グイン 130巻 未完

栗本薫さん  「 グイン・サーガ 」129巻 出版へ … 絶筆130巻も


 膵臓癌のため26日に56歳で亡くなった作家の栗本薫さんが、
一作家が書いた小説では世界最長とも言われる代表作 「 グイン・サーガ 」 (早川書房刊、本編126巻)を
130巻途中まで執筆していたことが分かった。


 夫の今岡清さんによると、栗本さんは闘病中も、原稿を書き続けた。
「 多い日は50枚も書いていたのに、最後は1日数枚がやっと。
 思い通りにならず、とても悔しがっていました。 」


 129巻までの原稿は既に書き上げ、130巻も書き進めていたが、
先月23日を最後に筆が止まり、病状悪化のため今月7日、都内の病院に再入院。
闘病中の心境をノートにつづり始めたが、2ページほどで文字がうまく書けなくなり、断念していた。


 早川書房は129巻までの出版を決めており、
絶筆の130巻途中までの原稿も公表したいとしている。

ある。栗本薫さん 闘病中も執筆、月200枚
グイン・サーガ」未完に
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グイン・サーガ」100巻を達成し、著作を抱える栗本薫さん(2005年3月) 「1冊でも先に行きたい」――120巻を超す大河SF「グイン・サーガ」を始め、ミステリー、伝奇小説、評論と幅広く執筆活動を行った栗本薫さんが26日、56歳で亡くなった。抗がん剤治療を続けながら、最後まで旺盛な創作意欲は衰えなかった。

 1970年代後半、小説と評論の世界に登場し、みずみずしい視点と筆致を持つ新世代の若者代表として脚光を浴びた。

 未完に終わった代表作「グイン・サーガ」は本編126巻、外伝22冊を数え、欧米にも翻訳。あふれるように物語を紡ぐこの作家の象徴だった。2007年のがん発見後も、入退院を繰り返しながら執筆を続け、08年には、中島梓名義でがんの闘病記を刊行。今年4月のインタビューでは、抗がん剤治療の影響で体力が落ち、「以前は月1000枚程度書けたのに、今は200枚台」とくやしそうに話していた。

 しかし、「執筆を続けられる病気だったことは天のおぼしめし」とあくまでも前向きだった。「読者が一番読みたいし私も先を知りたい」と「グイン・サーガ」の執筆を優先した。

 当初、目標としていた本編100巻を05年に突破し、150巻、200巻の目標も挙げたが、自ら「ネバー・エンディング・ストーリー」(終わらない物語)と呼ぶ大河小説の完結については、「語り手はいなくなっても物語の先はある。それもロマンかもしれない」とも話していた