉 」 と指して、先手の攻めを抑え込む戦略である。
この2手目「62玉」は保木氏が提案した手であり、「Bonanza」に代表される評価関数の自動調整を用いるプログラムに対し有効な「早めに、過去のプロ棋士棋譜にない手を指して、狂わす」手である。最終的には作戦が破綻して 「 ボンクラーズ 」 が勝ったが、この戦略は Bonanza 系 プログラムに対し有効なものと考えられる。



2七同角不成

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2015 年 3 月 21 日 に 開催された将棋電王戦 FINAL 第2局(後手・永瀬拓矢六段 VS 先手・コンピュータソフト Selene) は、永瀬拓矢 六段 が 88手目 に鬼手 △2七同角 不成 を見せ、Selene が停止。

△2七同角 不成、力戦の序盤から中盤、そして終盤の入り口に差し掛かったところ、永瀬拓矢六段が 88手目 を指した時に事件は発生しました。

なんと永瀬六段は、直前に打った角を 不成 で敵陣に侵入させました。

読み上げの飯野愛女流1級が 「 後手、2七同じく角成らず 」 と読み上げると、ニコニコ生放送で解説していた屋敷伸之九段は 「 な、成らず!?、え?、な、成らず?。意表、意表の惑わせる手筋ですかね 」「 珍手 が出ましたね 」 と驚きました。


当初、この「不成」は永瀬六段がSeleneの読み筋を外し、時間を消費させる戦略かと思われました。
しかし、これによってSeleneはまさかの停止。


実はこの不成による投了、永瀬拓矢六段 は 事前に知っていたようです。
開発者 の 西海枝昌彦さん によれば、Selene は 角、飛車、歩 の 不成 に 対応していないとのこと。

それを永瀬六段は事前に見切っていた模様。

しかしそれであれば、18手目の△8八角成でもこのバグを突くチャンスはあったと思われますが、
あえてその場面では見送り、この 88手目 まで待ち 必殺技を炸裂させたことになります。


八角

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将棋電王戦FINAL 第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE


 電王戦のレギュレーションの1つとして、対戦するソフトを棋士に貸し出す、貸し出してから開発者はソフトに強化などの手を入れないという条件が定められている。終局後の会見ではこのレギュレーションについて様々な意見が出て議論の対象となったが、定められたルールなのでここではひとまず触れないでおく。

 阿久津はソフトを受け取ってから、様々な戦型で対戦し、AWAKEの特徴を掴んでいった。
 阿久津は得意戦法である相掛かりや角換わりをメインに対戦を重ねていったが、同時にコンピューターの弱点と言われる形も試していった。貸し出しから3、4日目くらいに、本局でも登場した△2八角と打つことに気づいたという。

 阿久津は採用を決める前からも△2八角戦法の事について、色々と試していた。100%遂行できる形は見つからなかった事を考えると、作戦面でかなり工夫が必要となる。
作戦実行の条件として、
① △2八角を打ってこない対策を万全にする
② 手順中に悪手や疑問手は指さない
③ △2八角 を打たせる局面になったら、手待ちをして △2八角 の 判定回数を増やすが、攻められそうになったら、待機策はやめて ▲3九玉 ~ ▲3八金 から 玉を囲って戦いに備える。
 という事が挙げられる。

 最初の課題は、▲7六歩 △3四歩 ▲6八飛 の時に △3二飛 と相振り飛車にしてくる可能性が20~25%ある点。

 実戦では25%の確率を回避して、△8四歩と突いてきた。しかし△2八角までの道程はまだまだ遠い。次の課題はどちらから角交換をするか。
 本譜は後手から角交換をしてきたが、練習では角交換をして来ずに先手からする場合も多かった。先手から▲2二角成と交換をする場合は、△同玉と取らせて△1二香から穴熊を目指す形でないといけない。△同銀だと△2八角を打って来ない場合がほとんど。AWAKEは7~8筋から攻勢を取ってくる。本局のタイミングで後手から角交換をしてきたのは、練習では1回もなかったという。先手は一手でも早く形を作っていきたいので、後手から手損での角交換は大歓迎だ。
 しかも△2二銀ではなく、△2二玉を選択してくれた。ここでも確率は阿久津の味方をした。

 次は△5四歩を突くかどうか。例えば△5四歩を突かずに△1二香▲2七銀と進むと△5四角(参考3図)と打って銀取り&△7六角を狙う場合が多い。後手も角を手放すので、形勢的には互角の展開だが懸念材料の1つだ。

 ▲2七銀と上がった局面でセット完了。後は△2八角と打てる状態を維持して、判定回数を増やしていく事が重要だ。不思議なことに▲7七銀と上がると打たない率が上がるらしい。しかも目線が銀に行くので、△8五歩~△7四歩~△7三銀~△6四銀と7~8筋を攻める体勢を取ってくる。
 7~8筋を攻められる形での△2八角は、例え打たせたとしても分が悪いとの分析が阿久津と西尾六段の間でされていた。また巨瀬さんの談話でも7~8筋を攻める形であれば投了はしないし、十分に戦えると話してくれた。

 果たして、▲9六歩と突いたタイミングで△2八角(図2)と打ってきた。

 実はこの△2八角は短い持ち時間の将棋であれば80%くらい打ってきたが、長い持ち時間だと4~5分は△2八角を考えているが、そこから先の探索では△2八角をやめて穴熊に囲ったり、7~8筋を攻める体勢を作ってくる事の方が圧倒的に多い、と分析されていた。本局は先手にとって、後手は穴熊に組んでいないし、7~8筋の攻撃態勢も全く進んでいないという、最高の条件で△2八角が出現する事になった。

 振り返って初手から作戦遂行について考えると、△2八角を打つ形になる可能性は10%ないくらいで、本局のような先手にとって最高の条件でとなると、1%もない確率だったのではないだろうか?
 論理立てて分析していくと、△2八角戦法を目標に対策を組み立てつつも、メインは別の形になる事を中心に考えていることが分かる。

 開発者の巨瀬さんも勝ち目が全くないと考えて投了という選択をした。後日、阿久津に聞いてみたところ「投了図からはほぼ100%、いや98%勝てると思います」と言っていたし、彼の実力を考えるとその通りだろう。


 投了図以降は分かりやすく進めると △1九角成 ▲3八玉 △1二香 ▲5八金左 △1一玉 ▲4六歩 △2二銀 ▲1七桂 △3一金 ▲4八金直 △5二金 ▲6九飛 と進んで、無条件で 馬 が取れる。




*1:  当時公益財団法人 日本将棋連盟会長、2012 年 12 月 18 日 ご逝去

*2: Puella α は、伊藤英紀が開発したコンピュータ将棋ソフトウェア。第21回世界コンピュータ将棋選手権優勝。第1回将棋電王戦勝者。旧称・ボンクラーズ(Bonkras)。ボンクラーズは、コンピュータ将棋選手権で優勝経験のある将棋プログラムBonanza(ボナンザ)をベースとし、6台のサーバを並列処理(クラスタ)させることで、高速演算を可能としている。