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店主の横山さん。
焼き場の前の横山武さんは、寡黙な職人といった感じ。


「なばや」の由来は、そのむかし佐竹藩の御用商人がつくった屋号「那波屋」から。父の代には上野のガード下でお店を創業したそうです。


正確には創業何年なんでしょう?


「昭和20年とか25年くらいの創業なんじゃないかなぁ。
正確なところはわからない。


古すぎてね。高度成長、バブル崩壊、大震災と、
さまざまな時代を通り過ぎてきたってわけです」

夜は焼き鳥屋さんですが、ランチでは鶏をいかした「重もの」も人気です。焼いたもも肉とそぼろがごはんの上に敷き詰められた「とりめし重」もおいしそう♪


家業として創業した「なばや」さんに、老舗の店主だからこそ聞いておきたいがありました。それは独立について。

「家業としての独立はむずかしい時代になってきたと思います」と横山さん。


むずかしいとはどういうことでしょう?


「私がここで店をやろうと思ったころは、子育てが半分終わっていました。半分というのは親に預けて仕事することもできたから。でも核家族化が進んでいる今は、子育てとお店の両立はとても難しい時代です。つまり将来、あたたかい家庭をもって暮らしたいのか。それよりも、自分の店をもつことの方を優先したいのか。そこを考え抜かないとあとあと辛くなると思います。家庭なんていらない、子供もいらない。その代わり、繁盛店をつくるんだ! それが自分の人生だ! と本気で思える人は独立に向いているかもしれないですね」